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勇者転生 ~裏切られたのでスローライフはじめました~  作者: 川合 佑樹


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第46話

 次は小麦を挽く作業だ。

 リースが作った石臼を回すのは、意外と重労働だった。

 マサが額の汗を袖で拭いた。

「これ、毎日やるのか……」

 ガルが石臼に近づいた。

「俺が回してやるよ! これくらい朝飯前だぜ!」


 ガルが両手で柄をガシッと握り、力強く回した。

 ゴリゴリ……!

 粉が勢いよく出てくるが、少し強すぎて周りにパラパラ飛び散った。

「ガル、力加減は優しくね。粉が飛び散っちゃう」

「わかってるよ! ほら、見てろ!」

 ガルが少し力を緩め、今度は丁寧に回した。

 みんなが周りに集まって、粉の様子を覗き込んだ。

 粉が出来上がると、アルが丁寧に計量した。

「小麦粉、塩、水、酵母……あと少し油を入れると柔らかくなるわ」


 マサはアイテムボックスから、別の瓶を取り出した。

「これでいいか?」

 エレが瓶を覗き込んで、目をカッと見開いた。

「えっ!? これ幻の『月光オリーブ』を使ったオイルじゃないですか!?」

 他のエルフたちが一斉に息を呑んだ。

「夜にしか実らないって言われてる……あの!?」

「香りがこんなに深くて、黄金色……!」

「こんな材料でパン作れるなんて、夢みたい……!」

 みんなが興奮して手を震わせた。


 生地をこねる作業は、ドンドン! と賑やかだった。

 サチが手を添えた。

「力加減が大事ですよ。強すぎると固くなります」

 彼女の指先が優しく生地に触れると、生地がふんわりと柔らかく沈んだ。

 ガルが力任せにグイグイこねようとすると、「待ってガル! そこまで力入れないで!」

 アルが慌てて止めに入り、ガルの大きな手を押さえた。

 ガルが苦笑しながら、「おっと、すまねぇ……」と呟いた。


 リースは生地をバン!と叩きつけた。

「こうやって伸ばすのか?」

「リース、それやりすぎ! 破れるっ!」

 マサが慌てて止め、リースの肩を軽く押さえた。

 リースは「ふん!」と鼻を鳴らしたが、頰が少し赤らんでいた。

 リリィが笑いながら言った。

「みんな、楽しそうね」

 彼女はこね台の横で種火を魔法で灯した。

「発酵させるなら、火加減も大事よ」

 淡い青い炎が、桶の下を優しく温めた。

「この温度なら、一晩でちょうどいい膨らみになるわ」


 みんなで桶を囲んだ。

「明日が楽しみだね」

「絶対美味しいパンになるよ!」

 と声をかけ合った。


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