10 スターダスト・メモリ 5.18-5.19
狂魔術師の迷宮・地下5階・井戸の小部屋。
カテリナが『青水晶の欠片』のおまけで手に入れたコインを使い、ソーサリー・スペルカード・カシャーンという装置から手に入れたカードは、【クレイマン】という魔術が書かれたものであった。しかし、カテリナも、共に行動しているアスタルたちも知らない魔術であった。
「使ってみるしかないんじゃない? 単なる刻印魔術カードだし、危険はないはずだよ」
術師エリンが提案した。怪しさよりも興味が上回っているのが表情でわかる。
「魔術協会なら文献があるかもしれない。調べてからでも遅くはないだろ」
もう一人の術師オーブルは慎重だった。
「オレは見てみたい」
アスタルは面白がっている。他の二人、ウォルターとトゥランも同意らしく、ワクワクしていた。
「……考えていても始まらないわね」
カテリナはため息をついて覚悟を決めた。誰も知らない魔術を手に入れる機会をむざむざ捨てるつもりはなく、また、すぐにでも役に立つかもしれない。
「額にあてればいいのね?」とエリンに確認する。彼女は二度うなずいて「呪文が頭にこびりつくカンジらしいよ」と伝聞で答えた。彼女自身は一度もカードを使ったことがない。
カテリナは黄金のカードを額にあてた。瞬間、魔術式が脳に溶け込んでいく。想像以上の情報量がなだれ込み、カテリナはめまいを起こした。
倒れかけた彼女をアスタルとエリンが支え、座らせた。
「大丈夫?」
「……え、ええ。今までで一番複雑な術式が急に襲ってきて驚いただけ。なにこれ、手順が50以上あるわ……。あ、でも、似てるわね……」
「なに? 何に似てるの?」
「魔造物の術式よ。基本はゴーレムっぽいわね。この枝分かれしてるスレッドがわからないわ。制御系……?」
ブツブツとつぶやくカテリナに、全員が困惑した。
このままというわけにもいかず、アスタルがカテリナの肩を揺らした。
「おい、戻って来い! まずは落ち着け」
「……!」
カテリナはハッとして意識を外界に戻した。
「大丈夫か? 頭痛がするとか、動けないとかないか?」
「大丈夫よ。ごめんなさい。久々に研究しがいのある魔術に出会えたものだから、夢中になってしまったわ」
「ならよかった。で、使えそうか? ゴーレムを作るものなんだろ?」
「それは間違いないわ。粘土人ってそういう意味だったのね。土をベースにしたゴーレムってことね」
「術師にとっては盾ができるわけだし便利じゃない? 早速試してみたら?」
「そうね……」カテリナは考え、「今はやめておくわ」と続けた。
「この術、消費魔力が激しそうなの。手順が78工程あったわ。それだけの魔力を消費すると、私の魔力は半分近く減ってしまう。まだ迷宮の探索を続けるのなら、そんな無茶はできないわ」
「そのぶん強いゴーレムが出るかもしれないよ?」
エリンは楽しみを捨てきれない。カテリナ脳内のメモリも同意しまくっている。
「いや、カテリナの言うとおりだ。まだ探索をはじめたばかりで稼いでいない。それにこんなところで試して何かあっても対処できないだろ。せめて1階に戻るまでは保留すべきだな」
アスタルの決定に、一部メンバーの不満はあったが反対はなかった。彼らは探索に戻ることにした。
それから彼らが得たものは、巨大ネズミ15匹にオーク5体の討伐と、銀貨200枚入った宝箱――返しにカテリナが金貨を1枚入れて皆を驚かせた――、そして熊に引き裂かれ通路の捨てられていた戦士の遺体である。
「地上に連れていく。今日はここまでにしよう」
アスタルは動かない彼を担いだ。
「……彼を知っているわ」
カテリナが悔しそうにつぶやく。
「ああ、オレも知ってる。きのう、肩を並べたからな」
カテリナのイベントに参加した一人だった。『青水晶の欠片』を手に入れて物見遊山で地下5階に来たのか、開かれた新たなステージに挑戦したのか、カテリナにはわからない。一つ言えるのは、昨日のカテリナのイベントがなければ、彼は今日、こんな場所で死ぬことはなかった、ということだけだ。
「別にカテリナのせいじゃないからね。迷宮探索は自己責任だよ」
エリンは慰めを言った。事実であっても、カテリナには慰めにしか聞こえなかった。
「わかってるわ。明日は我が身よ」
「そうだ。それがわかってるなら、彼のために悲しんでもいい。ただ、今は考えるなよ。まだオレたちは迷宮にいるんだ」
「ええ。彼を殺した熊が近くにいるかもしれないものね」
カテリナは前方の見えない敵を睨みつけた。
そして、通路を徘徊していた狂赤熊を目にしたとき、彼女はアスタルの判断も待たずに【雷蛇】を三連射した。
消し炭さえ残さず消滅していく魔物を見ながら、カテリナは歯を食いしばった。
アスタルは頭を振り、ため息を吐いた。
「今回は許してやる。だが、次はないぞ。パーティーを無視して勝手にやりたいなら、もうオレたちには関わるな。いいな?」
「……ええ、ごめんなさい」
「よし、帰るぞ」
アスタルは遺体を担ぎ直し、地上へと上がった。
その後、迷宮街の共同墓地管理人に連絡を取り、戦士の遺体を引き渡した。代金はカテリナがすべて支払った。これもアスタルは不満であったが、気の済むようにやらせた。探索が終わればパーティーは解散なのだから、彼女の個人的感傷に付き合うつもりはなかった。
「人間としては好ましいが、探索者としてはどうかな」
彼は酒場で仲間たちに漏らした。いつもより酒量が多かった。
宿に戻ったカテリナは、ぼうっとしていた。
しかたなく、メモリはカテリナの体を借りて装備を外し、濡れタオルで体をよく拭き、残っていたサンドイッチを食べた。メモリは味を感じられないが、きっと今のカテリナも感じてはいないだろうと思った。
歯を磨いて、寝た。
朝、ハッと目覚めたカテリナは、きのうの自分を瞬時に思い出した。そして頭を抱え、それから頬を叩いた。
「後悔はおしまい! 生きている人間はやるべきことをやる! ええ、そうでなければ――!」
沈みかける。
『おっはよー! さぁて、今日は早速あれやろうね!』
メモリの声が脳髄に響いた。
「あなた、朝からテンション高いのよ!」
『朝だけじゃないよ。東西南北朝昼晩、オールラウンドで元気だよ!』
「あなたは――!」カテリナは怒鳴りかけて口をつぐみ、静かに続けた。「ありがとう」と。
『うんっ。それはともかく、朝ごはん食べたらやって見せてよね』
「何の話よ?」
カテリナはベッドから立ち上がり、ストレッチをした。
『くれいまん?だっけ。あれあれ』
「ああ、そうね。試してみましょう」
メモリの希望を叶えるのは癪に障るが、今は素直に従いたい気分だった。何かをしていたいのだ。
宿の1階で朝食を済ませ、カテリナは早朝の迷宮に出向いた。万が一、術が予期せぬ暴走をしても、ここならば被害はないと考えたからだ。この時間は誰もいない。
「ではいくわ。【クレイマン】」
術名をコールし、術式をスタートさせる。全78工程が走り、放出される魔力を形にしていく。高速で組みあがるそれは、黄土色の人型を成していった。
その形はカテリナもメモリも予想しないものだった。一般的な魔造物と呼ばれる魔人形のような粗雑で荒い外見ではなく、まさに人間のようだった。しかも女の子で、変わった洋服を着ている。彩色されていたら人間と見間違うレベルである。
『……誰かをモチーフにしたの?』
メモリが訊ねるが、カテリナこそ知りたい疑問だった。彼女はただ、【クレイマン】の呪文を唱えただけなのだから。完成予想図などわかりようもなかった。
『ん~、どこかで見たような……』
メモリが近寄るが、クレイマンは反応しなかった。
「とりあえず動かしてみましょう。歩け」
カテリナの声に、クレイマンは人のように歩きはじめた。意外と早い。術者が慌てて「止まって止まって!」と停止を呼びかけた。
『止まったね。カテリナの言うことは理解するみたいだね』
「そうね。あとはどのくらい言葉を理解するかね。戦闘にも使えるようなら便利なんだけれど」
『強そうには見えないけどね。なんでこんな女の子なんだろう』
「女の子……?」
『思い当たる?』
「ええ、一人だけね」カテリナは眉間を押さえた。まさか、と思う。だが、可能性は捨てきれない。
「……これ、あなたじゃないの?」
『え、え、わたし!? これェ!?』
「私はこんなコを知らないわよ。でも、魔術が私の記憶から具現化したのなら、今の私の頭に一番近いのはあなたしかいないわ」
『でもわたし、自分の顔なんて覚えてないよ!? こんなカワイイなら、わたしでもいいけど!』
「醜かったら自分ではないと言い張りそうね……」
『わたしは鏡に映らないから調べようないんだけど……。あ、でも、手とか体は自分でも見えるんだった』
メモリは腕をくるくる回転させて特徴を探した。左肘の外側にほくろが二つ並んでいる。
彼女は再度クレイマンに近づき、左肘を見た。
『……カティー、この服って脱げるの?』
裾が長くて確認できなかった。
「……無理みたいね。腿には何かない? そこなら露出してるわ」
『ん~……。あった。右膝の内側にほくろ』
「……あるわね。それより両掌にマメがあるようだけど。剣術のせい?」
『あ、そうそう、忘れてた……て、つまり、やっぱりこれわたし?』
「そうなるわね。おめでとう。外見がわかったわ。思ったとおり子供ね」
『いやいや、この胸見てよ! カティーよりあるって!』
「くっ……!」
『日本人は幼く見えるっていうから、これでも高校生……17か18歳くらいだと思うよ。よく見ると制服っぽいし』
「制服? 学生の?」
『うん。デザインが凝ってるから私立のいい学校かも。じゃぁ、わたしもお嬢様!?』
「ないわね。品性が欠落してるもの。お金があればお嬢様ではないわよ」
『一般的にはお金があればお嬢様ですー』
「ロクでもない世界ね」
カテリナは軽蔑するように顔をしかめた。
『もしこれがわたしなら……。カティー、ちょっと試していい?』
「なにを?」
『うん、あのね、この――あれ!?』
二人の前でクレイマンが崩れ始めた。最後には砂のようになり、何も残らなかった。
『……寿命が短い。美人薄命とはよくいったものだね』
「10分程度ね。これでは使えないわ」
消費魔力に見合わない。よほどの緊急時以外は呼び出す価値がなさそうであった。
『そう決めつける前に、ちょっとだけ試させてよ。お願い!』
メモリは勢いよく手を合わせたが音はしなかった。
「だから何をよ? ムダ魔力は使いたくないわ。疲れるし」
『わたしにそっくりなら憑依できないかなって。わたしがわたしの意志でクレイマンを動かせたら戦力になるでしょ?』
「なるほど……」
カテリナにその発想はなかった。そういえば、ただのゴーレムにはありえない制御術式が存在していた。それは、複雑な思考パターンを理解し、自律行動ができるようになっているからではないか。それに、ゴーレムを動かす魔力貯蔵庫に大きな空間があった。そこから導かれる答えは――
「これが、魔物……魔造生物の作成魔術……?」
背筋がゾクゾクした。
『……カティー?』
「ああ、すごいわメモリ! あなたの発想が思いもよらない結果になりそう! もし仮説のとおりなら、単独でも迷宮を攻略できるかもしれないわ!」
『え、それはないでしょ? もしそうでも絶対ダメだからね! そーゆー独善的、オレすげーなんでもできらァは大バカだからね! きのうのあの人を思い出して!』
「……!」
カテリナは一瞬で体が冷えた。
『わたしはカティーをあんな目に合わせないからね! 無理やり体をとめてやるから!』
「そ、そうね。ちょっと大発見に興奮しすぎたわ。ちゃんと冷静に判断しなくちゃ」
『そうだよ? カティーは夢中になると見境なくなるみたいだから気を付けないと』
「思い当たるわ……。反省する」
『うん、よし!』
メモリは偉そうに鼻を鳴らした。
「それじゃ、もう一回やってみるわ。私も試したいことができたから。【クレイマン】」
カテリナはカバンにあった核石を床に投げ、そこから術を起動した。一度術を発動したからか、今回の構築は二倍ほど早かった。慣れが速度に直結するのなら、そのうち瞬時に呼び出せるのではないかとカテリナは期待した。
今度のクレイ・メモリは彩色済みであった。肌は白く、目は青く、髪は赤毛だ。服は青のジャケットとスカート、白いシャツ、黒の靴。カテリナの想像した色である。
『これ日本人じゃないよ』
「ニホンジンを知らないわよ。ほら、試しなさい」
『はーい』
メモリはクレイ・メモリに触れた。触っている感触はない。が、拒絶されている気もしない。クレイ・メモリはカテリナの魔力が作り出した、カテリナの分身でもある――と、勝手に思い込めばクレイ・メモリもカテリナと同義と確信できた。
メモリの視線が低くなった。音を左右前方から感じる。手を握ると感覚があった。動いた。
『やった、やったよー!』
クレイ・メモリがジャンプする。カテリナに入っていたときよりも体が軽く感じる。
『わたしの体ってこんなに軽いんだっけ!?』
思い出せないが、軽快な動きができるのに感動してしまう。
試しにカテリナを持ち上げてみる。楽ではないが、腕が伸び切るまで上がった。
「ちょ、メモリ! 下ろしなさい!」
『ゴメーン。なんか体に力が溢れてて、どこまでできるかみてみたかったの』
「あなた、元の体ならこんなことできたの?」
『知らないけどムリ! 普通に考えてムリ!』
「あなたね……」
カテリナは呆れた。しかし、彼女にとっても嬉しい誤算である。クレイマンの能力は元となる生物に準じる性質で、たとえメモリが憑依に成功したとしても体力的には外見に比例するものと考えていたのだ。
「核石も馴染んでいるようね。計算どおりであれば12時間はもつはずよ」
『それなら迷宮探索がフルでできるね。あとは何ができるかな。そうだ!』
メモリは念じてみる。自分の体なのだから、思うとおりに変化できないものかと。
肌に色が見え、目は茶色に、髪は黒になった。
「それが、異世界のメモリ……?」
クレイ・メモリが自分の髪色を確認する。
「そだよ。たぶんね」
クレイ・メモリは口を開け、声に出して答え、満面の笑みを浮かべた。
「……かわいらしいわね。はじめまして、メモリ」
「ありがとう。はじめまして、カテリナ・アーモニア公爵令嬢様」
二人は挨拶を交わし、照れた。
「と、ところで、クレイマンからの出入りは可能なのかしら? 昨日のように偵察を頼むこともあるから、その中に留まられても困るわ」
「んー」メモリは目をつぶって意識を外界に向けた。するとクレイ・メモリを上から俯瞰するように見えた。
『抜けられるっぽい。けっこう何でもアリじゃない、これ』
「便利すぎるわ」
カテリナは欠点がなさ過ぎてつまらなかった。創意と工夫の余地がないのは、技術者として退屈だった。
「さて、それではメイン・イベントだよ!」
「何をする気?」
「見ててね!」
クレイ・メモリがニヤリとする。カテリナには嫌な予感しかしない。
「オラに力を分けてくれー!」
おもむろに叫ぶメモリ。と、体が徐々に大きく、たくましくなっていった。
彫りの深い男性の顔、筋肉に覆われた体、青銅色の肌、逆立つ髪、蛮族の戦士のように上半身は裸で腰には前垂れ。両肩にはセンスのない黄金の肩あて。
「オラァ!」
叫ぶクレイ・メモリだったモノ。カテリナは何を見せられているかわからず、考えるのをやめた。「馬鹿だわ」としか感じない。
「スタープラ……いえ、ダストにしておいたほうがいいかな。スターダスト・メモリ!」
容姿はマッチョな蛮族なのに声は少女なものだから、カテリナはよけいに頭が痛い。
「やるなら声もいじりなさい……」
忠告してしまう自分も馬鹿な気がした。
「そうだね。あ、あー、あーーー……。うん、これだ。あらためて、スターダスト・メモリ、参上!」
「はいはい。気はすんだかしら。早く元に戻りなさい」
「え、ずっとこれでいくよ?」
「連れ歩く私の身にもなりなさい!」
「なってるから言うんだよ。メモリの姿のままじゃナメられちゃうよ?」
カテリナはハッとした。
「女の子二人連れなんて絡んでくれって言ってるようなものじゃない。こんな街じゃ特に。だから『カテリナ様の護衛』として外見上のハッタリくらいは必要だよ」
「たしかに……」
「まー、カッコいいからってのが一番の理由なんだけどねー」
笑うメモリに「ええ、知ってたわ」とカテリナはスンッとなった。
「設定は用心棒として買った奴隷とかでいく? それとも宿敵の目覚めとともに覚醒した新能力とか、変なお婆ちゃんに矢で貫かれて発現したとか――」
「黙りなさい。アスタルたちに説明するのだから【クレイマン】のままでいいの。名前は――」
「スターダスト・メモリ!」
「恥ずかしすぎるっ」
「通り名ってことでスターダストにしよ」
「百歩譲ってダスティよ」
「……わかった。ふーん、いいもんね。すたーだすとめもり~めもり~わすれ~な~い~で~い~て~」
「なんの歌よ……」
カテリナの頭痛が酷くなっていく。
「さぁ? 遥か太古の流行歌らしいよ。誰かから聴いた。ヤックデカルチャー」
「本当に中途半端な記憶ね」
「うん、だから思い出したいな」
寂しそうな声だった。普段の姿のせいで忘れることが多いが、メモリは名前も思い出せない異世界の記憶喪失者だった。
「メモリ……」
「気にしないで。そのうちなんとかなるから。で、これからどうする?」
「そ、そうね。まずは検証しないと。その姿をどのくらい維持できるのかが最優先ね」
「おっけー。戦闘とかの激しい運動による魔力消費も考慮して、シャドー・ボクシングでもやってる。オラ、オラァ、オラオラァ! オラオラオラオラ!」
「黙ってやりなさい!」
「あ、それとこれ、やってみてわかったけど、メモリのままより力あるよ。外見の筋肉量に比例して変わるんだね」
「それはそうでしょう? 迷宮の魔物も外見に見合った能力なのだから」
「そっか。それもそうだね」
この日、迷宮地上階で異国の蛮族と戯れるカテリナは注目の的だった。
アスタルたちも迷宮へと出向くなかで遭遇し、【クレイマン】を紹介された。
そのさいダスティことクレイ・メモリが一言も発しなかったのは、メモリの判断である。ただでさえ特殊なゴーレムが、しゃべるとなれば魔術協会が黙ってはいないだろう。面倒はなるべく回避したかった。
その夜の酒場は、カテリナと新型ゴーレムの話題で持ちきりとなった。
おまけ
その日の深夜、宿屋にて――
「……」
「どーしたの? 眠れない?」
「……いつまでその姿でいるのよ?」
「え、このままだって言ったじゃん。それに術もまだ切れないし、検証続行中だよ」
「だからってベッドのそばで蛮族戦士が正座してたら怖くて眠れないでしょう!」
「そばで見守るからスタンドなのさ……オラァッ」
「【雷蛇】を叩きこんでやろうかしら」
「怒るとよけい眠れなくなるよ。ほら、布団をかけて――」
「怖いからやめなさい! もう、その姿、禁止! 絶対禁止! 強制解除してやるわ!」
「えー!」
………………
「……だからってメモリの姿でいっしょに寝る必要ある?」
「うるさい。そばで立ってられたら結局怖いのよ」
「まぁ、いいけどね。わたしは眠れないけど、今日はいっしょに寝てあげるよ」
「それでいいのよ。おやすみなさい、メモリ」
「おやすみ、カティー」




