19 『守護騎士』 5.23
迷宮街・エンキドゥの酒場前ではじまった魔法勝負は、意外な展開を見せはじめた。
戦士マドロックが放つ魔法を、術者カテリナが打ち破れば勝ちという、賭けにもならない勝負のはずだった。しかし、マドロックの使った魔法は高さ10メートルを超える巨大な盾を出現させるものだった。カテリナには、魔法を打ち消す魔法は使えなかった。なぜなら、魔法を打ち消す本来の【解魔法】は闇に属するからだ。聖・地属性の彼女には扱えない魔法だった。
「あれは『守護者』特有の魔法じゃないか」
高みの見物を決め込んでいたレナードは感心した。
「シュゴシャ?」
「東方人のアキラは知らないか? 地と水の精霊の加護を受けた者を『守護者』という。カテリナのように聖と地の加護持ちを『聖女』というようにな」
「名前からして頑丈そうですね」
「ああ。あの盾、生半可な攻撃じゃ傷もつかないシロモノだ。術者によっては大型固定弩やドラゴンのブレスすら防ぐという話だ」
レナードはカテリナの様子を見た。完全に委縮していた。幅3メートル、高さ10メートルに及ぶ光る盾を前に、動く様子がない。
「……魔法は【解魔術】では打ち消せない。魔法と魔術じゃ質が違いすぎる。しかも『守護者』固有魔法なんて……」
「どうした、『聖女』。おまえでも無理か? この程度も破れず、迷宮踏破を謳うか」
戦士は失望した。カテリナが天才術師であると聞いて、大いに期待していたからだ。それは噂であって、実際の彼女は優秀ではあるが、魔術素養が著しく高い天才型の術師ではない。勤勉さと洞察力、熱意と集中力、機転と発想で実力以上の力を発揮していたのである。それに公爵令嬢という肩書きが尾ひれをつけて『カテリナは魔術の天才』などと言われていたのだ。
その機転すら働かないカテリナに、いつもの能天気が降りてきた。
『要は盾! 最強の盾に最強の矛をぶつけるとどうなるか? 人それを矛盾という!』
『メモリ!?』
『そこは「誰だ!?」って言わないと。「貴様に名乗る名前はない!」て続かないじゃん』
『私の脳内で騒ぐのはあなたしかいないでしょう』
『ま、そうだけど』
サイサリスが魔剣を抜いて【聖盾】の前に立ちふさがった。
「ほう、魔造物か。ヒトに近いな。死肉か土くれか。そんなひ弱そうなゴーレムで、この盾が破れると?」
『てやあぁぁぁぁ!』
サイサリスが魔剣で盾を乱打する。乱打する。乱打する。
だが、すべてが弾き返される。傷一つつかない。
『こいつ、硬い。まるでザクマシンガンをものともしないガンダムみたい……!』
それでもメモリはあきらめない。越えられない壁はない。そんな壁は壊して進む。それができなければ、カテリナの目的には届かない。
『一点集中しかない? 一点、一点……ハッ!』
その瞬間、何かが頭に閃いた。一点集中、一点突破。誰よりも、何よりも迅く!
メモリは魔剣を左腰に当て、腰を沈めて構えた。
「なんだ、あの構えは? ずいぶん無防備だが」
「居合……? まさか」
「知ってるのか?」
レナードがアキラのつぶやきに反応した。
「あの構え、オレの国の抜刀術です。高速で剣を抜いて切り裂く技です」
「東方剣術か。カテリナはいろいろ研究しているんだな」
レナードは感心したが、アキラは気付いた。あれは異世界日本人が伝えた技であろうと。かつてこの世界に日本人が、剣術家がいたのだ。
一拍の間。刹那の閃き。
甲高い音がした。
『……ぬぉぉ! 手が痺れるぅぅ!』
シールドは無傷だった。
『ダメそう?』
『ごめん、わたしの力量じゃ無理そう……』
『そう……』
カテリナは顔を上げた。潔く負けを認めるべきだった。自分の未熟さが悔しいが、後悔はしていられない。地下8階攻略の次の手を考えなければならなかった。
「おまえでもダメか」
むしろ落胆したのは魔法を使ったマドロックだった。夢が破れたと、認める以外になかった。
「よし、それじゃオレの番な」
「レナード様!?」
「別にカテリナが破らなければならないわけじゃないだろ?」
レナードがブレイズ家宝刀を抜いてマドロックに訊いた。
「かまわないが……」
マドロックから出たのは、期待をしていない返事であった。
「サイサリスのやり方は悪くないが、パワーとガッツが足りないな。要は気迫だ!」
レナードの剣が炎を纏う。彼の炎の加護の力を載せたのである。
「ブレイズ家の真奥義、見せてやろう」
「ブレイブ・ナントカですか?」
カテリナの問いに「ブレイブ・バーニング・スラッシュだ!」と律義に答える。
「そんな遊び技じゃない。本当の本気ってやつだ」
「あれでお遊びなんですか!?」
『そうとうヤバイよね、あれ』
「さっきのサイサリスの剣で思い出したよ。習得以来、あまりの威力に封じていたのを」
レナードは剣を天に向けて伸ばした。力みのない柔らかな握り、しなやかな体幹、根をはった下半身。刀身の炎が消えた。いや、超高熱を発し、白く輝いていた。薄く揺らめく高密度の白火の光は大気をも焦がした。
『あ、あれって……』
その構えをメモリは知っていた。
『メモリ?』
『あれだよ。カテリナの首を跳ね飛ばした無痛の切断技』
「ブレイズ流……一閃!」
我、空を断つ!
「断空我!」『必殺カテリナ斬首剣!』
レナードの剣が振り降ろされ、音があとからついていく。
「盾が、割れた……!」
カテリナは技名よりも盾が切れた事実に慄いた。
「まさか! でも――!」
マドロックは驚愕した。しかし、二つに分かたれたかに見えた魔法の盾は、静かにつながり修復しようとしていた。あまりの断ち筋に、魔法すらが切られたことに気付かないかのようだった。
「させん!」
レナードは盾の間に剣を差し込んだ。そして剣を放し、二つの壁を手で押さえる。
「「「まさかの脳筋!」」」
ギャラリーがいっせいにツッコんだ。カテリナもマドロックも参加していた。
『さすが脳筋。こうでなくちゃ』
メモリは拍手していた。
それから格闘すること一分、レナードが魔法の盾を引き裂いた。その様子を、メモリはこう述懐する。
『あれだよね。使徒のATフィールドを破るエヴァだよね。BGMが流れたよ』
『守護者』渾身の【聖盾】が消滅していく。マドロックは霧散していく魔法の残滓を静かに見届けた。
「……夢は、つながりそうです、父上」
マドロックはレナードに近づいた。彼は魔法焼けした掌をカテリナに治療してもらっているところだった。
「いい魔法だった。本気を出してもギリギリだったぜ」
「ありがとうございます。国内随一の武門、ブレイズ伯爵家ご子息レナード様にお褒めの言葉をいただけたこと、誉にございます」
マドロックが兜に触れると、融けるように消えていく。同時に長い黒髪がこぼれた。大きな目が印象的な若い女性に、笑みが浮かんでいた。
「申し遅れました。わたしは騎士サンズ・ヒルマンの長子ルナと申します。この度の無礼の数々、お詫び致します」
「近衛騎士団に名を連ねておられるヒルマン様?」
王都の近衛騎士団員にその名前があったのをカテリナは覚えていた。
「はい、左様です。カテリナ様にも深くお詫び申し上げます」
「私はもう公爵家とは無関係よ。過度の礼儀は必要ないわ。カテリナと呼び捨ててかまわないわ」
「では、お言葉に甘え、過度ではない節度で接しさせていただきます。カテリナ様」
「好きにして。私はルナと呼ぶわよ」
「はい」
ルナは嗜むように礼をした。
「さて、本題に戻るわね。ルナはこの先、どうするつもりなのかしら? この勝負には意味があったのよね?」
「はい。カテリナ様、わたしを迷宮攻略のお供に加えてください」
「ええ、喜んで。こちらからお願いしたいくらいよ」
考えるまでもなく、カテリナは彼女の参入を歓迎した。クレストのパーティーが地下8階で戦えるのは、彼女の存在あってこそだと即座にわかったからだ。あの【聖盾】があれば、多方面からの襲撃を防げる。それだけで戦闘は格段に楽になるだろう。
「待てよ!」ルナの離脱を容認できないクレストが割って入った。
「そんな簡単に抜けられると思ってるのか! オレたちに対する義理も責任もないってのかよ!」
「ないわ」
ルナは断言した。
「なあっ!」
クレストは言葉がうまく出なかった。そのせいで変な声になってしまった。
「さっきも言ったはず。わたしとあなたたちは契約で成り立っていたのよ? その契約を遵守しようとしなかったのはあなたたち。ならば、共にいるべき理由がないわ。責任はわたしではなく、あなたたちにあるのよ」
「……っ」
「わたしの夢は『守護騎士』となること。地と水の精霊の加護のもと、偉大な方の盾となり、槍となり、万難を排す騎士に。けれど女性は『守護騎士』にはなれない。その慣例を覆すために、女でも『守護騎士』になれると証明をするために、わたしは迷宮を攻略することで名声を手にしたかった。そしてあなたはこの街に来たわたしに言った。この迷宮を踏破するならオレたちと来い、と。きっと叶えてやると。でも、あなたはわたしを裏切った。わたしの二年を無駄にした。許せないのはわたしのほうだ」
ルナが睨みつけると、クレストは半歩だけ下がった。
十数秒を無言で過ごし、この深い溝はけして埋まらないものになってしまったのを、彼らは認めるしかなかった。クレストをはじめ、残ったメンバーの誰も、迷宮攻略をやり直そうとは言い出さなかった。
クレストはリーダーとしての最後の務めに果たすべく、半歩を戻してルナの目に正対した。
「……たしかにそうだな。オレはおまえの力を見たとき、迷宮を攻略できると信じた。あのときは本気だった。だが、怖気ついちまったんだ。そうだ、オレは諦めて、逃げた。認める。すまなかったな、ルナ……マドロック」
ルナにはクレストの目に懐かしい輝きが見えた。二年前のあの日、迷宮踏破に向けて仲間たちと乾杯をしたときの眩しさが一瞬だけ戻ったように感じた。
「さよならだ。ありがとう。二年を無駄にしたと言ったが、あれは嘘だ。この二年は悪くなかった。なぜならみんな、生きて今日を迎えられたからな。今日も最高の日だった」
「ああ、今日も最高だった」
いつしか交わさなくなった一日を締める言葉。最高の一日を紡いでいけば、本当の最高の一日がやってくると信じていた。迷宮は、その心も削っていったのだ。
「いや、しんみりするくらいなら、いっそオレたちと来いよ」
レナードが空気も読まずに言った。
『さすが脳筋。さすのう』
クレストは偉大な戦士に向き直り、苦笑いを浮かべた。
「そうだな、と言いたいところだが、プッツリと糸が切れちまったよ。怖いと認めちまったんだ、もう無理だ」
クレストは大げさにジェスチャーして見せた。他の仲間たちも顔を見あわせている。少なくとも、地下9階には近づきたくないと首を振った。
「何がそんなに怖いんだ? ルナもオレたちもいるんだぞ? 戦力的には倍増だろうが」
「地下8までならそう言えるだろうな。だが、9階はダメだ。あのときの判断の早さを、オレは今でも自分を褒めたいくらいだ」
「なにがいるんだよ? それとも、あるのか?」
レナードの言葉に誘発され、クレストは思い出してゾッとした。
「いるんだ。あれは、人が対するモノじゃない。これ以上はマドロックに訊け。オレはもう、引退する。これはいい機会だったんだ。おかげで引き際を間違えずにすんだよ」
クレスト組の他のメンバーも、迷宮への執着を捨てる気になったらしい。性格に多少難ありでもリーダーとしては信頼できたクレストと、鉄壁の防御と回復魔法で仲間を守り続けたマドロックがいないのでは、迷宮に挑むのは無謀とすら思えた。絶対の信頼と安心が、彼らを支え続けたのだから。
「最後の晩餐といこう。マドロック、今夜だけ付き合ってくれ。あとは宿で財産を分配して終わりだ」
「ああ、わかった」
クレスト・パーティーはエンキドゥ酒場に入った。彼らのほとんどは明日以降、二度と足を踏み入れることはないだろう。
例外となる一人、ルナが扉の前で振り返った。
「カテリナ様、明日朝、ここでお待ちします」
「なんだか申し訳ないわね」
「いいんです。皆、それぞれの道に立ち返るだけです。最高の一日を続けるために」
「そう」
ルナの笑みに、カテリナも微笑み返した。
「これで地下8階はどうにかなりそうか?」
レナードが訊いた。
「おそらくは。慣れるまでしばらくかかるとは思いますが。それに彼らのように、魔術武具を揃える必要がありそうです。……地下9階、何が待っているのかしら」
「8階だけでも厄介そうなのにな」
レナードはそう言って、あくびをした。
カテリナは再度解散を告げて、宿へ帰った。装備を外すとベッドに倒れこむ。
「疲れた……。もう本当、疲れた……」
「珍しいね。そんな愚痴を言うなんて」
サイサリス=メモリが、床に投げ捨てられた革鎧や短剣を拾い集める。カテリナは基本お嬢様なので、身支度は面倒くさくなるとやらなくなる。それでも【粘土魔造生物】がないときは独りだったので自分でがんばっていた。だがこのところは便利な下僕ができたことで横着し放題だった。
「あからさまに魔物が強くなってるのが頭痛いわ。しかも8階の構造は最悪だし、9階は脅されまくりだし、このさき大丈夫なのかしら」
心配でため息をつきまくるカテリナに、メモリは嬉しくなった。自分が彼女の愚痴を聞く立場にまでなれたからだ。それに、口調もずいぶんと乱暴になってきている。友達になったんだなーと感慨深い。
「困難は一つずつ、だよ。ぜんぶまとめてやろうとするから失敗するの! 大丈夫、独りでぜんぶやるわけじゃないんだから」
メモリは相変わらず能天気な考えをするとカテリナは思った。しかしそれがとても安らぐのを、彼女は感じていた。
「そうね。誰かを頼るのも、誰かに任せるのも必要なことよね。……一人でがんばりすぎかしら」
「それはあると思うけど、がんばったからみんなついて来たんだよ。無駄なんかじゃないし、素直に自分を褒めて、喜んでいいんだよ」
メモリの手によって枕元に置かれた護身用の短剣は、この街で初めて買った武器だった。これ一本を頼りに迷宮に潜ろうとした日が、もうずいぶん前に思えた。実際には、10日ほどしか経っていないのに。
そのときのメモリとの邂逅は衝撃的だった。思い出して、腹立たしさがわいた。さきの口ぶりも上から目線に感じる。
「……あなた、ときどき先輩風吹かすわよね」
「そう? 記憶を失う前のわたしの影響かな? だとしたら、けっこうできる人だったり!?」
「ないわ。絶対にないわね。ただのお調子者よ、きっと」
「だよねー? 自分でもなんかそう思うよ」
笑いながら桶にお湯の準備をするサイサリスを見て、カテリナは顔が緩んだ。ふと、メモリが話していたゲームのヒロイン、ノエルを思い出した。明るく皆を支えて導いたというノエルとは、まさにメモリのことではないだろうか。いや、ゲームのプレイヤーがメモリなのだから、反映されてノエルがそうなったのかもしれないのだが。だとしたら、現実の感情すら失いかけているノエルとは――
「お嬢様、お背中をお拭き致しますわ、なんて」
「……ええ、お願いね」
カテリナは思考を停止した。邪魔をされたからではなく、考えたくなかったからだ。もしかすると、メモリは間違えたのかもしれないなどと。それが真実であるなら、自分は今、こんなにも温かくはいられなかっただろう。それはとても怖い想像だった。失いたくないものがこんなにも増えていたのに、カテリナは気が付いたのだった。
「……たまにはあなたも背中を流す?」
「わたし粘土だよ? 溶けちゃうよ」
「桶に手を入れてタオルを絞ったのは誰よ?」
「あ、そうか。これって粘土じゃないのか。クレイマンなのに?」
そんな無意味な会話が、カテリナは楽しかった。
汗を拭い、着替えをして、二人でベッドに入る。先日来、習慣となっていた。
「そういえばさ」となりで横になっているカテリナに、メモリが伝え忘れていたことを切り出した。
「あの盾を壊そうとしたとき、わたし、思い出したよ」
「なにを?」
「あれを壊そうと使った技。その理由」
「どういうこと?」
カテリナは布団を剥いで上体を起こした。
「あれって日本の剣術の居合とか抜刀術って言うんだけど、初めて観たのがアニメ……えーと、演劇でいいや。芝居でなのね。それを思い出した」
「それだけ?」
「うん。『初めて観た』っていうのは、わたしにつながる記憶じゃない? だから貴重かなって」
「そうね……」
カテリナはメモリの記憶回復を喜べなかった。
「たぶん、五歳とか六歳くらいかな。あのアニメを観て、わたしもやってみたいって思ったんだ」
「その技を?」
「うん。赤毛のカッコいい剣士が悪い奴を倒していく物語でね、その剣の奥義があれ。超神速の抜刀術」
「その影響でケンドーをはじめた?」
「そうだと思う。でもね、本当にやりたかった技はあれじゃないんだよねー」
「奥義じゃなくて?」
「うん。奥義をマスターするための技のほう。一瞬で九つの斬撃を放つ突進技で、その技を破るための解答が抜刀術なんだけど、どう見てもこっちのほうがカッコいいんだよ!」
サイサリスが起き上がって力説した。
「そ、そう……」
オタクの好きなモノ熱波は、一般人には理解しがたい。レナードより暑苦しいのだ。
「おそらくあの技だけは一生できないだろうなぁ。むしろ奥義のほうが現実的な気がする」
「なんで!?」
「その技って一瞬で時計回りに斬撃を8回出して、最後に突き。理屈はわかるよ? でもさ、時計回りに剣を振っていくということは、一撃のたびに剣を戻すわけじゃん? 無駄じゃない? その無駄があっても速いから最強技の一つなんだろうけど、軌道を活かして返しの一撃にしたほうがもっと速くなるじゃない!」
「えーと……?」
カテリナはメモリの早口解説についていけない。
「見てて!」ついにサイサリスはベッドから飛び出して、魔剣を取った。
「まず1で時計の12時から6時へ振り降ろす。2で時計の1時半から7時半に振り、3で3時から9時へ。わかる?」
「そういうことね。1から2へつなぐのに6時から1時半に剣を戻さなければならないのね。たしかに動きとしては無駄ね」
「でしょう? だったら6時から7時半に持っていって1時半につないだほうが速さも勢いもロスが少ないと思わない? 真サムのスプラッシュグラデーションが理想だと思うの!」
「シンサム? 話の途中にわからない名詞を挟むのはやめなさい」
「ごめーん。で、わたしとしては自分なりの技にしちゃおうかと思うんだけど、どうかな?」
「……好きにしなさい」
カテリナは疲れてベッドに倒れた。この子の話を真剣に聴いていると、最後には絶対におかしくなるのをいいかげん学ぶべきだと反省した。
「よーし、もとの技名があれだから、アレンジして崩すなら……クズス? 被ってるし、なんかいいかも?」
「早く寝なさい!」
カテリナはマットを叩いて怒鳴った。
おまけ
「それはそうと、あなた、レナード様の技を何て呼んだか覚えてるわよね?」
「必殺カテリナ斬首剣? まさに『必殺』だよね!」
「次、言ったらあなたも斬首よ」
「ギロチンの家系!?」




