第19話
「...以上が、今の私が分かる全てだ。」
アイサの言葉は、それ以上続けられなかった。
今のアイサが自身の解る範囲のことを感情と言葉に載せて表しきってしまったから。
楓に伝わらないことは私にも理解できないことだから...
アイサはそう思うしかなかった。
「ありがとう。私も自分の感情をぶつけるばかりで...」
楓もアイサに自身の至らなさを詫びる。
(...気にしないで...楓が愛沙を大切に思って心配しているのは分かっているから...)
アイサも黙って静かに首を振る。
楓は胸の内で静かに決意する。
(絶対に、愛沙とアイシャを守る。)
目の前にある愛沙の身体と、愛沙の身体に宿るアイシャの魂。
それを守れば...きっとアルスレンドにある愛沙の魂とアイシャの身体を守ることになる。
そう信じて...固く信じるしかない。
しかし楓の感情は限界を感じていた。
怒涛のように起きた昨日からの様々な出来事。
積みあがっていく問題。
解決の糸口さえ見つからない不確かな未来。
そんなことさえ些事に思える愛沙の行方。
(今は、信じるしかない。)
アイサは言葉を紡ぐのを止めた。
どれだけ言葉を発しようが、今わかることは全て伝えた。
それ以上は私にもわからない。
(...くそっ! どうしてはっきり見えない...感じられない。)
アイサもまた苦悩する。
「ありがとう。私も自分の感情をぶつけるばかりで..」
楓が泣きそうな顔でそう言って私に謝るんだ。
(あなただけが悪い訳じゃない...気にしないで。)
そう思っても言葉にできず、私はあなたに首を振って伝えることしかできない、
それでもこちらの世界で出会ったのがあなたでよかったと思うよ...楓。
幼なじみ...で親友なんだよね?愛沙は...。
そんな大切な親友を奪ったような私にやさしく、こうして真剣に考えてくれて...
楓...。そしてこの身体を貸してくれた愛沙。あなた達に幸せが訪れる様に...
アルスレンドル王国のアイシャ・キルミナーゼが、あなたたちの信じる神に祈りを捧げます。
アルスレンドル王国に一筋の光が流れた。




