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三沢さんちを潰します<1>

こんにちは、尼子詮久(2周目)です。


前回は攻め込んでみたら三沢さんちのお家騒動に巻き込まれてしまった……という不思議体験をしてしまいました。


今回は気を取り直して、新宮党に出張ってもらってうことにします。


え?


為幸さんを助ける?


そんなことするわけないじゃないですか。両方潰します。だって、三沢さんちは放っておくと平気で裏切るので領地なんて与える意味がありません、ボッシュートです。

天文4年(1535年)


 暑い。いくら平地よりも涼しい山ん中とは言えど、暑いものは暑い。早く、こんな戦終わらせてさっさと城に戻って内政に取り掛かりたいものだ。


「1周目は割と精力的に遠征していたのではなくて?」


 確かに1周目の今頃は国人衆虐めなんてせずに伯耆、美作、備後に遠征して在地国人を尼子方に組み込んでいましたよ?


 でもね、結局、それが失敗の原因なのではないかと思ってね……。ほら、どこぞの第六天魔王さんなんか侵攻して在地の勢力を潰しても本領安堵とかせずに常に転封や減封をして自身の直轄地を増やして財政基盤を確立していたじゃない?


「でも、それで恨み買って本能寺の変に至ってしまってるじゃない、殿もそれを真似するのかしら?」


 もっとうまくやるさ……なんて言わないけれど、結局、国人衆を国人衆として半分独立、半分自治なんてさせるのは良くないということだよ。


 だから、今の時点で直臣化と中央集権化を進めておくんだ。なんせ後25年しか寿命がないんだからね。


挿絵(By みてみん)


 さて、これが今の我が尼子家の勢力図だ。赤いマークと文字の城や拠点が敵対勢力。


「へぇ~。今の時点で相手がどう思っているかは別として、殿が敵だと思っている相手は、出雲大社、鰐淵寺、三刀屋氏、三沢氏ということね?」


 そう。まぁ、1周目で常に反抗的だった連中がリスト化されているとも言えるね。だから、言うことを聞かない三沢氏、三刀屋氏は最初に潰す。出雲大社……今は杵築大社というのが正確だけれど……は日御碕神社と敵対関係だからそこをうまく利用して勢力を削ぐ、鰐淵寺は面倒だから焼き討ちにしてもいいかなと思っている。


「焼き討ちって……ここでも第六天魔王さんの猿真似をするつもりなのね……」


 ほら、うちには大山寺という超強力けっして裏切らない僧兵集団がいるんだから、鰐淵寺くらい燃やしても大丈夫さ。それに清水寺とかもうちの味方だしね。兎に角、西出雲の直轄化に障害になる社寺は徹底して勢力を削ぐ。


「そうね、今は良くても、1周目みたいに毛利家の拠点になっても困るものね」


 そういうことだよ。本陣が騒がしくなってきたね。


「国久さんか久幸さんがいらしたのかもしれないわね」



 白露が姿を消して暫くして久幸と国久が顔を出した。


「若殿、新宮党、ただいま着陣した」


「大殿の命で某も参った。詮久、あまり功を焦るでないぞ」


 どうも彼らは先の評定で大殿を唆して三沢攻めを敢行したことに未だに懐疑的である様だ。


「二人が此度の戦に慎重であったことは忘れてはおらぬ。ゆえに力攻めなどしておらぬ」


「だが、詮久、そなたの想定とは違い、三沢のお家騒動に巻き込まれておるではないか?」


「左様、叔父上が申す通りぞ」


 先の評定では1周目の記憶&歴史的事実を元に塩冶興久の乱における三沢討伐で国力兵力ともにガタガタである状況だからこそ、今再び三沢攻めを行い、引導を渡し、鉄資源の独占を図るべしと主張したのだが、いざ戦が始まると攻め込むべき相手から救援を依頼される意味不明な状況だ。


 為幸方に与するという態度を表明したとは言え、三沢氏の騙し討ちを警戒し、新宮党を呼ぶという状況になったことで、彼らからすると「それ見たことか」である。


「二人の言わんとすることはわかる。だが、三沢がお家騒動ということは、それだけ彼らが弱体化しておると言うことでもある。まして騙し討ちのため偽計であるならば、新宮党が着陣した今となっては既に不可能であろうよ」


「確かに、我が新宮党が藤ケ瀬城を包囲して三沢城との間に詮久が本陣を敷いておる時点で騙し討ちの挟撃など出来ようはずがない」


「そうであろう?」


「だが、国久……三沢と言えど、先の興久の乱で何度も我らとやりおうておる……」


「叔父上、されば藤ケ瀬城は力押しでさっさと落とすべきぞ」


「久幸、そなたが兵は拙速を尊ぶと余に教えたではないか、それを今こそ実践すべきぞ」


「……兄上はどうもこの者たちに甘い……ならば、新宮党の指揮は某に任されよ、国久は某について指揮する通りに動くように……詮久は……夜襲に備えよ、我らが城攻めを始めれば必ず隙が生まれる。その隙を突いて総大将であるそなたを狙うであろう……三沢が騙し討ちを狙っておったのであれば、その時しか動けぬからの……」


「叔父上の命ずるままに動きましょうぞ」


 久幸の申すことは確かに一理ある。ならば、その隙を意図的に作り出して、しかも隙があることを相手に知らせてやろうか……。


「久幸よ……ならば、その方らが城攻めを敢行すると為幸に伝えてやろうではないか……さすれば本陣の防備が薄くなった隙を突いてくるであろう……それを挟み撃ちにすれば良い」


「詮久、我らが戻るまで耐えれるか?」


「そのための常備軍ぞ。早々負けてたまるか」


「面白い。ならば、左様に致せ」


「二人の健闘を期待しておるぞ」


 二人は無言でうなずき本陣を出て行った。

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