第十二幕 結末は...
ジブリル大森林編最終話
魔獣のボス…グルーシャとの戦闘の瞼が切られた。
俺が仕掛けた鋼糸によって相手は逃げられなくなっている。
仕留めるチャンスは今しかない。仕留めると言ってもさっきのやつみたく殺してはいけない。目的はグルーシャを暴食することである。こいつの回復魔法を解析して(主にガブリエルがね)我が物にする。そして大樹を復活させる。それが目的だ。
俺だけじゃなく相手も戦闘態勢だ。
唸り声を上げてこっちを睨見つけてきた。
だがそんな唸り声の中にはこちらにも通じる言葉が混ざっていた。
『貴様、ここに何をしに来た。』
「お前を倒しに来た。この山の下にいる集落の奴らがあんたらのせいで迷惑してるみたいなんでな。」
倒しに来ただなんて言ったものの俺も平和が一番だ。なんだか優柔不断だが一応提案した。
「なあ、倒すだなんて言ったけど、もうふもとの集落を襲わないっていう約束はできないのか?」
グルーシャは少し考えていたが、
「...無理だな。こちらにも事情があるのだよ。」
そう返された。まあそうだよな。何度も何度も鬱陶しいと感じるぐらいにしたの集落を狙ってきていたんだ。そう簡単に引き下がるわけがない。
結局はこうなるのか。まぁ分かってはいたんだけど。
「それじゃあ、今度こそ始めようか。」
スキルがある。仲間もいる。少し不安な要素もあるけど。きっと倒せる。
「ああ、いいだろう。」
どうやら相手側も戦う準備ができたようだ。
わざわざ待つ必要はなかったかもしれない。
討伐することが目的だし準備中を襲えばよかった。ちょっと後悔した。
「...行くぞ!」
ウネウネと体を地面にはわせ一気に近づいた。相手もこちらに向かって走ってきた。
相手がこちらに鉤爪を向けてきたため急いで回避した。
「ライトニング!」
目眩ましを使ってなんとか相手に近づこうとしたが、
「甘い!」
一瞬でライトニングの効果範囲外へと逃げていった。
回り込んでこっちに向かってきた。
また襲いかかってきたのでまた逃げた。
逃げてばっかだがやれることも増えた。あいつを試してみるときだ。
「隙の糸!」
そう唱えたとき自分と相手が糸で結ばれた。
正確には結ばれてはいない。自分にだけ見えている。自分とグルーシャの間の糸はたゆんでいた。きっとこれが隙の糸なんだ。予想だけどこれがピンと張ったときがチャンスなのかもしれない。
相手に何とかして隙を作れれば良いんだが。
でもライトニングは効かなかった。悲しきかな。これ以上目眩ましや、隙をつくような技は持ち合わせていない。
これで詰み。。。というわけではないんだよ!
さっき言った通り俺には仲間がいる。
「みんな!あいつに向かって矢を放ってくれ!」
「「わかりました!」」
たくさんの人々が一斉に矢を打ち始めた。
一定の向きではなくあらゆるからだ。
たくさんの場所から一斉に撃たれた。
四方八方からだと流石に避けきれなかったのか、一撃だけ命中した。
だがたった一撃だあいつの回復魔法なら瞬時に解決する。
俺はそこで気づいた。あいつ回復の時は動けないのか。もしかしたら回復中なら相手に攻撃できるのかもしれない。だが相手は矢一撃なら1秒かからずで回復する。何とか行動を封じられたら、、、、
あっ!そういえばあれがあったはず。
グルーシャがこちらに向かってきた。すかさずかわすと俺はスキルで糸を生成し始めた。
また鋼糸かって?じつは違う。もう一種類あるんだよ!
スキルで糸の玉を作って逃げながら全員に与えていった。
「それをいろんな木に向かって打ってくれ!」
それを聞いたメンバーは様々な木に向かって打ち始めた。
グルーシャは悩むような顔をし始めた。
きっと今考えているんだろう。 「コイツらの狙いはなんなんだ」ってね。
どうやらみんな打ち終わったみたいだ。中には矢が切れてしまったヤツもいるっぽい。
だが残っているやつが居るなら大丈夫だ。
考えてもわからなかったのか敵はこちらに向かってきた。
「がっ、ガァっっっ」
俺がみんなに打ってもらった粘糸が発動した。見事に引っかかり敵が身動きを取れなくなったことを確認して速く攻撃に移りたくなったが念には念を入れておこう。
「あいつに向かって矢を撃て!」
今のあいつには回避は不可能だ。見事に大量の矢が命中した。どうやら回復力はすさまじく高いようだが、複数の傷をまとめて回復はできないようだ。一箇所一箇所回復していっている。回復の速さはボルト並みの速さだが
数が多ければ時間もかかる。
時間がかかればこちらにも余裕が生まれる。
だからこそ俺は念入りに力を溜めた。
使える時間を全て使って俺は最大の一撃を放った。
「炎爆散!!」
見たことないほどの大きさ、そして威力で飛んでいった俺の必殺技は命中させることに成功した。とてつもなく強烈な一撃だったので粘糸ごと焼き切ってしまい、逃げられてしまうかと心配もしていたが逃げられる様子じゃない。お得意の回復魔法を使ってもすぐには逃げられそうにはない。
これが最後だ。俺にしか打てない技で終わらせてやる。
「暴食!!!!」
暴食を使った俺は相手に喰らいついた。
いつもみたいに食える。かと思ったが想定外なことに相手が抵抗してきた。でも容赦するわけには行かない。
「頑張れ!!」
「負けるな!!」
みんなが応援してくれている。
負けるわけには行かない。
オレはそのまま相手の体の全体を食い切った。
そしてそのまま飲み込んだ。いつものように噛んだりはせずそのまま食い切った。
そのまま暴食を終わらせよう。
そう思ったのだが俺の精神に語りかけてくる奴がいた。
負けられない!負けられるわけがない!
ここで終わるわけにはいかないんだ!
最後の最後まで抵抗してきた。
「なぁ、なんでふもとの集落を襲うようになったんだ?」
これは話を聞いた頃からの単純な疑問だ。
あのレベルの集落なら、昔から襲われていたのならもう消えてしまっていてもおかしくはない。だが半壊でのこっている。つまり襲うようになってから時間はたっていないって言うことだ。
飢える者が増えたからだ。昔、この山にはたくさんの食料があった。昔は誰もが食料にありつくことができ何不自由ない生活ができるようになった。だがある日、ふもとの集落の奴らが立ち入るようになった。だが大した量は回収せずに帰っていく。だから俺たちは見逃していたのだ。だがある日、近くの国の兵士たちがやってきて、食料を根こそぎ回収していった!抵抗した仲間は殺され、森から食料がなくなった。その結果、飢える者が増え、死ぬものまで現れた。俺の回復魔法は飢餓までは満たせない。だからこそ食料が必要だったのだ。
なるほど。そういうことだったのか。もしかしたらドライアドが話していた木を切ったヤツの話とも付随するのかもしれない。
「でも、襲っちゃいけないことぐらいわかるだろ。」
わかっていた!自分が集落に害することをしていたことぐらい自覚していた!でも辞めるわけにはいかなかった!飢えて死んでいくものを見るのは限界だった!あいつらを...仲間を守れるのは俺しかいない!だから今ここで負けるわけにはいかないのだ!
グルーシャは泣きそうな声で俺にそう言っていた。
…どうするべきか。でもかわいそうだからといってそのままはいどうぞ。と解放するわけには行かない。
「…お前のしたことは重罪だ。でもお前の苦しみが分からないわけではない。だからお前の仲間のことを俺に任せてくれないか?」
俺は頭がいいわけではないからこれしか思いつかない。というよりも解決する方法はこれしかないと思う。
お前はアイツラをどうやって守るというのだ。
「まだ分からない。でも何とかする。何とかしてみせる。だからオレに任せてくれ。」
自分でもこんな回答しか出ない自分が情けなく感じてくる。
…はっはっは!面白いことを言うな!でもお前のことは信じられそうだ。...なんでだろうなぁ。なぜ信じられるのだろうなぁ。
お前がもし約束を破るようなことをしたのなら幽霊になってお前を殺す。忘れるんじゃないぞ。
「あぁ、わかってるよ。任せてくれ。」
ありがとう...。俺の仲間を任せたぞ...。
グルーシャの意識は少しずつ消えていき、そして完全に消滅した。
こうして俺とグルーシャの戦いが終わった。
『スキル超強力回復を獲得しました。』
グルーシャの思いを胸に集落のメンバーと
残ったグルーシャの仲間たちを連れて集落へと帰っていった。
◇◆◇◆◇◆◇
数日後俺は一人であの大樹の前へと向かった。
『お久しぶりですね。』
そこには久しぶりに見るドライアドの姿があった。
「お久しぶりです。大丈夫でしたか?」
『はい。あなたと別れた後は特に問題はありませんでした。』
良かった。もしも遅くてドライアドが死んでしまっていたりしたらとか考えていたから
とりあえず無事で安心した。
「そうだ。手に入れましたよ。例の回復魔法を。」
『例のボスを倒したのですね。早速ですが、お願いできますか?』
だな。話をするよりまずは回復してあげよう。
「超強力回復!」
木に向かって放つと、みるみると大樹が復活していった。その回復と同時進行で、周りの木々やドライアド自身も回復していった。
『ありがとうございます!こんなにすがすがしい気分は久しぶりです!』
良かった。元気が出たようだ。
『どうやって感謝いたしましょうか、何かしてほしいことなどありますか?』
「別にいいですよ。オレがやりたくて勝手にやったことですし。」
『優しいお方ですね。』
その後少し言葉を交わした後集落に向けて帰っていった。
帰り道でガブリエルに質問された。
『我が主。この後はどうなさるのですか?』
確かにこの後のことは何も考えていなかった。だが今回の一件でやることは何となく決めた。
「いろんなところを冒険してみるよ。もしかしたらグルーシャみたく困っているヤツがいるかもしれない。」
『わかりました。このガブリエル。どこまでもお供いたします。』
「あぁ、ありがとう。」
こうして新たな冒険が終わった。きっとこれから大変なこともあるだろう。でも大丈夫だ。きっとやっていける。
そんな自信を胸にオレは集落へと帰っていった。
大変でしたがジブリル大森林編終了しました!
まだ読んでくれた人は少ないですがこれからも頑張ります。よろしくお願いします。




