四目結ブランドの商品作物が必要だ!
こんにちは、尼子詮久です。
すっかり地方土建屋と化している尼子家ですが、本業は戦国大名です。お忘れなく。
そもそも、まともな街道整備されていないから商業が発展しないのですよ。流通経済の基本は流通路の整備です。
越後の軍神なんかそうですけど、いくら百戦百勝の猛者で、直江津という商業都市や佐渡金山があっても、経済を蔑ろにしていればどうなるか、上杉家の没落を見ていればわかると思います。あの連中、頭が脳筋だから関ケ原に至るまで……関ケ原後もロクな経済振興や街道整備していないから上杉鷹山が苦労するのも頷けます。
それだけ街道整備って大事なんですよ。ええ。武田信玄なんかは対照的に街道整備を大事にしていましたしね。おかげで軍勢の移動も容易でしたしね。当然、領内の経済発展も進みます。まぁ、あそこの場合、結局、国人衆や一門衆が独立志向で統制出来なかったのが敗因だと思いますよ。
という、戦国最強伝説を持ちながら経済や公共事業で対照的な連中を反面教師にして、第六天魔王さんの真似事をしていくという方針です。
天文5年初夏
富田川の川底を掘り下げ、土嚢で堤防の嵩上げと補強を行ったことで当面は水害を恐れる必要がなくなった。
梅雨前の農繁期だったこともあり、動員出来る人員は少なかったが、正規軍と新宮党を動員して集中工事を行ったことで一月ほどで富田城下近辺の工事は終了した。秋の農繁期が終わり、冬の農閑期に再び動員をかけて鷺之湯温泉以北の工事を進めていく予定だ。
「殿、そういえば、平田に代官所を設置して木綿量産を指示していらしたけれど、どうなったのかしら?」
あぁ、それか。
あれは、さ、梅雨前に種を蒔いたばかりだから、まだ根を張っているか、枝を伸ばしてくるころだと思うよ。まぁ、でも、もうじき開花すると思うよ。
「木綿の栽培が軌道に乗れば明や朝鮮から輸入する必要がなくなりますわね……貿易の旨味がなくなりますわよ?」
いや、買う必要がなくなればさ、連中に別のものを売りつければいいと思うんだ。
「何を売るつもりですの?」
かつて、大英帝国は清から茶を買い付けていたけれど、その支払いで大量の銀を失っていたのだよ……それでね……。
「まさか、アヘンを売るつもりですの?」
いや、アヘンなんて作らなくても、今の日本なら大麻がそこら中にあるんだから、それを売ればいいと思っているんだ。どうせ、ここは現代じゃないんだ。大麻を規制する法律もないし、それに、国際機関も存在しない。
「鬼畜の所業ですわね……」
使用者責任だよ。そう、武器は勝手に戦争を起こさない。戦争を起こすのも、武器を殺人に使うのも人間のやることだよ。
「それは詭弁ではなくて?」
詭弁上等。でも、まぁ、大麻は半分冗談だとしても、高麗人参とか、茶器とか、そういうものを輸入するには対価が必要なんだから、何か売れるものを創らないとね。
もっとも、朝貢貿易なんて不平等な貿易をしている朝鮮にモノを売っても得る利益なんてほとんどないんだろうけれど……。
「そうですの?」
あぁ、だってさ、生糸や絹にしても木綿にしても、そうだけれど、朝鮮国内で製造しているわけじゃないんだよ。彼らは朝貢によって得た下賜品みたいなもんで、実際には朝鮮のぼろ儲けなんだ。それを日本に横流しして金や銀を巻き上げている……それがこの時代の大陸貿易、半島貿易の構図さ。
「それじゃあ、今の日本は大損じゃない!そんなもののためにわたくしを使うだなんて嫌よ!」
そうだろう?だから、半島貿易は実際には利益なんて出ないんだよ。ただ、国内で産しないことで価値があるから相対的に利益が出ているように見えているだけなんだ。半島貿易で本当に利益を得ているのは朝鮮貴族や朝鮮商人ってことになるんだから馬鹿らしいだろう?
そんな馬鹿なことをするくらいなら、最初の投資で連中の商売のタネをこちらで産するように国産化と自給化を進めるんだ。その第一歩が木綿の栽培と綿布の量産だ。
「でも、平田平野を木綿栽培第一にするのは食料自給率の低下を招くことになりますわ、それはどうしますの?」
そこは大丈夫。今年の後半から順次、西伯耆の大山山麓を大規模開発して、田畑を広げる。土壌は平田平野や出雲平野の砂地よりも大山黒土の方が遥かに豊かだからさ。
勿論、在地の土豪や国人衆には直轄化することで対応する。反抗したら三沢みたいになるから大人しくするだろう。
「殿ったら強引なのね……」
1周目みたいに人生の後半戦で中央集権化なんてしていたら間に合わないからね。正直、今でも時間が足りない!




