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三沢さんちを潰します<2>

こんにちは。どうも、尼子詮久(2周目)です。


久幸、国久の指揮する新宮党に城攻めを任せ、誘いの隙を作って三沢氏の動きを窺っていました。


案の定、彼らは動いてきたので伏兵で退路を封じ、新宮党の反転を待ちつつ本陣で食い止めていましたが、いや、さすがの三沢氏です。そう簡単には倒れてくれません。


まぁ、最終的には長槍をぶん回して突っ込んできた国久と新宮党の登場で片付きましたが……。

天文4年(1535年)晩夏


 三沢氏のお家騒動ごっこに付き合って、無駄に時間を過ごしてしまったけれど、新宮党の活躍で最終的にはなんとか三沢氏を討伐することに成功したよ。


 三沢氏の健闘に敬意を表して、彼らの領地は全部没収。仁多、横田の旧三沢領には隠岐同様に代官を派遣して統治することに。


「旧三沢領も刀狩りをするのかしら?」


 勿論するよ。彼らも兵農分離の対象。国力を増すには、まずは農業生産の安定化だ。農産品が安定供給され増産されたら自然と人口が増えるし、出雲国外から流民がやってきて産業の発展につながるからね。


 特に製鉄関係の人材が戦乱で流出しては困るから保護する必要もあるし、彼らを育成発展させることで第二次産業の成長、それから第三次産業へと発展していくわけだよ?


「そうですわね……造っても売れなければ駄目ですしね、造る人間、売る人間、買う人間それぞれが居て初めて経済が発展するわけですから……」


 でしょう?


「ところで……三沢さんの討伐で、次は俺かと戦々恐々している三刀屋さんからお手紙が届いていますわよ」


 三刀屋ですか……。彼も裏切りの常習犯。さっさと潰してやりたいけれど……それに三刀屋領には石炭が出るしねぇ……木炭よりも石炭の方が製鉄には向いてるから是が非でも欲しい……。


「木炭を造ろうと思うと森林を伐採しないといけないし、植林するのも手間だものね……」


 そうなんだよね。だから、斐伊川で砂鉄と石炭を運搬して、製鉄拠点を内陸の零細製鉄所から湊の近くに巨大製鉄所を設置してそこで製鉄から加工まで一貫して行うようにしたい。


「随分と思い切ったことをしようと思っているのね……上手くいくのかしら?」


 それには結局、三刀屋氏が邪魔なんだよね……。


「それで、お手紙は読まないの?」


 そうだね。読もうか……。


 マジでか……。


「どうしたの?」


 あぁ、三刀屋氏が領地投げ出す代わりに蔵米で今と同じ分を支給してほしいと言ってきた。


 さすがに、出雲国内の国人衆が揃ってこの機会に踏みつぶされてお家断絶なんて事態にはなりたくないと連絡を取り合っているらしい。そこに来て、三沢氏が最初に潰されたものだから尼子が本気であると認識して最初に白旗を上げることにしたらしい。



 突然、白露が姿を消した。


「詮久、詮久!」


 騒々しい。例によって国久がドタドタと走ってきた。


「詮久、ついに為幸を捕まえた。為国はさっさと降伏したにかかわらず、為幸はなかなか降伏せなんだが三刀屋氏を頼って逃げ延びようとしたところを三刀屋氏の兵に捕まってそのまま富田に送還されてきた」


「三刀屋氏が捕まえたのか?」


「そうだ」


「そうか、三刀屋氏も必死なのだな……。」


「三刀屋氏には加増でもして報いるべきではないか?」


「加増はするが、本領安堵はしない。蔵米支給で応対する。それに三刀屋氏はこの文が本物であれば、領地を我らに預けると言ってきておる……」


「戦にならずに済むではないか……三沢を討伐した甲斐があったというものだな」


 本当にそうだろうか……。

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