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静かな始まり
まだ冷たい空気が肌を刺す。
日があまり無いとまだこれだけ寒いのかと少し身震いした。
もうすぐ日が出る。
昨日買った食料と水筒と短剣は鞄に入れたし、腕輪は私が装備している。
香炉は道中怖いので持ちながら移動予定だ。
マントに手を伸ばす。
日常の服の上から着ると少し滑稽だった。
少し見えるスニーカーが、場違いな感じを際立たせる。
そう、昨夜私が着てきた服が綺麗になって戻ってきたのだ。
もう、ルンルンだ。
マントは違うが、この服でこそいつもの私。
少しはねている寝癖はご愛嬌だ。
最後に部屋を全て見て、忘れ物が無いか確認した。
「よし、無いね」
誰にともなく声に出した。
もうこの部屋ともサヨナラだ。
いや、この城とも。この国とも。
「……」
レイブンは、昨日結局あれから一度も部屋に来なかった。
まぁ、忙しいのだろう。
最後の挨拶できないのが少し寂しく感じたが、しょうがない。
もう考えるのはやめだ。
さっさと帰ろう。
あの私の日常へ……。
私は静かに部屋のドアを開けてそっと閉めた。




