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精霊の魔法、リオン、リーファウス(2)




「もーーーー!何がもう転移の魔道具は持っていない!よ…うぅぅぅ…あいつ本当に嘘つき!」


 私は悔しい…


 初めての全力戦闘は引き分け?


 いや、今回の戦闘で、私は手の内をかなり見せてしまっている…早急に新しく魔法を考えなくちゃならないだろう…


「私の魔法と、相性が悪過ぎる…?」

『神樹様…』

「ん?あ、ごめんね!皆もありがとう」


 もくちゃん達は、凄く頑張ってくれた。


 帰る前にたっぷり私の魔力を、森に流してあげる事にする。


「ドリちゃんも助かったよ!ありがとうね」

『戦闘に使える力じゃなくて、すいません…』

「…ドリちゃんが居なかったら、砂漠で戦うしかなかったし、どんな罠があるかわからない場所で私は焦ってたの。

伏兵がいる可能性は……うん、逆に居ないわけがなかったし、情報を沢山取られる可能性があった…結局逃げられちゃったんだけどね…」

『少しでも力になれて良かったです!これからもよろしくお願いします』

「え?ドリちゃんの体が回復したなら、何処かで出してあげようかと思ってたんだけど?」

『私は木の精霊ドリアードです…神樹様に宿れば、長生き出来ると思いました』

「な、なるほど…見つけた時、ドリちゃんは人参みたいに干からびてたもんね…」

『それに私は、世界を見てみたいのです!砂漠のオアシスしか知らなかった私には、見える景色全てがとても魅力的に感じました』


 確かに…世界を見せてあげられる木は、私だけだろう…


 木の精霊は、木の寿命が終わったらそこで終わりなのかな?


「…うん!わかった!これからよろしくね!」

『よろしくお願いします』

「私も、もっと強くならなくちゃね…」

『…ここから真っ直ぐ北に、何かの精霊の気配を感じます!助力をお願いしに行きましょう!』

「ええええ!お願いするのって苦手だな…大丈夫かな?」

『はい、望む物を与える事が出来れば、必ず力になってくれますよ』

「…じゃあ行ってみよっか!」


(帰ろうと思ってたのに…何で毎日すぐ寝れないんだろうね…

でも私は強くなりたい!

ドクちゃんとミーちゃんのためにも、私頑張らないとね♪)


 森はいつもの姿を取り戻し、もくちゃん達はこちらを見ている…ような気がした。



ーーーーーーーーーーーーーーーー




『神樹様!もう少し右!あ、今度は左』

「もう!どっちよーーー」


 現在森を爆走中だ…


『なんて逃げ足の速いやつ!』

「そもそも何で逃げるのよ…」


 ドリちゃんの指示を受け、私は精霊を追いかけている。


『もしかしたら、追いかけっ子がこの精霊の望みなのかもしれませんね!』

「しょうがないな…」


 私が縦横無尽に森の中を走るので、私の魔力を感じた魔獣達が涙目で大パニックである。


「よし!包囲網完成!イバラの檻!」


 イバラを檻みたいにして、周辺をほぼ隙間無く囲い、半球場のドームみたいなのを作った!


 私は、ドームの範囲を、少しずつ狭めていく!


「追い詰めた♪」

『見事です神樹様!やりましたね!』


 捕らえたその精霊は、物凄く不貞腐れていた。


 全身を脱力させ、死んだ目でこちらを睨んでくる。


「何すんだよ!はーなーせーよー!」

『力を貸せ!シルフの小僧』


 ドリちゃんは、私以外には、態度が大きいらしい…


 シルフはいやんいやんしている。


「ごめんね、力を貸して欲しいの…追いかけっこ楽しかったでしょ?」(花凜)

「は?楽しい訳ねーだろ?」(シルフ)

『…』(ドリアード)

「追いかけっこが、したかったんだよね?」(花凜)

「…こんなでかい魔力の奴が急に追いかけて来たら、誰だって逃げるだろ!バカ!」(シルフ)

「ドリちゃん?」(花凜)

『望みを言え…シルフ』(ドリアード)


 ドリちゃんは、シルフの望みを勘違いをしていたみたいだ…


 何もなかったかのように、シルフに話しかける。


「力を貸してもらう変わりに、私に出来る事はするよ?」

「は!出来るわけねーだろ!俺を満足させるような、甘い物を持ってきたら考えてやる!」


10分後…


「何なりとお申し付け下さい、花凜様、ほっほっほっほ」


 シルフは服従しました。


 さっきまで、チンピラ風の口調だったのに、今では皇族のような、おっとりとした丁寧な口調である。


 魔法鞄からコクヨウ特製お菓子詰め合わせを出したら、コロッとやられた様子。


 今も美味しそうに、お菓子を食べている。


「でも何で逃げなかったの?貴方の体は風で作られてるみたいだから、隙間から抜けれただろうに…」

「え?…あ………」


 シルフは思い至らなかったみたいだ…びっくりしすぎて、お菓子を落としてしまった。


『シルフよ、神樹様に宿り今後力を貸すように!』

「わ、わかってるよー…嘘はつかないさ」


 沢山あった焼き菓子は、シルフのお腹に入ると、薄緑色の風に変わる。


 見ていて少し楽しい!


 お菓子を食べ終わったシルフは、私の体の中に入って来た。


『私の魔法は、少し特殊です。

魔力の消費が激しく、普通の人間では使えませんが、花凜様なら問題なく使えるでしょう…

風を作り出したり消したり出来る魔法なので、水中や真空の中でも使えます』

「ほぇ〜…じゃあ建物の中で沢山風作ると危ないかも?」

『建物が、密室ならパンクしますね』

「わかった!ありがとー」


(ふー…やっと帰れる!でも凄い魔法を使えるようになったね♪

シルフの魔法も、自然と私の中に入ったみたい…どんな事が出来るのか、だいたいわかる。

精霊の魔法って、なんだか不思議な感じがするな…

もしかして、私が普段使ってる、生命を創造する魔法って、精霊王の魔法なんじゃないの?

無から有を生み出す魔法…?

ドリアードの魔法もそうだけど…これは単純な転移魔法じゃないよね?

…場所を指定して転移するわけじゃなくて、人物を指定して転移するものだから…

でも今日はとりあえず早く帰ろー…皆はもう夜ご飯食べて、お風呂入ったかな?)


 やっとひと段落したので、私はリオンの所へ転移した。




ーーーーーーーーーーーーーーーー




「リオン!ただいま!」

「花凜!」


 リオンは本来の姿で、砂漠を走っていたみたいだった。


 多分私の魔力を魔獣の森に感じて、走って来たのだろう…今私は魔力遮断をしている。


 私は転移でリオンの頭上に現れて、シルフの魔法で飛んでいる。


(やっぱりドリちゃん凄い!

シルフの魔法も組み込んで、エルの掃除機を進化させよう!

ついでに飛行速度も上げる!)


「疲れたよ〜」


 私はバフっとリオンの背中に体を預けた。


 リオンが、急に人の姿をとり私を抱きしめる…


(ん?リオン?)


「花凜!花凜…」

「リオン?どうしたの?」


 いつもクールなリオンの様子がおかしい…泣いているのだろうか?


「花凜…私には、お前しかいないのだ…」


(ああ、そうか…私がバカだった…)


 リオンも寂しかったんだろう、何で思い至らなかったのだろうかと、私は私を殴りたい気持ちになった。


 傷を治してくれたというだけで、私とずっと一緒に居てくれるわけないだろう…


 何でリオンは、最初ぼろぼろだったのか…何故死にかけてたのか、私は聞いてない…


 ソルの街から魔獣の森まで、リオンが全力で走っても3日はかかる距離だ。


 それをリオンは、迷わず飛び出したのだろう…


「ごめんね、よしよし…ごめんね」

「…」


 リオンは暫く離れなかった…私はリオンの頭を撫でている。


(リオンは1人でとても強い、何でも出来るのに、今はこんなに頼りない…

何か話してくれる気になったら、全部聞いてあげよう!

私の全てをかけてでも…)


「リオン、大丈夫…ずっと一緒にいるからね」




ーーーーーーーーーーーーーーーー




 私はリオンを抱え、転移で帰宅した。


「…花凜、遅かったな」(ロナウド)

「ただいま!依頼全部済ませたからね!予定通り、明後日王国へ向けて、出発します」(花凜)

「お疲れ様!王国までの足はどうするのか決めたか?」(ロナウド)

「それはとりあえず…明日話しよ?」(花凜)

「わかった」(ロナウド)

「「…おかえり」」(ドク、ミー)

「…花凜さんおかえり」(エル)

「…花凜、遅いではないか!」(リーファウス)

「うん、皆ただいま!

リーファウスは今日ドクちゃんとミーちゃんと寝て!

パパはエルと寝てね」(花凜)

「あ、ああ…わかった!」(リーファウス)


(何でリオンさん抱えられてるの?)←皆の心の声


 私は今日はリオンと一緒に寝た。


 リオンの真っ白な髪を撫で、寝息を聞いている。


 すぐに私も眠くなって、ウトウトしてきてしまった…この世界に来てから、毎日ハード過ぎる。


 私の大切なものを守るには、この世界では力がいる。


 ドクとミーの仲間の保護も、忘れていない…


(よし、頑張るぞー)



ーーーーーーーーーーーーーーーー




「花凜、起きたのか?」


 リオンが、私の顔を覗き込んでいるようだ。


 顔が近い…唇が触れそうな?………チュ


「おはようリオン…私の全ては貴方の物だ〜」

「何を馬鹿な事を言っているのだ…」


 私の告白を、さらりと躱すリオン…


 いつものリオンに戻っているようだ…ッチ


「昨日は、すまなかったな…ありがと花凜」

「んーん、スピー…」

「…おい!起きろ!朝食を用意するのだ!働け!」

「やだ、働いたら負けだよ!私は断固働きたくない!」

「昨日散々働いてただろうに…」


 私の抵抗虚しく、リオンに抱えられ移動する…


「…おはようリオンさん」(ロナウド)

「「「…おはよー」」」(ドク、ミー、エル)

「…お、おはよう」(リーファウス)

「おはよう」(リオン)


 昨日とは逆の光景に、皆対処に困っているようだ…


 しょうがないから、本当にしょうがないから起きる事にした。


「おはよう」


 私は伸びをして、椅子に座る。


 朝食を作れと言われたが、シスターズが用意してくれるので、何も問題はなかった。


 私は一応昨日の事を皆に話す事にした。


「朝食を食べながら聞いて」


 私はフルーツジュースを片手に、昨日の話をざっくりする。


「昨日、暗殺者に狙われたわ」

「「「「「え?」」」」」(ロナウド、ドク、ミー、エル、リーファウス)

「転移の魔道具で拐われました、それと敵は人間じゃありません…見た目は鬼でした。

あと敵は、自分達の事を部隊だと言っていたので、規模は大きいかもです。

皆も気をつけましょう♪」


(…あれ?皆黙っちゃった…?

わかりやすく話したつもりなんだけど)


「なるほど…余の命を狙ったのは、グラシアン王国だったのだな…」(リーファウス)

「そうなると、ソルの公爵は、影でグラシアン王国と繋がっているのかも…?」(エル)

「私はこの事を、すぐにミミックに伝えてくる!」(ロナウド)

「パパ、ご飯食べてからにしたら?」(花凜)

「花凜よ、もしかしたら我々だけじゃ、手に負えないかもしれぬのだ…もしグラシアンが後ろ盾になっていて、公爵を誑かしているのだとすれば…」(リーファウス)

「公爵に王の地位を餌にして、鉱山でも奪うつもりか…?」(ロナウド)


 私は1人、話においてけぼりになった。


「何故、グラシアン王国が絡んでると思うのだ?…それと、おかわりだ」(リオン)


(流石リオン!さすリオ!)


「グラシアン王が、この大陸全ての鬼族をまとめているからだ!それに、転移の魔道具を使うなんて…」(ロナウド)

「なるほどな、良く覚えておこう…王はいつか氷漬けにしてやる…それと、おかわりだ」(リオン)

「一応言っておくけど、ダメよリオン」(花凜)

「兎に角じゃ、ソルを明日出発するのはやめて、王宮からの迎えを待つべきかの?」(リーファウス)

「リーファウスを安全に運ぶ方法ならあるよ!

でも私は、リーファウスを囮にするべきだとおもの」(花凜)

「え?」(リーファウス)


 皆の視線が私に集まる…なぜ?


「花凜の言いたい事はわかる。

リーファウスを囮にして、公爵を炙り出さないと意味が無いって事だろ?

そのまま王宮に着いても、証拠が無いんじゃリーファウスが王宮でまた狙われるからな!それと、おかわりだ」(リオン)


 皆リオンの説明で、私の言いたい事の意味はわかってくれたみたいだ。


 しかしロナウドと、リーファウスは浮かない表情…無理もないとは思うけど。


「リーファウス、良く聞いてね。

リーファウスを運ぶだけなら、私が転移の魔法を使えばすぐなの…

でもね、敵が誰なのかわからないんじゃ、私は安心して王宮に貴方を預ける事が出来ません!

リーファウスを囮にしても、敵の尻尾を掴む事が出来なければ、リーファウスはもううちの子になっちゃいなさい!」(花凜)

「な!」(リーファウス)

「「…」」(ドク、ミー)


 リーファウスとロナウドは、私の言った事を聞いて、びっくりした顔になってしまった。


 でも危ないとわかってる所にリーファウスを置いていけないので、それならばうちに引き取ってしまえば良いと思ったのだ。


 ドクとミーは、話の成り行きに任せるみたいで、朝食を食べながら静かに聞いている。


「大丈夫だよリーファウス!私が守ってあげるから!」


 朝から頭がフル回転で、湯気が出そう…

 今日は今日で、やる事が多いのだ。


「エル、王宮まで飛んで、今の状況を王様に伝えて欲しいんだけど、頼めるかな?」(花凜)

「えええ?俺にそんな重大な仕事を?」(エル)

「エルにはステルスがあるから大丈夫でしょ!

リーファウスに手紙を書いてもらって、ミミックさんにサインもらって、直接王様に渡せば大丈夫!」(花凜)

「父上に手紙か…いいかもしれんな!

早速書くとしよう!エルとやら、よろしく頼むぞ」(リーファウス)

「う、うん…あ!はい!全力で頑張ります!」(エル)

「あとドクちゃんとミーちゃん!」(花凜)

「「どしたの?」」(ドク、ミー)

「2人に装備を作ってあげる♪」(花凜)

「えー!エルさんみたいな?」(ドク)

「もしかして空飛べるようになるの?」(ミー)

「うん!」(花凜)

「「やったー」」(ドク、ミー)


(朝の食事をしながら、濃密な会議をしちゃったよ…今は、やれる事をするだけ!

エルに手紙頼んじゃったけど、多分大丈夫だよね?

リーファウスが書いてくれるんだし!さて、頑張りますか)



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