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俺だけが使えないアカシックレコード ~規格外のクラスメイトたちに命乞いして無人島を生き抜きます~  作者: クレハ コウヨウ


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45話 「カラオケちゃんその二」

「あのー、すみません。」


夜の海岸。

空が広がる開放感がある中、悠然と構えるカラオケセット。


盛り上がりを見せ続ける、3人。

ポツンと取り残された俺!


あまりの疎外感に正座をしながら声をかけている。


あははははっ……


本当に楽しそうである。


無人島で不安になることもあるだろう。

そんな中、笑い合えるのはいいことだ。

・・・しかし。


もう30分もこの状態だ。

正座は今始めたばかりだが、このままではいつ終わるかもわからない。


「ちょっといいですか?」


まだ少し遠慮ぎみにたずねる。


反応はない。

だが、ここで何やらポテチが動く。


……おお、気づいてくれたか!

期待して待ってみると、


おもむろにポテチを取り出し、袋をパーティ開けにする。


そのまま、一枚つまんで口に運ぶ。


すると、コーラも女の子も、当たり前のように手を伸ばした。


パリッ、パリッ。

三人は黙々とポテチを食べ続ける。


えっ?

としか言いようがなかった。


これ、いつまで待てばいいの?


「ちょっと!いいですか。」


今度は大声で言ってみる。


すると、女の子がこちらを見て、気づいてくれる。

その後、ポテチとコーラを見て、少しよそよそしい表情を見せる。


「おい、お前達いつまでやってんだ!女の子はとっくに反応してくれてるぞ。」


気を遣うべき女の子はこちらに意識を持って来てるから、もうこの空間に遠慮はいらない。


「ええっ?ああ」


「なんだよ、もっと観てようぜ。」


「俺は観れねぇんだよ!」


「んんっ?ああそうか。」


ようやく2人もこちらに意識が戻ったようだ。


「もう、これからだったのに。」

ポテチは非常に残念そうだった。


「本格的に観るなよ、また今度落ち着いてからにしてくれ。」


「それで、どうしたんだよ。」


……どうしたんだよじゃないだろ。

なら何しに来たんだよ?

たしかにまずは仲良くなった方がいいさ。

でもな、長いんだよ!

実際ほぼ挨拶しかしてないし、

女の子も名乗ってないんだぞ!


と、いう言葉を飲み込み、単刀直入に言う。


「実はクラスメイト全員にアカシックレコードを知ってもらいたいと思っている。君のカラオケを使って言葉を飛ばせないかな?」


この30分で、三人はすっかり打ち解けたようだ。

もういっそのこと、目的を言った方が早い。


なんだけど……。


「えー、めんどい。」

ポテチはそう言って、やる気のない様子を見せる。


コーラは気付け代わりに飲み物を飲んでいた。


お前らは寝起きの小学生か!


「あの、どうやって飛ばすの?」

女の子が尋ねる。


「そうだな。こいつがさ、ペットボトルを自在に操れるんだけど、簡単に上空を移動できるんだよ。」


「こんな風にな。」


コーラの声が聞こえるより先に、

自分の体だけが持ち上がる。


昇っては下り、

下っては昇る。

ときにはジェットコースターのような動きさえあった。


「……」


こんな時はもう、抵抗するだけ無駄だ。


もうどうにでもなれと目をつむっていると、

足に地面がついた感触があった。


「いつまで目をつむってるんだ?」

ポテチから声がかかった。


「お前、急にやるなよ!」

思わずコーラの胸ぐらを掴む。


「はははっ、デモンストレーションだろ?」

と、悪びれない。


「だったらお前が自分でやれよ! 楽しそうな顔でパフォーマンスできるだろ!」


「まあ、いいじゃないか。こんな感じで移動出来るんだよ。」

よくねえから抗議してんだよ、ポテチ……。


「うん、なんか凄いね。」


「まったく、毎度急にやるなよな。まだこの子の名前すら聞いてないのに。」


「えっ、あっ、うん。私の名前は……。」


「あれ?そうだっけか?カラオケちゃんでいいじゃないか。」

女の子が話す前に、あっけらかんとポテチが言う。


「えっ?うん、それで大丈夫。」


あっさりとカラオケちゃんで決まり、

それぞれ再度挨拶をかわす。


「・・・」

ここで沈黙の時間が訪れる。

……どこまで話したっけ?


「おいおい、遭難者、お前話すこと忘れたな?」


「お前マジかよ、映画鑑賞遮っといて。この島にいるクラスメイトにアカシックレコードを知ってもらいたいんだろ?」


カラオケちゃんが、きょとんとした顔でこちらを見ている。


「それって今日じゃないと駄目なの?」


「確かにもっともな意見だな。」

あごに指をあて、話すコーラ。


「食に不満があるグループがいるんだ。出来れば早く教えてやりたいから、協力して欲しい。」


「そのグループを最優先にして、まずは一度だけ試してみるのはどうだろう?」


「試すってどう試すんだよ、コーラ。」


「カラオケで届く範囲を確認する。実際届いてるかは相手の状況は把握できるから問題ない。」


「おい、ちょっと待て!お前ら!」

ここで、ポテチが話を止める。

……珍しいな。


「カラオケちゃんが何も言ってないのに話を進めるなよ!」


確かに…….。

カラオケちゃんも少し恥ずかしそうにしている。


「勝手に話をしてて、申し訳ない。協力をお願いします。」


「うん、わかった。どうしたらいいの?」


「まずはスピーカーの性能からだな。一台で遠くまで飛ばすには限界があるし、複数台って出せる?」


そんな質問をコーラがしている間、周りを見渡す。


スピーカーはカラオケ台の両サイドにある。


……一台で広い範囲をカバーするより、複数台を別々の方向に向けた方がいいってことだな。


「出そうと思えば出せるよ」


「なら、まず十台ほど出してみてくれ。どのくらい離して使えるのか、試してみよう。とりあえず音楽を流してほしい」


「……んっ?そんなに台数必要か?」


「小型スピーカーを離れた場所に置いて、そこからも音を流すんだよ。本体から直接届かない場所でも、そっちで放送できれば範囲を広げられるだろ?」


「2段階で音楽を流すのか?」


「10段階いけるんじゃないかと考えてる。ただまだわからないのが現状だな。」


コーラの思惑としては、本体から小型に伝達するのではなく、小型同士で伝達させて遠くまで飛ばせるようにしたいんだそうだ。


まずは200mごとにスピーカーをセット。

2kmまでは難なく届いたようだ。


次は300mごとにスピーカーを置いたが、ここでポテチが強く発言する。


「何ちまちまやってるんだよ!本来なら本体から届かない距離でも小型スピーカーを中継すれば、使えるかを確認するんだろ?」


えっ?とコーラは驚く。


「だったら最初から1台目をギリギリに置いて、そこから更に先も繋がるか確認したらいいだろ!」


「……そういえば、そうだな」


小声でそう言ったかと思えば、すぐさまコーラはペットボトルで数キロ先まで移動を開始した。

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