第12話
マサは剣を軽く振り回し、近くの枯れ木に狙いを定めた。
シュンッ! バキッ!
剣閃が走り、枯れた幹が次々と斬り倒されていく。
木々が倒れるたび、乾いた音が響き、木屑が舞い上がった。
マサは倒れた木を引っ張ってきて、地面に積み重ねてみた。
「よし、次!」
切り出した板を地面に並べ、剣の柄で叩きながら隙間を合わせようとする。
しかし、板が斜めにズレてガタッと崩れてしまった。
「あー、ダメか……」
マサは崩れた板を直し直し、梁になる丸太を立ててみた。
だが角度が悪く、グラグラと揺れて安定しない。
隙間の空いたところを剣先で削ってみるが、力加減を誤って穴がポッカリ開いてしまった。
「ゲームみたいにはいかないなぁ……」
近くで作業を見守っていたサーチアイが、ゆっくりと近づいてきた。
彼女は首を少し傾げ、静かに尋ねた。
「ゲームって、何ですか?」
「あー、まぁ……こういうのを事前に頭の中で考える、みたいな感じかな?」
マサは剣を地面に突き立て、軽く頭を掻いた。
サーチアイの単眼が少し輝いた。
「設計図、ですか?」
「おっ、いいね! それだ! 設計図を書こう!」
マサは地面に剣先を這わせ、ザザザッと土を削りながら間取りを描き始めた。
「あーでもない、こーでもない……」
眉間にしわを寄せ、指で線を消しては描き直す。
何度かやり直した後、ようやく一つの形に落ち着いた。
「……これなら、梁が通るかな。よし、これでいこう!」
満足げに立ち上がり、マサはイメージを頭に焼き付けた。
体に魔力を巡らせ、剣を一閃。
剣閃が走り、倒した木々が瞬時に均等に切り分けられた。
「おー、いい感じだな!」
サーチアイが小さく感嘆の息を漏らした。
「……器用ですね」
「まぁ、自然と身についてたんだよなぁ」
マサは剣を軽く振って笑い、作業に戻った。
「こういう風に振る剣も、悪くないな」
持ち前の腕力と剣捌きで、木板を組み合わせていく。
梁を組み、壁を立て、屋根を架け始めた。
作業中、サーチアイは傍らで木材を運んだり、隙間を塞ぐための苔を集めたりして手伝っていた。
彼女は時折立ち止まり、静かに提案した。
「マサ、ここをもっと固く固定した方がいいんじゃないですか?」
「確かに。この板をもう一枚重ねて……」
「マサ、槌代わりに剣で叩くのはやめてください。聖剣ですよ?」
サーチアイが少し眉を寄せて指摘すると、マサは慌てて剣を止めた。
「わかったわかった、優しくするよ」
二人のやり取りが、荒野に小さく温かく響いた。




