朗報は突然に
城に戻ると、何やら城が慌ただしかった。
レイブンが近くの兵士をつかまえて、何があったのか聞くと、どうやら他の国で火のドラゴンが見つかったらしいと報告が上がったとの事。ドラゴンとして姿も確認されているらしい。
兵士はそれだけを言うと、失礼しますと足早に立ち去っていった。
それを聞いてレイブンは立ち止まる。
しばらく微動だにしなかった。
はじめは動揺したようだったが、今は何か考え込んでいるように見える。
「……まさか」
背後なので表情は見えないが、ボソっとそう言ったのが聞こえた。
そこへディーンがこちらへ向かって歩いてくる。
「話は聞いたか?」
「はい。何処で見つかったのですか?」とレイブンが聞いた。
「ディストンだ。やはり急に覚醒したらしく、向こうで少し混乱している様子とも聞いておる」
「それで、どうするおつもりですか?」
「明日朝一番に使者を送る予定だ。覚醒場所は違うが、覚醒者はやはりドラゴニオンらしい。ドラゴニオンであらば、此方に戻る事が道理であろう」
そうディーンは言った。
あー、やっぱり違うよね。
それが話を聞いて、一番はじめに思った事だった。
自分が王ではないと証明されて嬉しかったし、これで帰れると本当に思った。
ただ少し擦り傷のような後味の悪さが胸に残った。
ディーンが私の方に目をやる。
「そなたには悪いが、やはり火のドラゴンは他におったようだ。すぐに出て行けなどとは言わぬ。支度をしたら出て行ってよい。何処に向かうのか分からんが、無駄に足止めしてしまったのも此方のせいだ。詫びも後で部屋に送っておこう」
レイブンは驚いてディーンに何か言おうとしたが、口を噤んだ。
「ありがとうございます!」
ようやく帰れる喜びに、ディーンに深々と頭を下げた。
「うむ。旅の無事を祈る」
そう言うとディーンは、部下を連れて奥の部屋に入って行った。
これから話し合いでもするのかな?
まぁ、私にはもう関係ない。
清々しい、この言葉がこれ程ピッタリ合う日が来るなんて思いもしなかった。
帰れる可能性が出てきただけで、今の私には十分だった。
ここに留まる必要もないのだから。
未だ立ち止まっているレイブンの服を引っ張って声をかける。
「ねぇ、私、もう部屋に戻るね。何か分からないけど、誤解だったみたいだし。地下牢もなさそうだし」
「……」
ようやく此方に目を向けたレイブンだったが、その目線がいつも以上に険しかった。
「え、ダメなの?」
笑顔が少し引き攣る。
「……え、いや……どうぞ」
ハッと我に返る。
何やらずっと考え事をしていたようだ。
「ま、そういうこともあるって。ドンマイ」
レイブンの腕をポンポンと軽く叩き、気にはなったがその場を後にした。




