表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/56

一緒に戦う覚悟もう離さない尾 2

 遺跡《カダルの顎》は、名の通り、大地に大きく口を開けたような峡谷の奥に眠っていた。

 石の門は既に朽ち、岩壁は黒ずんだ苔と血のような赤い蔦に覆われている。


 


 「うわ⋯⋯雰囲気、最悪」




 レイが肩をすくめる。


 


 「空気が、重い」




 リリィが呟き、指先で簡易の結界を張る。魔力が周囲に溶けていく速度が、尋常ではなかった。


 


 「⋯⋯嫌な感じだな」




 ジークが斧を構える。


 


 その時、エリオンが立ち止まった。


 


 「⋯⋯“気配”が変わった」


 


 その言葉に、全員が静止する。


 


 エリオンの瞳がスッと縦に細くなり、足元の尾が地面を叩くように動いた。




 「封印種⋯⋯もう目覚めている可能性がある」


 


 「じゃあ、時間ないってことか」




 レイが魔導具のロックを外す。


 


 「行こう」




 フィリアが短剣を抜き、静かに前を見据えた。


 


 







 


 遺跡内部は想像以上に広く、歪だった。

 床は崩れ、天井には牙のように尖った鉱石が生え、奥からは鼓動のような地響きがかすかに響いてくる。


 


 「まるで、遺跡そのものが生きてるみたい」




 フィリアが言った。


 


 「⋯⋯それは、封印種が“中で蠢いている”証拠かもな」




 エリオンの声が低くなる。


 


 そして彼は、ふとフィリアの手首をそっと掴んだ。


 


 「離れるな」


 


 「⋯⋯うん」


 


 ぴたりと寄り添ったふたりを見て、レイが小声でボヤく。


 


 「やっぱこわ⋯⋯ラブラブすぎてなんか⋯⋯こわ」


 


 「巻き付き魔法、かもしれないわよ」



 リリィの皮肉に、レイは「やめろ本当にありそうで嫌だ」と額を押さえる。


 


 








 


 遺跡の最奥に近づいた時、それは唐突に起きた。


 


 バキィン!と空間が割れたような音とともに、前方の岩盤が弾け飛ぶ。

 そこから現れたのは、異様な魔力に満ちた“蛇のような”巨大な魔物だった。


 


 「⋯⋯封印種ヴォルグナイト!」




 カルドから聞いていた名が、ジークの口から飛び出す。


 


 それは蛇の体に、無数の腕と目が生えた異形。

 瞳は全てが金色に輝き、その動きに合わせて空気すら震える。


 


 「くるぞ!!」



 ジークが前に出て、斧を振りかぶる。


 


 「後衛、展開!!」




 フィリアの号令でリリィとレイが左右に別れ、魔法陣を展開。


 


 「エリオン!後ろに回って!」


 


 「いや⋯⋯前に出る」




 エリオンの声が静かに響いた。


 


 彼の尾が地面にうねり、体の鱗が光を帯び始める。


 


 「フィリアを、後ろに下げたくない。⋯⋯一緒に戦うって、決めたからな」


 


 フィリアの目が、大きく見開かれる。


 


 「⋯⋯ばか」



 だけど、その声は優しい。


 


 「なら、巻き付いてでも隣に立ってなさいよ」


 


 「了解だ」


 


 巻き付き、守り、共に斬る。

 ラミアの本能が、もう恐れるべきものではなくなった。


 


 フィリアの刃とエリオンの牙が、巨大な異形に向かって放たれる――!


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ