天才、手紙
「私…体術覚えないとな…」
「なんだ急に?」
朝食を食べた後、リオン、ドク、ミーと訓練所に移動した。
私がいきなり体術を覚えたいと言ったので、リオンが変な顔をしている。
強くなるためには、魔法だけでは駄目だと思ったのだ。
ドクとミーは、私の魔力を浴びて奮闘中だ。
圧倒的な力を目の前にしても、普通に動けるようになる練習をさせている。
「私、昨日の戦闘でわかったんだけど…私は身体強化だけで、後は魔法頼みなんだよね…」
「花凜の身体強化の魔法は、どんどん成長してるぞ?」
リオンの言う事もわかる…私の身体強化魔法は、日々どんどん成長しているのだ…
体に流せる魔力量もそうだが、きっと世界樹としての体の方もかなり成長していってるはずである。
でも昨日の戦闘でわかった事、それは技術力の差だ。
というのも、単純な速さや力では私の方が勝っていたのに、走れば先回りされて殴りかかればいなされる…
魔法の相性が悪い場合に備えて、物理攻撃も覚えるべきだと思ったのだ。
シルフの風魔法があれば、大抵の事は大丈夫だとは思う…しかし、それが通じるのは、格下相手だけであろう。
ドクとミーは確かにステータスは高いけど、リオンに一太刀浴びせる事が到底出来るとは思えない…
それ程に能力に差があるのだが、リオンは2人から深手を負ったのだ。
手加減していたとはいえ、油断はしていなかったのだ。
「私やリオンって、身体強化と自分の魔法しか普段使わないじゃない?」
「何か問題があるのか?」
「リオンくらい自分の魔法を使えれば、確かに問題はないかもしれない…でも人間から学べる事も、多いとは思わない?」
「なるほどな…」
私はドクとミーを見た。
2人は腰が引けて、ヘタリ込みそうなのを、必死に堪えている。
空気椅子でもしているかのような格好で、ぷるぷるしている姿が少し可愛いような気がした。
何か言いたそうな顔をしているので、私は魔力を遮断してあげる事にする。
「ふぁ〜…おさまった!師匠も花凜ちゃんも、身体強化しかしてなかったの?」(ミー)
「初歩の技だけであんな蹴り…やっぱり師匠は凄い…花凜様も!」(ドク)
「そういえば!ドクちゃんも私に様は付けないでいいよー」(花凜)
「あ、はい!花凜ちゃん」(ドク)
「私達は、絆の宿で戦い方を教えてもらったんだけど、ラグホーム王国には、戦闘訓練学校があるよ」(ミー)
「うんうん!でもあるにはあるんだけど…入学するのは無理じゃないかな?」(ドク)
「ふんふん、詳しく教えて!」(花凜)
その学校に入れば、戦闘の基本が学べるかもしれない!
私はそんな風に、少し考えたが、ドクとミーに教わればいいのだ。
しかし興味がないわけではないので、話だけでも聞いておく事にする。
「私とドクはお金無かったから、学校入らなかったんです…でも学校の事は他の冒険者から聞いてるよ!」(ミー)
「ほとんどの冒険者は、王国にある戦闘系の学校卒業してから、冒険者の試験受けるんだよ」(ドク)
「私達は、実戦で鍛えたからね…」(ミー)
「最初の頃は、絆の宿で住み込みで仕事させてもらってたんだよ。
食器洗ったり、配膳したりして…」(ドク)
ドクはそう言うと、空中を見つめた…きっと辛かった事を、思い出してるんだろう…
2人の仲間や家族は、今もクレイ王国の奴隷だ…早く何とかしてあげたい…
「給仕服は女性用しかなくて、ドクはずっとスカート履かされてたの!」(ミー)
「それは言わないでよ!」(ドク)
「本当に可愛かったんだから!」(ミー)
「!!!?今からドクのスカート買ってくる!」(花凜)
「やめてください…お願いします」(ドク)
ドクは顔が真っ青になる。
「ドクの事を、ずっと女の子だと思ってた冒険者にね、ドクは…」(ミー)
「だめーーー!言わないで!」(ドク)
ミーの言葉を遮るドク、この双子は本当に可愛いのだ。
きっと絆の宿の酒場でも、相当モテたに違いない。
ミーは少し悪い顔をして、ドクのほっぺたを突っつく。
ここは大人の対応として、察してあげよう!
話が大分逸れてしまったので、苦笑いで済ませた。
「学校の話を強そうな冒険者に聞いて、私達は実戦で訓練したの」(ミー)
「身体強化、瞬翔、堅塊、一時的な限定解除、他にも色々教わった!師匠と戦った時は、自分達は全部使ってたんだよ?」(ドク)
またドクは、空中を見つめた。
リオンと戦った時の、あの理不尽を思い出しているのかもしれない…
「なるほどな、私は身体強化しかしていなかった…人間とは、色々考えているのだな」
「ドクちゃんとミーちゃんに教われば、強くなれそうだね」
リオンも私も、魔物と戦うだけなら苦労してこなかったので、色々な技術を学べれば今よりもっと強くなれそうだ。
「ドク先生!ミー先生!教えて下さい」(花凜)
「頼むぞ、2人とも」(リオン)
「じゃあまず瞬翔からね!
これは一瞬で、短距離を移動する技だよ」(ミー)
「こうズビッンギューって感じで!」(ドク)
「違うよ!ズビっぎゅ!だよ!」(ミー)
「「…」」(花凜、リオン)
「はぁ?全然違うよ!それじゃあギュワっとなるじゃん!」(ドク)
「ンギューなんてしたらドゥってなるじゃん!」(ミー)
「こうビビっとしなきゃだよ!」(ドク)
「違う違う!」(ミー)
――――ワーワーギャーギャー――――
「リオン…何かわかった?」
「全くわからんな…いわゆる天才なんじゃないか?」
「ラグホームで余裕出来たら、学校見に行ってみよっか…」
「私も少し興味が湧いたからな、行ってみるか」
私とリオンは双子の説明を理解するのを諦めた…
朝ご飯の時に、2人に約束した事を先に済ませてしまう事にする。
「ドクちゃん、こっち来て背中出して」(花凜)
「背中?」(ドク)
「うん、腰の少し上に取り付けます!」(花凜)
「え?何を?」(ドク)
私は、まずはドクから改造する事にした。
毛の色に合わせた漆黒で、サラサラの手触り…堕天使のような翼を、背中にくっつける。
「どう?飛べそう?」(花凜)
「何これ何これ!やばい!」(ドク)
「ずるい!花凜ちゃん私も早く〜」(ミー)
ドクに翼をつけると、すぐに感覚で理解してしまったようだ。
部屋の中を飛び回りながら、アクロバット飛行をして遊んでいる。
ミーはそんなドクを見て、とても羨ましそうにしていた。
すぐにミーにも翼をくっつけてあげると、ミーはドクを追いかけて飛んで行く。
「翼の説明…いらないか」
この翼はエルの手足と同じように、思った通りに動いてくれるようになっている。
魔力を沢山蓄えてくれるので、2人の戦闘は明らかに楽になる筈だ。
「リオンも付ける?」
「私はいらないな」
「そう?可愛いいと思うんだけどなー」
「自分で飛べるから必要ない」
「わかった!私はリーファウスが手紙をちゃんと書けたかどうか見てくるね」
リオンに声をかけてから、私はリーファウスの居る部屋に向かった。
ドクとミーは夢中になって飛んでいるので、わざわざ声をかける事は無いだろう。
楽しそうに遊んでいるようにも見えるが、2人はとても真剣に頑張っているのだ。
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私はリーファウスの居る部屋に入ると、まだ手紙を書いてるみたいなので、邪魔しちゃいけないと思い静かにしている。
リーファウスは、私が部屋に入ったのも気付かない程、手紙に集中している様子だった。
「エル来たのね!」
エルが部屋に入って来たので、私はエルに声をかけた。
「か、か、か、花凜!!何時から居たのだ!」
「少し前だよ?」
「リーファウス様、手紙は書けましたか?」
私はリーファウスの手紙を見てみようと思い、机を覗き込もうとした。
リーファウスは両手で即座に手紙を纏め、エルに手紙を叩きつける…何故かリーファウスの顔が赤くなっているような気がした。
「リーファウス?」
「こ、こ、これを頼んだのだ!」
「はい…では行ってきます!」
リーファウスは焦ったようにエルに手紙を渡すと、すぐに部屋を出ていった。
リーファウスに何かあったのだろうか?
「エル、気をつけてね!」
「花凜さん、行ってきます!」
エルは手紙を受け取り、すぐにでも出発しようとしたが、私は少し引き止める。
「エル、コクヨウにお弁当頼んだから、出発する前に受け取っていってね!
あと向こうに着いて、お金ないんじゃ困るだろうから…とりあえず金貨20枚渡しておくね!」
「こんなに!」
「あれ?多過ぎるかな?」
「向こうで何するかによるけど…こっちの状況を伝えるだけで、すぐに戻るなら多過ぎかな?向こうで滞在して、王様の手伝いするなら日数次第だと思うよ」
エルの言う事はもっともだ…下着事件から少しぎくしゃくしていたが、基本真面目な大人な男性なので、本来なら頼れるお兄さんなのだ。
何かあるといけないので、もう少し渡して、エルの判断に任せよう!
「向こうでどんな流れになるかわからないから、金貨100枚渡しておくね!出来る事が無さそうなら、こっちに帰ってきて」
「わかった!じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい!気をつけてね」
エルが部屋を出て行った。
私は何となく、部屋を見渡す…あれ?手紙が落ちてる?
内容を見てみたいが、育った世界が違うため、まだほとんど文字が読めないのだ…
王様に書いた手紙なのが何となくわかるくらいで、その内容まではわからない…
(もしかして…書くの失敗したやつかな?)
暇な時間が出来たら、シスターズに文字を勉強してもらった方がいいだろう。
そんな事を考えていたら、足音が近付いてくる音が聞こえてきた。
「あ、リーファウス戻ったのね!」
「か、花凜!よ、読んでしまったのか!?」
リーファウスが、私の手の中に手紙が握られているのを見て、顔を真っ赤にしている…何故だかわからないが、失敗が恥ずかしいのだろうか?
「すまない…いや、謝る事ではないか…つい思っている事を書いてしまったのだ…出来れば、そのな…自分で言いたかったのだが…」
(ん?紙を無駄にしてすまないって事?紙は確かに安くはないけど、気にする事はないのに…?王様に自分で、直接報告したかったのかな?)
「気にしないでも大丈夫だよ!手紙には思った事を書かないとね!直接言いたかったのなら、行ってみる?」
「今ここでか!?」
(今ここで?どういう意味だろ?王様を連れて来て欲しいって事?)
「えーと…お父さん連れてくる?」
「なん!あわわ、もうそんな段階なのか!」
(流石に、今は無理なんだよね…エルが向こうに到着しないと、ドリアードのワープが使えないから…でもやっぱり、お父さんに会いたいのかな?リーファウスも不安ばっかりだよね…何とかしてあげたいけど、今は待ってもらうしかないや…)
「私もリーファウスの気持ちはわかった!なるべく早くなるように頑張るね!」
「……花凜…余は嬉しい…」
リーファウスは安心したみたいだ、でも何でこんなに顔が真っ赤なのか…熱でもあるのかな?
「リーファウスちょっとだけいいかな?」
私はリーファウスの顔を触ってみる…やっぱり熱いかもしれない…
家の中は常に適温に保たれていて、微弱な回復魔法がかけられている…
やはりリーファウスは、心の疲れが出たのだろうか?
命をグラシアン王国と叔父さんに狙われて、平然としていられる訳が無い…
これ以上熱が上がると、明日の出発に影響するかもしれないので、今日はリーファウスと一緒に寝て体調を整える事にしよう。
「今日は一緒に寝よ?」
「…」
「リーファウス!リーファウスーー!」
リーファウスが倒れてしまった!
もう少し早く気付いていれば…
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【リーファウス】
(びっくりしたのだ…いきなり後ろに、いるのだものな…)
今の自分の状況と、自分達のこれからの予定を父に伝えるべく、手紙にわかりやすく書き出した。
その後暇だったので、花凜に対する自分の気持ちを、書き記していたのだ…
好き好き好き〜とか、文にもなってないような、粗末な物…
(すぐに隠したから、バレてないと思うが…大丈夫かの?とりあえず部屋に戻るか!)
部屋に戻ると、花凜が何かを手に持っている…あれは!
「あ、リーファウス戻ったのね!」
「か、花凜!よ、読んでしまったのか!?」
(なんて事だ!顔から火が吹き出そうだ…どうしてこうなってしまうのだ…ああ、考えが纏まらん…)
「すまない…いや、謝る事ではないか…つい思っている事を、書いてしまったのだ…出来れば、そのな…自分で言いたかったのだが…」
(こんなつまらない告白など、嫌われたってしょうがないではないか…雰囲気も何も、あったものではない…)
「気にしないでも大丈夫だよ!手紙には思った事を書かないとね!直接言いたかったのなら言ってみる?」
(な!こんな告白でも受けてくれると言うのか?確かに余は思った事を書いた…しかしまた告白するチャンスをくれるのか!?なんて言ったらいい?)
「今ここでか!?」
(ちっがーーーう!このヘタレが!こんなにも花凜は歩み寄ってくれているのに…ああ、頭の中パニックだ!いかん!平静を取り戻さなくては!)
「えーと…お父さん連れてくる?」
(何じゃと!もう親に報告するのか?早すぎるんじゃないか?)
「なん、あわわ、もうそんな段階なのか!」
(余は死んでしまえ!このヘタレの中のヘタレが!ヘタレの王だ!落ち着け落ち着け落ち着け!)
「私もリーファウスの気持ちはわかった!なるべく早くなるように頑張るね!」
「……花凜…余は嬉しい…」
(あ!ほ!か!orz)
「リーファウスちょっとだけいいかな?」
(な、ななな!なんだ!花凜…キスでもするつもりか!?)
「今日は一緒に寝よ?」
「…」
頭がついていかず、目の前がふらふらしてきた…
(遠くで、花凜の呼ぶ声が聞こえ…る……)
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【花凜】
「あ、リーファウス起きたのね!」
私は倒れたリーファウスをキノコソファーに運び、膝枕して体調を見ていた。
あれからどれくらいここに居ただろうか?リーファウスが起きてくれたので、一安心である。
「花凜…すまない…余は何と情けない…」
リーファウスの心労を考えなかったのは私だ、これからはもう少し、リーファウスを見てあげようと思っている。
明日に備えて、今日はゆっくりしてもらう予定だ。
「情けなくないよ、リーファウスは頑張ったよ!」
「ありがとうな花凜…もう大丈夫だ」
リーファウスは起き上がり、溜め息を吐くと、こちらを真剣な表情で見てきた。
「あの手紙どうだった?酷い物だっただろう?」
すぐに少し不安そうな顔になる…
(リーファウスが王様に書いた手紙だよね…私ほとんど読めないからな…そうだ!リーファウスに読んでもらおう!)
「リーファウスが読んでみて?」
「余に恥の上塗りをしろと?」
リーファウスは驚愕の顔をする…そんな酷い内容なのだろうか?
「無理言ってごめんね…読んでもらいたかったから…」
私もちゃんと文字を読めるように勉強しないとね…
「花凜の頼みであれば…そうだな、恥ずかしい故、今回だけだぞ?」
「うん!わかった!」
(父親に宛てた手紙だもんね…少し恥ずかしい所があるのかな?)
「はい、さっきの手紙」
私はリーファウスに手紙を渡した。
手紙を読んだ瞬間、リーファウスは急に立ち上がった。
すると、すぐに膝から崩れ落ちる…
「大丈夫?」
「エ、エルは何処じゃ?」
「エルなら大分前に出発したよ?」
「エルーーーーーーーーーーー!」
リーファウスが叫ぶ…もしかして失敗の方を渡しちゃったのかな?
「違う手紙を渡しちゃったの?私なら交換してくる事が出来るよ?」
「ああ!頼む!あ、いや!ダメだ!いや、しかし…く!ああああ!なんて事だ…手詰まりではないか…」
「中身交換してくるくらいすぐだよ?」
「それがまずいのだ、まずくはないのだが、危険すぎる…花凜よ、この場を動かんでくれ…この通りだ」
リーファウスは、サラリーマンも真っ青な、見事な土下座をした…え?王子様だよね?
「何事だ?」
ロナウドが部屋に入ってきて、リーファウスの見事な土下座を見てしまったようだ…
「ロナウドよ、余は今、絶体絶命な状況におる…あっちを立てたらこっちが立たずじゃ…商人の意見が聞きたい…」
リーファウスは真剣な表情でロナウドを見た、ロナウドは少し逡巡した後に口を開く。
「リーファウス様、商人とは常に先を考える者です。
目先の事を優先して、大事な物を失うような愚策はいたしません!」
「……深いな…確かに…目先の事を優先したら、大事な物を無くしそうだ…しかしどちらも大切なような?…いや、何が1番大事かと言われたら、答えは決まっておる!」
リーファウスは私に顔を向けた。
「花凜よ、やはりそこを動かないでくれ!」
内容はわからないが、リーファウスの真剣な表情は、私に何かを言わせないだけの力があった。
もう何も聞かない事にした。
「わかった!とりあえずお昼食べようか」
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お昼ご飯は手打ちうどんだ!皆初めて見るうどんに、恐る恐る手を付ける…まあ味は普通なんだけど…
釜玉うどんに力うどん、肉うどんに月見うどん、キノコうどんにカレーうどん、生醤油うどんにザルうどん、カルボナーラ風うどんにナポリタン風うどん…変り種も混ぜてあるのだが、何故か変り種のカルボナーラ風うどんが1番売れている…
「明日の道順なんだけど、王国に向かう大通りと、日数のかかる裏道があります。
私達は裏道で行こうと思う!相手に、裏道使えば大丈夫だと思っている、安易な連中だと思わせたいからね!」
「俺も、事情はわかっているが、心配だ…花凜、本当に大丈夫か?」
ロナウドが心配しているが、私の意思は変わらない…
怖いのは遠慮したいが、リーファウスのためにも出来ることをする。
一応絆の宿には、これからロナウドと一緒に報告するし、エルにも手紙を持たせたので、安全面についても考えてある。
しかし、本当にこれで良いのだろうか?
「道中に罠が仕掛けられても大丈夫なように、色々対策は考えてるよ?」(花凜)
「冒険者の仕事だ、危険があるのはわかるが、相手がグラシアン王国かもしれない現状では…」(ロナウド)
「確かに冒険者として依頼は受けてるけど、私はリーファウスだから守るの!
冒険者としてはついでだよ…王様には、エルが直接報告してるから、後はやれる事を頑張ろうと思います!」(花凜)
「花凜は男前すぎる…」(リーファウス)
「いや、しかしだな」(ロナウド)
「今回は、リオンが居るから大丈夫だよ!私が心配してるのは、襲って来ない可能性かな…自称リーダーの鬼を撃退しちゃったから」(花凜)
「ロナウドよ、リーファウスの事はこちらへ任せよ…お前はうなぎの商談を頑張れば良い…出来ることの種類が違うだけで、お前も皆を支える屋台骨なのだ!
それに年長者は、若者のする事をいちいち口出しするな!
娘の事を心配しすぎる父親は嫌われるぞ」(リオン)
「リオンも男前すぎる…」(リーファウス)
「何も心配いらないよ!私もドクも凄く強くなったから!さっき」(ミー)
「任せてロナウドおじちゃん!本当に強くなったんだよ!さっき」(ドク)
皆の言葉を聞いて、ロナウドは諦めた様子で溜め息を吐く。
ロナウドの言いたい事もわかるのだが、決断しなければいけない時だと思うのだ。
リオンがロナウドを元気づけたのが意外だったが、2人で商談をしに行く事で、絆が深まったのだろう。
「それで?移動手段はどうするのだ?」(ロナウド)
「この家に、足を生やして歩かせようと思ってるよ」(花凜)
「それでは、街中がパニックだ…残されるミミックの身にもなってみてくれ…歩く家型の新種の魔獣として、依頼が殺到するだろう…」(ロナウド)
「「確かに…」」(ドク、ミー)
「お前達…まずそんな芸当を出来る事を疑わんか…」(リーファウス)
「「「え?」」」(ロナウド、ドク、ミー)
リーファウスの普通の意見に、ロナウドとドクとミーは、何が普通かわからなくなっているようだ。
「みなすっかり人間の常識が抜けてきてるな」(リオン)
「余の魔導8輪はどうだ?」(リーファウス)
「車?ではその魔導8輪に足を生やして歩かせ…」(花凜)
「歩かせなくてよいわ!」(リーファウス)
私や皆の会話を聞いて、呆れた様子のリーファウス…そんな話をしながらも、うどんはツルツル入っていくのだった。




