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銀山に憑りつかれた男 -あの時代で銀山をもう一度-  作者: 有坂総一郎
天文5年 楽市楽座と経済成長優先政策
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土建業者尼子組

こんにちは、尼子詮久(2周目)です。


チートを使わずに街道整備させるとか鬼畜の所業だったと反省しています。


鍛冶屋に土木器具の規格統一と量産を命じて、正規軍と新宮党に工兵部門を設立し、住民の動員だけでなく、専門の土木建築集団を投入することで戦時にも街道整備を可能にすることになったのです。


おかげで、工兵は昨日も今日も明日も塹壕用シャベルで訓練と兼ねて街道整備をしています。

天文5年(1536年)梅雨


「大殿、土木建築の道具が揃いましたゆえ、今後は、時機を見て富田川の土手の改造と富田城下の改造を進めてまいりたいと考えております……」


 なぜこんな提案をしているか……それは出雲国特有の問題に起因する。


 我が出雲国は神代の昔から斐伊川、神戸川、富田川で頻繁に起きる洪水に悩まされてきた。かの有名な素戔嗚尊の大蛇退治の話も河川の氾濫を八岐大蛇と比定し、治水事業と大蛇退治と比定していると言われている。大蛇の腹が赤く爛れているのは砂鉄と鉄鉱石を意味しているとも言われる。


 そして、それが意味するところは、たたら製鉄に必須の砂鉄と土砂の分離を行うかんな流しによる河川への大量の土砂の流れ込みと堆積である。


 結果、出雲国内の河川は大なり小なりあるが、その多くが天井川と化している。これにより、雨期になると山林の保水力低下と相まって許容限界を超えた水量によって堤防を乗り越え、あっという間に水浸しとなるのだ。


 これは江戸時代でも同様であり、完全に河川の氾濫を抑えることが出来たのは昭和になってからダム建設によって治水コントロール出来るようになってからなのだ。


「あの塹壕用シャベルと言ったか、あれのおかげで随分と野戦築城も便利になったと聞く。先の街道工事で土木建築集団が出来たそうだな……あれらを用いれば短期間で土手工事が出来るであろうのぅ」


「土嚢の量産も出来る器械を考案しておりますゆえ、今後の街道整備や築城、港湾整備にも役立つかと……」


 20世紀末に土嚢製作器というものが発明され、二人一組で100個前後が相場だった土嚢製作が600個まで増やせるようになったそうだが、それに似たものを作り、実験では400個、熟練者ならば600~800個程度までを見込んでいる。


「詮久、そちにも思いもよらぬことを考える知恵があったのだな……左様な道具、誰も考えつかなんだが、よくぞ思いついたものだ……」


「折角の鉄でございますれば、活用せぬ手はありませぬ。鉄こそ我らの力の源……今後も鉄によって力を蓄えてまいりますぞ」


 コンクリートさえ手に入れば、ダム建設すら視野に入ってくる。それに、冶金技術や製鉄技術、それに伴う生産力の向上は、蒸気機関の導入にも大きく作用する。


 まずは、一歩一歩確実に産業革命を進めていくことだ。

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