表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者転生 ~裏切られたのでスローライフはじめました~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/25

第18話

 朝の陽光が魔界の紫空を淡く染めていた。

 ログハウスの中はまだ薄暗く、焚き火の残り香と木の匂いが混じり合っていた。

 マサはマントの上に寝転がったまま、大きく伸びをした。

「……んー、よく寝た」

 隣でサチが小さく寝息を立てているのを横目で見て、口元が緩む。

(昨日はあんなに照れてたのに、今は完全に安心しきってるな……かわいいなあ)


 彼はそっと起き上がり、足音を立てないように床に降りた。

 外の空気を吸いたくなって、入り口の布を軽くめくった。


 ドンッ!

 地面が小さく震え、目の前に巨大な影がそびえ立っていた。

 ぼろ布をまとった赤毛の女オーガだった。

 一本の太い角が天を突き、筋肉質な体躯が朝の冷気を切り裂くようにそそり立っていた。

 その瞳がギラリと光り、マサは反射的に身構えた。

「オーガ!?」


 剣はテーブルの脇に置いたままだった。

 素手でやるしかない。

 だが、相手の手にも武器はなかった。

 女オーガは両手を軽く広げた。

「やろうぜ勇者!」

 オーガは一歩踏み込んだ。

 地面が震えた。


 マサは腰を落とし、相手の動きを待った。

 オーガが右拳を振り抜いた。

 ブンッ!

 重い風切り音が響いた。

 マサは体をひねり、紙一重でかわした。

 同時に左拳をオーガの脇腹に叩き込んだ。


 ドゴッ!

 オーガがわずかによろめいた。

 だがすぐに体勢を立て直し、突進してきた。

 マサは後ろに跳び、地面を蹴って横に回り込んだ。

 背中を狙い、蹴りを繰り出した。

 バキッ!

 オーガは体を傾けて避け、振り向きざまに肘打ちを放った。

 マサは腕で受け止め、衝撃で後退しながら右足を回した。

 ガツン!

 膝裏を蹴り抜いた。


 オーガが膝をついた。

 マサは間髪入れず、鳩尾に掌底を叩き込んだ。

 ゴッ!

 鈍い音が響き、オーガが崩れ落ちた。

 マサは息を吐いた。

「……もういいか?」


 オーガが地面に倒れ込んだまま、息を荒げて顔を上げた。

「……なぜ本気を出さない」

「以前訪れた村で、人間と共存してたオーガがいたんだ。俺もそいつらと意気投合して、色々話を聞いたことがある」

 少し間を置いて、マサは続けた。

「お前が魔法を使わないなら、俺も使わない。それでいいんだろ?」

「……くっ、完敗か」


 オーガは地面にドサッと座り込んだ。

 胡座をかき、赤毛をガシガシ掻いた。

「よし、俺の番になれ!」

「はぁ!?」

 マサが目を丸くした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ