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一度、多分顔を確認しに来た二人の人さらいはその後なにやら慌ただしく動いている。
そして、監視は有る分下手に動けない。今は人さらいの方を注目しているが、人さらいのそこそこ高い〈隠密〉を感知し続け、同時に自身も〈隠密〉で隠れおおせている監視は優秀だ。6歳児の動き位把握しているだろう。逆に出来なかったらこっちが疑われる。
自分も伊達に年齢は重ねて居ない。〈気配感知〉でこの都市内位なら余裕で把握できる。慌てているのは孤児院周辺と、貴族か。
これは、孤児は切り捨てられるか?だが、騒いでいる貴族は微妙。[遠視]も使って見るが、男爵……か?あ……。大事そうな書類は……。
ああ。
ルーはパイシーズの家か。
魔導国第十二都市を治めるパイシーズ侯爵家。何の因果かこんなところに居たのを男爵が偶然発見。保護して恩を売ろうとか?
基本的に5歳までは孤児院の外に出ないからルーは発見されなかったのか。
こんなのに、国のトップの12人の内2人がわちゃわちゃしてるとか、嘆かわしいね。
さっさと、男爵捕まえて、ルーを引き渡して終われば良いのに。貴族ってよく分からない。
どこか
「ルーレシア嬢本人なのか?」
「はい。名前、年齢、容姿、全て一致しています。ルートに関しましては、……」
「しっかし、侯爵家ともあろうになぜ誘拐等と」
「ああ。パイシーズ家には双魚の呪いが有る。何をどうやっても運悪く双子は離れ、そして再開する」
「呪いか。解呪は?」
「それが、双子が現れる度に呪いが付き、今回何が有っても耐えられるように『未熟』が外れてから解呪はしたそうだ」
「何が有っても?解呪に?」
「ああ。片割れの方にだ。未発動の呪い、つまり離れる前に解呪は出来ないらしい。片割れと同時に解呪出来ない反動で必ず再会するのだが、生きて再会するとは限らないんだ。そして死体で再会する場合、死亡時期は解呪後だ」
「じゃあ、解呪しなかったら?」
「体面を気にする貴族が呪いを解呪しない訳がないだろう。なんだかんだ解呪しなかった者も居たようだが、死ぬ前に必ず産まれるパイシーズ家の双子に受け継がれるように呪いは消えるらしい」
ドタンッ!ガタッ。バタバタ。
「おい!こっちに来い!」
う~ん。騎士か隊員か分からないが、追う人は近い。なので、
「えいっ」
ヤウを人質にするつもりか抱えようと屈んだ人さらい1の足に飛び付く。運良く転ばせることに成功、大丈夫、折れた足は素早く治しといて上げたから。人さらい2が殴りかかって来るがベッドの下へ潜って回避。
もたもたする内に騎士が来る。無事お縄。
「あ~」
「ヤウちゃんですね」
「ヤウちゃん、そこに居るんだろう?私達は味方だから出て来てくれるか?」
味方ねぇ。貴族関係は信用しない。第一監視が居たのに迎えが遅い。
「だれ?」
「騎士団の団長だな」
「第四都市騎士団団長、キャンサー公爵家次男アルタルフ・キャンサー様です。ヤウちゃん、良い子だから出て来てください」
「おい?」
「……貴族様」
チッ。しっかり貴族だと名乗られては言うことに従うしかない。子供相手に大人げない奴だ。
「「……ッ!」」
「?」なんだ?
「……出て来ましたね。良い子です」
「……おい。さらっと脅すな」
貴族は家を名乗るだけで下位の者に対して圧力になる。
「賢い子です。家に来ませんか?」
「……だれ?」あなたは。
「それについては……」
「アルタルフ様。……ヤウちゃん、私はヴィル・プレセペと申します。大変でしたね。まずは落ち着きましょう」
「……うん」
「……帰るぞ!」
「アルタルフ様はこのまま男爵の所では?」
「ああ。そうだった」
魔車に乗って移動する。魔車が通る道は地上だ。土地を有効に使うため建物は高い建物が中心、その建物同士に橋を渡したその上が人が歩く通りだ。
「ふっ。ヤウちゃんああ見えてアルタルフ様はヤウちゃんを心配していたのですよ?直接無事を確認なさるなんて、本気で養子も考えて……」
「……?」まじか。
「……今日はお疲れ様でした。もう遅い時間ですし眠いでしょう。このまま孤児院へ行きます。寝ても大丈夫ですよ」
パイシーズ侯爵家の呪いは半分は神罰。半分は神様の悪ふざけ。それ以外で代々続く呪いは無い。神様の悪ふざけはちょくちょく有る。




