染み渡る味
【ロウ】
とてもとても長い廊下…ランタンの灯りに似たオレンジ色の光が、優しく行く先を照らしている。
この道を通る者に反応して、天井から等間隔で生える琥珀色の鉱石が、周囲の魔力を吸収して明滅している。
オスカーの家は無駄に広く、知らない者が迷い込めば、白骨化するまで見つからないかもしれない。
やっとの事で廊下を抜けると、縦約10メートル、横6メートル程の、青銅で造られた両開きの扉が見えてきた。
この扉は、オスカーが拘って作った扉で、ウォーターハウンドの姿が格好良く描かれている。
「やっぱり恥ずかしいよな…」
自分の部屋に入る扉に、自分の顔を彫り込んでる奴がいるだろうか…答えはNOだろう。
「これさえ無ければね」
扉にはドアノブのような物はなく、押せば開く仕組みになっている。
「せーの!」
今は腕が使えないので、背中で扉を押し開く事にした。
重い扉が軋みをあげて、金管楽器の重低音のような音が鳴り響いた。
ここまで薄暗い通路を歩いてきたので、扉の隙間から溢れた光が、目を細めてしまう程に眩しい。
眩しさの原因…扉の向こう側の天井には、巨大なクリスタルが1本生えていた。
クリスタルの中心が白く発光していて、まるで太陽の光のようにすら思える。
この部屋は、部屋と呼ぶにはとても広く、広大な草原に大きく澄んだ湖が設置されていた。
他にも小型の動物が生息していて、林檎の木や桜の木が生えていた。
そのお陰で、この空間が地上から800メートルも下にあるというのに、閉塞感をまるで感じさせない。
湖のほとりには、木造の白い館が建っていて、田舎の豪邸をイメージした造りになっている。
館は2階建てで、大き過ぎる訳では無く丁度いい。
「やっと帰って来たな」
そよ風が草原を吹き抜けて、サラサラと心地良い音を奏でている。
胸に抱く少女の耳には、葉が擦れ合う音で、今の言葉は聞こえなかっただろう。
どちらにせよ気を失っているのだ…聞かせるつもりで口を開いた訳では無い。
回復系の魔法を全く使えないので、寝室にあるポーションでもふりかけてみようと思う。
館の屋根には、風見鶏型の魔道具が設置されていて、これがこの地下の部屋に微風を作り出してくれている。
湖には20メートル程の桟橋があり、2人乗り用の手漕ぎボートが1艘浮かんでいた。
さっきまではこの少女に気を割いていたが、何年もこの部屋を出たきり戻れなかったので、懐かしい気持ちが込み上げてくる。
(ほんと…やっとだよ…)
湖面が揺らぎ、何かがこちらへ向かってきた。
用心深く、こちらの姿と魔力を探っているのがわかる。
ゆっくりと姿を現したのは、高さ3メートルくらいになるレインボーフロッグで、ペットのケロンちゃんだ。
昔人間に無抵抗のまま討伐されそうになっていたところを助け、手当てのためにここへ連れ帰ったが、そのまま居着いてしまった。
「ろ……ろろう…ろうろろ…にゃん」
「ケロンちゃんただいまー」
「にゃん、にゃん」
ケロンは、今日はルビーの様に鮮やかな赤い色をしている。
甘えたいようで、目を閉じながら頭を体に擦り付けてきた。
体は大きいが、ケロンの声は女性のように高い。
「あはは、ごめんよー…今両手が塞がってるから、ちょっと待っててね」
「にゃん…」
少ししょんぼりした姿も可愛い…語尾ににゃんを言ってしまうのは、言葉を教えている人に問題がある…
「おかえり~なさいにゃーん」
「ああ、ただいまロッカさん」
背後から声をかけられて振り返った。
ケロンがにゃんを言ってしまう原因で、オスカーの部下であり、この部屋全体の管理をしてくれているロッカさん。
彼女は猫系の亜人ですらなく、エルフだったりするのだけども…何故にゃんと言うのかは謎だ。
金色の長い髪、エメラルドのような瞳、白い肌、黒いワンピースを着ていて、赤い下着…みす。そこまでは確認していない。
オスカーの配下で、この部屋全体の掃除や管理をしてくれているのだ。
「寝室にこの子を寝かせるから、ロッカさんご飯作ってきてちょーだい」
「了解ですにゃーん」
ロッカは本来使用人では無い…弓と風系の魔法の達人で、戦えば苦戦は免れないだろう。
「御冗談をー…私ではロウ様に~傷1つ付ける事は叶いませんー。下着の柄は水玉ですにゃーん」
「あ!…ごめんなさい…」
ロッカが読心術を使えた事を忘れていた…ごめんなさい…水玉かー…あ、ごめんなさい!
人の心が読めるというのは、戦闘ではかなり有利になるはずだ。
「私が〜、ロウ様の心を読めるのは偶然ですよー。この能力には欠点がありまして~…うふふ。実力が私以下の場合じゃないとー、心の中が探れないのですぅ~。人間の男性は例外でー、無条件で理解出来るのですがー…ロウ様が元々~人間だったからですにゃーん」
頬から冷や汗が流れる…昔から顔に出やすい性格で、幼なじみには考えてる事がバレバレだったのだ。
あの頃の事を思い出すと、ロッカは幼なじみにそっくりで、最愛の人が目の前に蘇ったのかと錯覚させられる事がある。
「人間だった頃もあったな…まあかなーり昔の話だけどね」
「うふふ。私はロウ様が大好きですにゃん」
「な、なにさ!いきなり!」
ロッカが正面から近ずいてくる…
花凜を挟んでギリギリの位置で止まり、踵を上げて白い柔らかな腕を首に回してきた。
顔が、唇が触れそうな程に近い…考えちゃダメだ!考えちゃダメー!
ちょっかい出しすのは好きだが、出されるのには免疫が無い…
だいたいロッカさんは彼女の生まれ変わりなどでは無く、彼女が息を引き取った時には、すでにこの世に生を受けていたのだ。
見た目は20歳くらいでとても美人だが、実年齢はおおよそ…
「…けほん」
今まで感じた事がないような殺気が放たれ、背筋に冷たいものがはしる。
年齢に触れるのはダメらしい…
ケロンも殺気を感じて表情が強ばった。
「ふふ…では~作ってきますにゃーん」
殺気はそのままに、満面の笑みを作るロッカさん…
思い起こしてみれば、ロッカさんにはいつも遊ばれっぱなしだった…
心臓に悪いから勘弁して欲しい。
「あ…ありがとー」
絡めた腕をゆっくり解いて、館へ歩きだしたロッカを見て、安堵の溜め息を吐く…しかし、ロッカは再びこちらへ振り返った。
「下着…見たいのですかにゃーん?」
「うん…あ、じゃなくて…あー…早く行って下さい…お願いします…」
ロッカはまた少し微笑むと、館の中へ入って行った。
「ろう…ろろ…にゃん」
ケロンに声をかけられて、自分が放心していた事に気付き、ハッとした。
傍から離れようとしないケロンには悪いが、花凜をベットに寝かせるために、1度館の中へ入ろうと思う…それに今のやりとりで、どっと疲れが出たようだ。
「そんな目で見るなよ…また後で」
「にゃーん…」
人化さえ出来るようになれば、ケロンも家の中で生活する事が出来るだろう。
言葉もだいたい伝わるようになってきたので、そろそろ練習を初めても良い頃合いだと思う。
ケロンの寂しそうな顔に、後ろ髪を引かれながら、花凜を抱きなおして館の中へ入った。
中に入ると、ちょっとしたパーティーが出来る程大きなリビングになっていて、右に進むとキッチンがあるのだ。
寝室は2階なので、今は1階に用事はない…入口を入ってすぐ左側に、少しお洒落な螺旋階段があるので、そこから2階へ移動する。
螺旋階段を登りきると、左右に続く廊下が現れて、正面には湖が一望出来るバルコニーがある。
一望出来ると言っても2階建てなので、そこまでの高さは無い。
窓から入った光が、赤い絨毯を半分照らしていた。
廊下を右へ進むと、書庫とロッカさんの部屋があり、左へ進むと、自分の寝室と空き部屋があるのだ。
寝室はかなり広く、薄緑色の壁紙が、優しく気持ちを和ませてくれる。
花凜と一緒に、そのままベットになだれ込みたい気分だ。
「まだ意識が戻らなそうだな…」
そっと花凜が羽織っていたシャツを剥いで、ベットに寝かせた。
傍らに、戦闘でとれてしまったらしい右腕を置く。
後でロッカに花凜の服を用意してもらおう。
窓を5センチくらい押し開くと、気持ち良いそよ風が入ってくる。
「花凜ちゃんの体ってポーション効くのかな?」
オスカーの岩の体には、ポーションを使っても意味が無いと、昔本人が言っていた…花凜はどうだろうか?
ロッカがちゃんと毎日掃除してくれているようで、何処も彼処も綺麗に磨き上げられている。
ベットの脇にあるアンティーク調の小さな棚の中には、とても高価なポーションが数種類入っていた。
「これ使ってみるか」
選んだのは魔力の回復を助けるポーションで、少し特殊なアイテムだったりする。
胸の傷口から注いでみたが、飲み込めるなら飲んだ方がいい筈だ。
同じポーションがまだ2本あるので、意識さえ戻れば後で飲ませる事が出来るだろう。
花凜の閉じた目から、涙が滲み出てきていた。
「大丈夫だよ。あれだけ戦えてたんだから」
きっと悔しかったんだろう…ハンカチを取り出して、涙を拭ってあげる。
元々花凜とオスカーの実力は、何倍もの差があるように見えたので、戦闘にすらならないと思っていたのだ。
それが間違いだったとは思わないが…
(それにしてもびっくりしたよ…頭の中がお花畑な奴って言い回しはあるけど、頭の上がお花畑になるのは、洒落にならないよね…あはは)
艶やかなパールシルクで出来た薄布を、花凜の体にかけてあげた。
「良く頑張ったね…今はお休み」
ベットの淵に腰掛けて、花凜の左頬を右手で撫でてあげた。
早く回復してくれたら良いけど…
(花凜ちゃん、数時間は目覚めないだろうな〜。早くお話もしてみたいんだけどね)
そよ風を感じながら、クラーケンとの戦いを脳内でシミュレーションする。
クラーケンに守られて、全てを捧げた彼等との戦闘は避けられないだろう…
みんな必死なんだ…大陸が破壊され、何千万人の人間が死のうが、彼等はクラーケンの命を優先する筈だ。
「はぁ~、戦いたく無いな…」
花凜の左手が動いて、花凜の頬を撫でていた右手が捕まってしまった。
無意識に動いたんだと思うけど、もの凄い力だ。
「…はむ」
「へ?」
人差し指が花凜の口へ運ばれてしまう…口の中は生暖かく、ねっとりと絡みついてくるようだ…
「それ、おしゃぶりじゃないんだよ~」
洒落にならない力を除けば、赤ん坊のそれと変わらない。
なんか少しエロい気もするが、役得だと思う事にしよう。
微笑んでいられたのもここまで!花凜の手に更に力が入ってきた…
「痛たたた!痛いって!折れちゃうよー」
右手を捕まえている花凜の手を、自由な左手でタップした。
「花凜ちゃん?花凜ちゃーん」
花凜はやっぱり無意識のようで、人差し指を吸い始めた。
(力が抜け…え?)
人差し指からギュンギュン魔力が吸われていく…抵抗しようにも魔力の流出が止まらない。
「だ、駄目だよ!これ以上は!待ってー、待って~あぁぁあああ~吸わないで~……あふ…」
疲労困憊の体に、ロッカによる精神的な披露も重なり、花凜のドレインにトドメをさされる…
階段を駆け上がる音が聞こえ、すぐにロッカが部屋に飛び込んできた。
「あとは…任せ…た…(ガクッ)」
「あらあら…」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間気を失っていたらしい…室内に風が吹いていた。
ベットに仰向けで寝ていたらしく、視界に天井の板の継ぎ目がぼんやり見えてきた。
(あ…生きてた…)
何かがゴソっと動いたので、そちらへ顔を向けてみる。
傍らには、肌がつやつやな花凜が気持ち良さそうに眠っていた。
右腕は花凜に完全に拘束されていて、腕枕をさせられている。
傷が治り、腕もくっついているようだ。
「…地獄を見たよ…リアルで…」
花凜の温もりと、柔らかい肌の感触が伝わってきて、成熟した体では無いが、意識しない方が難しい…
(平常心…平常心…)
「お目覚めですかにゃん?」
「ひぃ!」
反対側から声がしたので振り向くと、ロッカが隣で添い寝している…びっくりして変な声が出てしまった。
(え?これどんな状況?)
キングベットでスペースに余裕がある筈なのに、いや…問題はそこではなく、ロッカがぴったりとくっついていた。
「ロッカさん?何してるのかな?」
これ以上ロッカが近ずかないように、左手を顔の前まで上げてガードする。
「ろう…にゃん」
次は足元の方から声が聞こえたので、首を少し上げると、大きなケロンがベットを覗き込んでいた。
(どうやって中に?…あー…はいはい)
寝室の1部の壁が破壊されていて、もはやそよ風じゃない風が室内に入ってきている。
「…はむ」
左手の中指が、ロッカの口に咥えられた。
ガードのつもりで出した手が、ロッカの餌食になってしまったのだ。
「ちょ!ちょっと…ロッカさん!そんな物舐めちゃだめだよー」
「ずるいです。私にもロー様を下さいにゃん」
「ろうにゃん、ケロン…も、にゃん」
ケロンが軽く飛び上がった。
「待ってー!ケロンちゃーん!」
ズシンという音と共に、全員がケロンの下敷きになる。
「うぅ…」
身動き1つとれない…
(ん?)
下腹部から服の中へ何かが侵入してきた。
そこは絶対に触っちゃいけない場所!どさくさに紛れたロッカの仕業だろう。
「もごも!んむんんー!」
ケロンのせいで声が出ない…
(あぁ…本当に…帰ってきたんだなー…)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【オスカー】
俺は花凜との戦いの後、その場に残り、座禅をして精神統一をしていた。
『オスカー様、緊急事態かもしれません…』
この声はアドモス…北の大陸で、魔族全体の動きを監視してもらっている。
『どうしたんだ?』
『魔王が何かを始めるみたいで、ちょっとまずいかも…』
魔王は唯一宝珠の力を取り込んだ後も、自由に動く事が出来ていた。
彼の魔法は服従の言霊…条件を満たす事で、どんな命令でも可能になってしまう。
1:1で戦えば、勝率は半々といったところだろうか…
だがそれは宝珠を取り込む前の話で、今の戦闘能力はわからない。
魔王の事を彼と言ったのには理由があり、誰も彼の名前を知らないからだ。
『まったく…こんな時によー…痛ってー!』
『どうされたのですか?』
『いや、こっちの事はいい』
頭をガリガリ掻いたら、花を傷つけてしまったらしい…
ちょっと自分自身が情けなくて、目の端に涙が溜まる。
『で?何があった?』
『情報によれば、宝珠の複製を作ろうとしているとか』
『そんな事が可能なのか…?』
『わかりません。また何かわかれば連絡します』
『ああ、頼む。無理はするなよ』
今度レイブに会ったら、宝珠の作り方を聞いてみよう。
問題は増える一方だ…
まずは目先の問題から片付けていこう。
(何とか体の中のイバラは除去出来たな…しかし…)
頭から生える花には痛覚があり、斬っても抜いても生えてくる。
(あぁ…勘弁してくれよな)
後で花凜に治してもらうしかないだろう。
やる事があるので、あまりのんびりもしてられないのだ。
溜め息を吐き出してから、項垂れる頭を左手で支えた。
「これも後回しだな」
座った状態のまま、人間の姿の時に使う衣装部屋まで、直通トンネルを開く。
ほとんど真下に部屋があるので、落ちて行けば良いだけだ。
「よっと」
部屋にはすぐに着いた。
頭の花が隠せればそれで良いので、手頃な帽子を探してみる。
色んな帽子をかぶってみるが、花がひしゃげると、何だか落ち着かない…
「似合わないな…」
最後に行き着いたのが、魔道士のようなとんがり帽子だった。
「仕方ないか」
赤い長袖シャツと、黒い皮のベストを着込んで、すぐにロウのいる部屋の前へ転移した。
「やっぱり良いなーこの扉は!ロウの部屋って感じがしてよ」
この城の中では、基本的に転移して出る事も入る事も出来ない。
魔法による遠視も出来ないようになっているので、この城の中は何処よりも安全だ。
数箇所だけ転移が可能な場所があるのだが、そんなのを無視して転移して来る奴が1人だけいる。
元妖精王のレイブ・チム・ユメライだ。
他の例外は俺と親父だけ…親父はこの城の最下層で、厳重な封印を施された部屋の中に居る。
少し考え事をしている間に、俺の足は自然とロウの館の前に辿り着いていたようだ。
「おーい、ちょっといいか?」
館の入口を開けると、リビングのソファーにロウが座っていた。
「お~…オスカー…」
「おい、そんなにやつれてどうしたんだよ?」
今にも死にそうという勢いで、ロウの顔に生気が無い。
「オスカー様、いらっしゃいませですにゃーん」
ロッカがキッチンの方から顔を出した。
料理を作っていたらしく、美味しそうな匂いが漂っている。
ロッカの方は逆に、いつもより肌がつやつやしているようにも見えた。
カートに沢山の料理が乗っていて、後はテーブルに並べるだけらしい。
深い一礼をして、こちらに笑顔を向けてくる。
「いや…まあ…いつもの事さ~…ただ、搾り取られ過ぎちゃって…ね…心も魔力も…色々とさ」
だいたい何があったのかは想像が出来る…出来るが、何故魔力まで?それに心って…
「…そ…そうか…お疲れ様だな…疲れてるとこ悪いんだが、ちょっと動いてもらいたいんだ」
「んー?何すればいいのー?」
「1度花凜の家に行ってくれないか?その時が来るまで、俺は花凜を鍛えたいと思うんだ」
「ずいぶん花凜ちゃんを当てにしてるんだね…そんなに強かったの?」
「いや、花凜はまだ素人だ…でも鍛えれば化けるかもしれない。何を考えてるのかわからないところが気に入った。俺は花凜が回復するまでに、海底でやる事があるから、一旦城を出なきゃならないんだよ…だからそっちはロウに任せたぞ」
ロウもロッカも少しびっくりしたようだ。
「おーけー…オスカーにそこまで言わせるなんて意外だったよ。あ、ご飯食べていく?」
「俺は~…遠慮しておくよ」
「ロッカさんのご飯は本当に美味しいんだよ。何か体に染み渡る~っていうかさ」
カートの上の料理を見てみると、赤沼スッポン鍋、ベヒーモスの黒焼き、マムシ濃縮ドリンクetc…上手くカモフラージュされているが、眠のポーションに麻痺の小瓶まで…
きっとこの後も搾り取られるのだろう…そんな予感のするメニューだった…
当の本人は気づいていないらしく、ただただ料理が楽しみらしい。
(ロウならきっと大丈夫だ。元最強の人間…剣聖ロウマリオス・ベイリー・モーガンならな)
要件は伝えたので、すぐにでも仕事に移るとしよう。
あれは見なかったのだ!そうだ!俺は知らないさ。
少しでも戦闘を有利にするために、大規模な要塞を海底に建てようと思う。
「久しぶりに帰ってきたんだし、ゆっくりみんなで料理を楽しむと良いさ。落ち着いたら出発してくれ。それじゃあまたなロウ、ロッカ」(オスカー)
「行ってらっしゃいオスカー。気をつけて」(ロウ)
「あぁ…お互いにな」(オスカー)
「行ってらっしゃいませにゃーん」(ロッカ)
(本当に大丈夫か?)
少し不安になったが、気を取り直して館を出る。
ロッカに頼んだのが間違いだったのかもしれない。




