(仮)33話
授業が終わる。
蒼真は真っ先に亜由美の席へ向かった。
「さっきの続きなんだけど」
「お、珍しく諦めてない」
亜由美が笑う。
蒼真はスマホを取り出した。
昨夜調べたカラーの画像が並んでいる。
「秋ならやっぱり暗め?」
「まぁ秋は落ち着いた色が人気だね」
亜由美は頷く。
「アッシュ」
「グレージュ」
「オリーブ系も人気かな」
蒼真は真剣な顔で聞いている。
「じゃあハイライトは?」
その言葉に亜由美が少し考えた。
「ありさちゃんに?」
「うん」
「んー」
亜由美は写真を見ながら首を傾げる。
「正直、流行だけで言うなら入れなくてもいいと思う」
「高校生だし」
「通学コーデの撮影だし」
「ナチュラルな方が合うと思う」
蒼真は黙った。
それは昨夜、自分も考えたことだった。
でも。
何かが引っ掛かる。
亜由美がその様子に気付く。
「なに?」
「いや……」
蒼真は写真を見る。
そこには笑顔の亜里沙がいた。
「なんか違う気がして」
「違う?」
「うん」
言葉を探す。
うまく説明できない。
でも。
昨夜から頭の中にある感覚だった。
「秋だから落ち着かせるのは分かる」
「でも」
蒼真は写真を見つめる。
「この人って」
「そんな感じじゃない気がする」
亜由美が少しだけ目を細めた。
蒼真は続ける。
「目立つとかじゃなくて」
「なんか……」
「光があるっていうか」
「明るいっていうか」
「その感じを消したくない」
自分で言いながら少し恥ずかしくなる。
だが。
亜由美は笑わなかった。
むしろ少し嬉しそうだった。
「へぇ」
「ちゃんと見てるじゃん」
蒼真が顔を上げる。
亜由美は写真を指差した。
「それ」
「流行じゃなくて、その子を見て考えてるでしょ」
蒼真は黙る。
亜由美は頷いた。
「なら答え出てるじゃん」
「え?」
「蒼真がやりたいようにやればいい」
「流行は大事」
「でも」
亜由美は少しだけ真剣な顔になる。
「担当は蒼真なんだから」
「最後はその子に何が似合うかで決めなよ」
蒼真は再び写真を見る。
秋らしさ。
流行。
そして。
亜里沙らしさ。
その全部を頭の中で組み合わせる。
すると。
昨夜ぼんやり考えていたイメージが少しずつ形になり始めていた。
*
専門学校が終わる。
蒼真はそのまま店へ向かった。
いつも通り手伝いをする。
掃除。
タオルの片付け。
洗い物。
営業終了後の後片付け。
全て終わる頃には店内も静かになっていた。
普段ならここから練習だ。
ウィッグを出して。
カットやカラーの勉強をする。
だが今日は違った。
蒼真は店に置いてあるファッション誌やヘアカタログを次々と集める。
そして待合のソファーへ座り込んだ。
ページをめくる。
まためくる。
ひたすらめくる。
秋コーデ。
ヘアカラー。
モデル。
撮影。
気になるページに付箋を貼る。
気付けば三冊目だった。
「おい」
突然声がした。
顔を上げる。
父だった。
「何してんだ?」
蒼真は雑誌から顔を上げる。
父は不思議そうな顔をしている。
それもそのはずだった。
普段の蒼真なら、とっくに練習を始めている時間だからだ。
「ちょっと考え事」
「美容のか?」
「うん」
父は雑誌の山を見る。
そしてニヤリと笑った。
「ほぉー」
「珍しく考えてんのか」
続き書く時間ないので、中途半端ですごめんなさい。
明日書き直しする予定ですね。




