保護
運良く騎士団に保護された。
若干の詰めの甘さは有るものの偽装工作は概ね成功。……多分。警戒される事も無く、騎士団の部屋に寝かされる。
そして、部屋には男女別で入れられ順番に事情聴取なのだが、捕まった後で酷い目に有った女性も居たらしい。騎士団とは言え怯えて進まない。本来なら個別に調書を取りたかったようだが、女性騎士にすら怯える。共に捕まった人同士で離れない。
よくある事なのか、そのままこの部屋で聴取が始まった。
寝た振りをしながら証言を聞き、状況と自分の設定を纏める。
まずどういう経緯で捕まったか、というところ。
他は盗賊や人さらいに捕まったらしい。自分も人さらいに、という設定で良いだろう。次に、親は?となる。
国、と言う組織が出来て人の管理がより正確になった。行方不明になればほとんど諦めるしか無かった昔と違いある程度の期間は捜索が行われるようになった。その記録から親が探されるだろうが3歳の親が見付からないのは不自然。だが、無いものは無い。……3歳である事を利用して知らない振りをするしかないが、普通の3歳の反応がわからない。
なんとか〈演技〉が仕事してくれる事を祈って……。
そもそも勢いで来た以上、しらをきるしか無い訳で……。
ああ!面倒くさいなあ。
目を開ける。
「……ジュナちゃん?」
ジュナ?誰それ。
「……」
「ああ。目を醒ましたのか。自分のステータスは確認出来るかな?」
自分に言っているようだ。
「……できりゅ」
3歳の滑舌はどうか。
「名前を教えてくれる?」
「夜雨」
「……ヨウ?ちゃん」
「や、う!」
「ヤウちゃん?」
「……ん」
「……ヤウちゃん、状態とか、分かる?」
「……?」
3歳に状態は分かるのか?
「あ~っと。ステータス、順番に言える?」
ステータスは順に
名前 年齢
人種 Lv
状態
HP 現HP/最大HP MP 現MP/最大MP
〈スキル〉
文字、というよりは感覚で視るものなのでまあ、順番に言うだけなら
「……やう。しゃんしゃい。ひと。つよさよん。『あかちゃん』『はなれちゃめ』。せーめーりょく……」
3歳児の語彙力ではこんなもんか。
『未熟』は0~5歳までの状態。呪いやHPといった表現は成長過程で学ぶ為大体どの人も同じ表現になる。
「ああ。そこまでで大丈夫だ。……状態異常は、はなれちゃめ?魔道具の呪いだろうか。後は大丈夫……と」
紙に書いていく女騎士さん。
とりあえず、子供のなぜなに攻撃。3歳がするのかは知らないが。
「それ、なーに?」
「これか?これは、報告書だな。……えらい人に報告……えっと、しらせるもの?だ」
凄い。忙しいだろうに小さい子に理解しやすいように話してる。優しい人だ。……次。
「こりぇは?キラキラ」
腕章。恐らく国章。金糸の蟹?
「これは、蟹だな。はさみのやつだ。旨いぞ?」
違う。そういう事が聞きたいわけじゃない。仕方ない。次。
「これ……」
「ヤウ、ちゃん?こちらにいらっしゃい。お姉さん達ともお話ししましょう?」
女騎士さんに質問を続ける自分にみかねた保護された人達が呼び掛ける。うん。あちらの方がゆっくり聞けそうだ。
「おねーしゃん!」
わざとらしく駆け寄るが、半分本気で転けた。
むう。歩幅がいつもと違いすぎて。……泣くか。
「……ふ、ふぇ。……ぇええ~ん!」
「だ、大丈夫!?」
「よ~しよし。痛かったねぇ」
「わわわわわ……」
「HP回復薬持ってくる!」
女騎士さん。そこまでじゃ……ってそうか。3歳のステータスが低い時に思いっきり転ぶとHPの危機、運が悪ければ死亡もあり得るのか。
お姉さん達と雑談していると、いつの間にか居なくなった女騎士さんの代わりに意匠の違う制服を着た女騎士が入ってきた。
「ここからは、皆様を保護した騎士団に代わり私達治安維持隊が引き継ぎます。調書及び捜索依頼より帰還準備は行っておりますが、早くとも出発は明日になります。今日はこのまま泊まって頂きます。食事は~」
泊まるらしい。
女騎士さんじゃなくて女隊員さんだった。
「ヤウちゃんは、……お父さんかお母さんは?」
来た!……が、対処法は考えた。……泣け!
「おとーしゃん、おかーしゃん……。う、うえ~ん!」
「わわわわわ」
「だ、大丈夫よ!?」
「ヤウちゃん、お姉さんは居るからね!」
「わ、私がおかーさんよ!?」
誰か錯乱しているが、威力高いなあ。
ボソッ
「やはり。……依頼も何も無かったし、恐らく盗賊に殺られたか……?盗賊の被害者は他にも居るようだし。対人な以上治安維持隊の役目だが、盗賊は他国。上に通すしか無いのがもどかしいな」
で次の日、やっぱり孤児院行き。
孤児院行ったらどうしようか。
調べた3歳児
個人差の大きい時期。
言葉は簡単な単語を3つくらいの文。
なぜなに攻撃で語彙は大幅に増える。
空想と現実が混ざってる。
嘘は付けない。
0ヶ月の身長92cm、体重13kg。
参考




