8話「水と魚が欲しい」
それは無人島へ来た次の日の朝。
「んー。よく寝た。
やっぱり高い所で寝たら砂を被らずに済むな」
先にポテチが起きると、
早速海の方へ向かう。
「砂浜辺りは魚いないなあ。
流石にポテチとコーラだけじゃ
生活できないからなあ」
二日目だからだろうか。
流石に少しは先の事を考え始めている様だ。
しばらくすると、
コーラも起きてくる。
「おはよう。
何やってたんだ?」
「おう、おはよう」
「魚がいないなあと思ってさ。」
「魚?ああ、
岩陰ならいるんじゃないか。行ってみるか?」
「うーん、それよりさぁ。」
「なんだよ?」
「喉が渇いた。水が飲みたい。」
「はぁ、水ぅ。コーラならあるぞ。」
そう言ってコーラを出す。
「めっちゃ冷えてるな。便利なもんだ。
ほれ、飲めよ。」
「これなんだけどさ、
どの位同時に出るんだろうな。」
「お前、急に真面目なことをいうなよ。」
コーラがポテチの言動に驚く
「俺さ、水が飲みたいのよ。
ペットボトルたくさん出せるなら、
器に出来るかなって。」
「ダンボールだけ出せたからいけるか?」
戸惑いながらコーラが念じて出そうとする
「とりあえず5、空のやつ・・・。」
念じるやいなや、
空のペットボトルが出現する。
「出来た!」
思わず大声が出る。
「大きさ変えられるかあー?」
遠くからポテチの声がする。
我慢ができなかったのか海に入っていた。
「ああ、やってみる。」
イメージが出来ないのか、上手くいかない。
「器にするにしても、
切れないと意味がないよな。
大体これくらいの深さに・・・。」
指でなぞる様にすると、
蓋側が消えて綺麗な形が出来る。
「おお、すげぇ。これなら行けるかも。」
そう言うと、大皿程の大きさに変わる。
「出来たぞ!ってあいつどこに行った?」
海に入っていることに気づいたが、
あまり気にせずに大声で言う。
「おーい、出来たぞぉ。次はどうする?」
「二十個くらい作ってくれ。そっち戻るから」
海水を袋に入れて戻って来る。
「砂浜を掘って、海水を入れよう。
真ん中に2リットル位の幅がある器を置いてさ、
そのデカいので蓋をしよう。
上手くいけば水が出来るだろう。」
まさか、そんな提案をしたのはポテチだった。
昔見たテレビで、
「蒸留水」という言葉が気に入って
覚えていたらしい。
「おおう、わかった。なら、蓋の部分は中央に水が行く様な形がいいな。」
コーラが蓋用のペットボトルを用意する間、
ポテチがダンボールを器用に使って、
穴を掘っていく。
「まず3箇所出来たぞ、
ペットボトル置いてくれ。」
コーラが作業に入ると、
ポテチは再び海へ向かった。
10箇所くらいの穴を掘った所で腰に手をやり、伸びをする。
「うーん。太陽が眩しいなぁ。」
と言いながら、袋をかざす。
「どうした?」
「いやあ、この袋が透けたら綺麗かなって思ってさ。」
袋を見ずに、コーラの方を向きながらいうと。
「いや、透けてる。透けてる。」
と驚きながら叫ぶ。
「太陽にかざしてみよう。うっ、眩しい!」
「なに、やってんだよ。
それ使って水を作ってみよう。」
コーラの言葉をきっかけに、
袋でも水を作ることにした。
まずは、80センチ程の大きさにして、
海水が入った穴に被せ、
ダンボールをフック状に変化させ、
角の4箇所に砂に刺し固定させる。
最後に袋の中央に石を置き、少しくぼませる。
「いい出来じゃん。」
思わずコーラが感心する。
「こっちの方が、
水になりやすいかな?」
「わからないけど、良さそうだな。
次は俺が海水持ってくる」
役割を交代し、
今度はコーラが海へ向かう。
「おいおい。
お前、適当に穴掘るなよ」
「え?なんでだよ。別にいいだろ。
出来る量は変わらないぞ」
コーラが大きくため息をつく。
「確かに変わらない」
「だろ?」
「だけどな。
回収する時のこと考えてくれ」
「考えてるぞ」
「どこがだよ」
「沢山作ってる」
「そうじゃねぇ」
「なら何よ?」
「2列とか3列に並べて置いて。」
「面倒だろ?」
「回収するときに
どこに置いたかわからなくなるだろ。
ってもう終わってる。」
どうせ今から並べ直させる方が面倒だ。
「まあ、とりあえずお試しってことで」
コーラは説得を諦めた。
喉が渇いたのか、
一本取り出して蓋を開ける。
「やっぱり冷えたコーラ最高。」
「おいおい。
こっちにもくれよ」
二人で一本を回し飲みしながら、
一息つく。
ふと、
ポテチがロボの足へ目を向けた。
「やっぱ俺の方が、ロボ感あるな」
「はあ?貴方にはわからないんですかね」
コーラが自分の作品を指差す。
「このスケール感と格好良さが」
「いや、
どう見ても俺の方が強そうだろ」
「作品である以上、コンセプトが必要なんだぜ!」
「そういうもんか?」
「そういうもんだ」
二人で作ったロボの足を眺める。
話しているうちに、
日が随分上に昇っていた。
「日が昇ってきたな」
「だな」
少し間を置いて、
ポテチが腹を押さえる。
「そんなことより腹が減った」
「ポテチ食えば?」
「それよりさ。他に食い物ないか探そうぜ」
「まだ日も上がり切ってないしな」
「岩場とか行けば何かいるだろ」
「そうだな。行くか」
「おう!」
待ってましたとばかりに、
ポテチが走り出す。
「足滑らすなよー」
「足場砂で重いから大丈夫!」
何が大丈夫なのかはよくわからない。
コーラはそう思いながら、
のんびり後を追いかけた。
岩場に着くと、
ポテチはキラキラとした様子で散策をしている。
「おい、靴忘れてるぞ。
岩場は流石に履けよ。」
「おお、悪い悪い。ありがとさん。」
お礼を言って、靴をはく。
「どうだ?」
とコーラが聞く。
「ああ、そこの岩場の濡れ具合だけど、
今から潮が引くな。」
「なら仕掛けどきだな。
魚がいそうな場所を探してくれ。」
「わかった。・・・ここなんてどうだ?」
「良さそうだな。
斜めに仕掛けられそうなのがさらにいい。」
「斜め?」
「まあ、見とけよ。」
コーラは、ペットボトルを四角の形にして、
水につける。
「ここからよ。」
続いて大きくし、
岩場を上手く使い、斜めにして置く。
「上出来。割と深くまで仕掛けれたぞ。」
「で、結局どうなるんだ?」
「魚が入り込んでる間に潮が引くだろ」
「おう」
「そしたら水だけ減って、
魚が出られなくなるって寸法だ」
「おおっ!
漁ってやつだ!」
「たぶんな」
「たぶんかよ」
「まあ、やってみないとわからん」
「それもそうか」
「わかったら他の場所も探そうぜ
って、あいつもういねぇ」
気付けば、
ポテチはもう離れた場所まで移動していた。
「今度も並べて置くんかー?」
「そこにいたのか!今度は気にしなくていい」
「わかった。ここなんて良さそうだぞー。」
「そんな感じで頼む。」
二人で手分けして探し回り、
追加で二つ仕掛けを置いた。
なるほど。
あの魚入り水槽は、
こうして出来たらしい。
……やりすぎだろ。
こいつら。




