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Lv.1の王様  作者: 小鳥遊 雨音
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街にて

街の噴水まで着くと、お祭りの準備が進んでいた。

飾り彫りの終わった木を男達が担いで移動し、五本それぞれの道の真ん中に設置していっている。

噴水の前にも数本が既に立っており、設置済みなんだと思う。

色はついてないが彫りが華々しく引き立てていた。

彫りの模様が違うように見える。

竜が昇っていく様子が彫られていたり、花の模様で埋め尽くされたものもあった。

もしかしたら全部模様が違うのかもしれない。

もう少し近くで見てみてもいいかな?

そう思って近づこうとすると、私より先に駆け寄っていく小さな影があった。

子供達だ。


大きな設置された木に興奮しているようで、みんなベタベタ触っている。

大きな子が軽く木を押した時、その木が少し揺れたような気がした。

揺れたのではなく、それが倒れていく瞬間だと気づくのに数秒もかからなかった。

子供がっ!!

そう思った時には身体は動いていて、目を大きく見開いて見ている子供と木の間に滑り込み迫り来る衝撃を背中で感じながら、子供をしっかりと抱きしめた。



ーーーーパンッッ!!!!



辺りに鋭く割れる様な音が響く。

歯をくいしばっていたが、いつまでたっても痛みは襲ってこなかった。

「っ!……」

恐る恐る目を開く。

倒れた木は真ん中から割れて、私の背中をギリギリで避け右側に転がっていた。

本当に間一髪だった様だ。

ついてた。



凄い音に大人達が彼方此方から駆け寄ってくる。

周りの子が私を指差して何か話している。

つられて野次馬がわらわらと周りに集まってきた。

急に火がついたように泣き出す腕の中の子。

慌てて怪我がないか確認するが、何もないようにみえる。

ただ怖かったようだ。


「もう大丈夫だよ」

抱きあげ、震える手で背中を撫でる。

いざ行動を起こしてみたが、自分も怖かったんだと気付いた。

それでも小さな背中が守れて良かったと触れて思った。

辺りに少し焦げた匂いがする……。

まだ泣いている子供を近くの女性に手渡し、もう一度倒れてきた木に目をやった。

割れた木からは薄っすらと煙が上がっている。

……火薬でも仕込んであったのだろうか?

まぁ、何事もなくて良かった。


「大丈夫ですか?!」

騒ぎを聞いて兵士が駆けつけてきた。


「あ、大丈夫です。はい」

飾りの木を使えなくなってしまった事を謝り、後始末を兵士達にお願いして、私は目当ての店に行くことにした。

まだ少し心臓がドキドキする。



ドアを開けると、カランと乾いた音を立てて木のベルが鳴った。

そう、あの店だ。魔道具専門店。

真っ先に昨日見た香炉の所へ行く。

よし、まだある。香炉の上についたチェーンを持って移動する。


あとは……あの妖精、欲しい。

そう思って妖精の瓶を持とうとしたが、店主に止められた。

妖精が怒ってるらしい。

そう言われて、瓶の中を見ると此方に対して何か凄く文句を言っているように見える。

店主曰く、相性が合わないらしい。

……酷い。こういう事ってあるのか……。

妖精から振られるなんて……。

一緒に冒険するとか、夢だったのに。


ガックリと肩を落としていると、店主が何処からか箱を取り出してきた。

開けられた箱の中には、少しくすんだ金色の腕輪が入っていた。

この腕輪をすると、イフリートの加護があるのである程度の火の魔法が得意になるらしい。

一般人の私でも魔法ができるんだろうか……もしそうなら、欲しい!!

店主が自分の右手首に嵌めて、手を上に上げて見せた。

あっという間にサッカーボールぐらいの火の玉が出来上がる。

大きさの調整もして見せてくれた。


……でも、お高いんでしょう?

そう思って値札を見ると、香炉より桁が違った。

ほらー、桁が違うしー。


半目で店主を見て、香炉をドスっとテーブルに置く。

値段は分からないから、とりあえずディーンに貰った袋をズボンから解いて置いた。

店主が火の玉を消して、袋を開けると金貨を10枚だけとって返された。


……え、それだけ?

まだ袋の中は、ほとんど残っている。

これならあの腕輪も買えそうだ。

そう思って腕輪を買うと伝え、もう一度袋を渡した。

しかし、今回は容赦なく袋から取っていかれた。

半分は持っていかれたと思う。

途端に袋が軽くなった。

代わりに腕輪を嵌めて貰った。

ブカブカだが、なかなか様になっている。

……イフリート様々だなぁと思った。

こうして、この店では香炉とイフリートの腕輪を買った。

あとはマントと、食料かな。



大通りに出てきた。

食料もマントもここで揃えられる。

黄色い丸い果物が甘い匂いを放っていた。

コレだと思った。

昨日食べたパイの中身だと思う。

すぐに三つ購入。

近くで木の水筒があったので、購入して水も詰めて貰った。

更に少し歩くと旅人の嗜みのような短剣とマントと物を入れる肩掛けの袋が売っていた。

短剣はよく切れたし、マントも深い藍色でいい。

肩掛けの袋も使いやすそうだ。

即決で全て買うことにした。

ここまでの買い物で、袋の中身はさらに減った。

かなり軽い。

まぁ、もうすぐ帰るからいいんだけども。



もう買い物は満足だ。

荷物も重いし、部屋に帰ろう。

荷物を両手に持ち、部屋を目指す。

明日は日の出と共に出ていく予定だ。

帰って、用意をしなければ。


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