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俺だけが使えないアカシックレコード ~規格外のクラスメイトたちに命乞いして無人島を生き抜きます~  作者: クレハ コウヨウ


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39話 「砂糖を作る間に」

「よし、もうそろそろだな。」


直火にかけた鍋を覗き込み、コーラが状態を確認する。


「これで出来るのか?」


「いや、このまま直火だと技術も体力も使うからな。ここからは湯せんに切り替える。」


コーラは鍋を火から外すと、空いた場所にまだ使っていない熱湯の入ったアルミ鍋を置く。

その上に、サトウキビの液体が入った鍋を重ねた。


「さて、ここからが本番だぞ!」

とニヤリと笑う。


すると、湯せんに使っているアルミ鍋の周囲が、ペットボトルの膜で覆われていく。


さらに、鍋の周囲から九十度間隔で、煙突のような筒が四本立ち上がった。


シュコシュコシュコシュコ……。

水蒸気が筒を通り、上へ押し出される音が響き続ける。


音に気を取られていると、サトウキビ汁の入った鍋の上に、丸い板のような物体が置かれた。


よく見ると、それは二重構造になっている。


さらに、その外周にはポテチが作ったらしいヘラが数本取り付けられていた。


「なんかメリーゴーランドみたいだな。」


おそらく回るのだろうなと思っていると、

今まで上へ抜けていた水蒸気が、四本の筒から横向きに噴き出し始める。


カラカラカラ……。


吹き出し口の手前には小さな風車が取り付けられており、それが回る音がする。


「よし、取り付け準備は完了だ。後は水蒸気の風車を連動させるだけだ。」


コーラが何かを調整すると、風車の回転が丸い板へと伝わっていく。


鍋の中で、ヘラがゆっくりと回り始めた。

サトウキビ汁をかき混ぜるように、一定の速度でぐるぐると動いている。


「よし成功だな。これなら放っておいても混ぜ続けられるぞ。」


「なんだ驚かないのか?」


感心はすれど、当たり前のように見ている姿にポテチが声をかける。


「いや、凄いよ。でもさ、普通だなって。」


「自動だぞ!もっと驚けよ。」


「お前達なら、鍋を動かして、そっちが動くのかよ!って言わせるだろうなってさ。」


ポテチとコーラは顔を見合わせ、それがあったかと頭に手をあてる。


やるじゃないかといいながら、水蒸気の筒から棒が伸び、水面に沈む。


すると、メリーゴーランドは動きを止め、今度は鍋本体が回り始める。


「いつの間にか円の部分が装飾されてるし。」


銀の形だけの物だったのが、一部くり抜かれて美しい飾りになっていた。


「やっぱりメリーゴーランドはきらびやかに決めないとな。」


「ポテチらしいな。しかし、豪華なのに動くのは鍋って地味に笑えるな。」


「たしかに。」

といいながら、コーラは笑いを堪えているが、じわじわとツボに入っていそうだった。


「シュポシュポ言いながら回る鍋。」


そう言った瞬間、吹き出した。


「やめろよ!」


「笑いを堪えているから笑かせてやろうとかとね。」


シュポシュポシュポシュポ・・・。


「ふっ・・・、あーー駄目だ。頭から離れねえ。ちなみにこれは2時間続くからな。」


小刻みに肩を震わせながら、なんとか話を続ける。


「2時間か、長いな。」


「まあな。塩と違って蒸発だけで出来るわけじゃないからな。」


「それなら塩も作ろうぜ、まだお湯はあるから湯せんにかければちょうどいいだろ。」


「今の状態だと砂糖が多くなるからそうするか。ポテチ、海水を汲んで濾過してくれよ。」


手際よく先程サトウキビで使った道具で海水を通す。見た目は変わらないが、不純物は取り除かれているんだろう。


「これも回転させるのか?」


ポテチが海水の準備をしている間に、コーラは湯せんに使うだろうお湯の中に回転台を設置する。


「まあな。あった方が均等になりやすいし、見た目もいいだろ?」


「作製している感はでるな。」


「海水処理出来たぞ。」


早速海水を湯せんにかけ、集めた水蒸気で容器を回転させる。


なんでもかんでも回すな、と思っているとあることに気付く……。


「ヘラも回っている?」


鍋だけを動かさず、ヘラを逆回転にして同時に動かしていた。


「ああ、蒸発していくとトロミがかかって重くなるからな。同時に回したらちょうどいい。」


「そうなんだ。」


「動きが止まったら出来上がりだぞ。」

とポテチが答える。


「はははっ、まさか。」


2人を見ると冗談ではなさそうだった。


「マジか。」


「マジだ。」

「マジだぞ。」


聞けば、重みで回転が止まった時が、湯せん完了の合図だそうだ。


「よく出来ているんだな。」


「調整してるからな。」


しばらくの間は放置でいいと言うことで、拠点に戻ることにする。


歩いて行くと、前は見えていた場所についても拠点はわかりにくい。そのまま進むと竹の方が先に目にとまる。


「いいブラインドになってるな。でも小さく見えるな。」


「そんなの当たり前だろ?なんで竹があそこにあると思ってる?」


「まさか…」


「竹の近くまで増設します。」


「やけに竹から離れてるなと思っていたが、そう言うことだったか」


「でもポテチよ。ただ大きくしても仕方ないだろ。何か案はあるのか?」


「ない!だけどな……」


一気に目の前に門と言うかアーチがかかる。


高さは3メートルくらいだろうか。

さっきまで浴びていた太陽が、すっぽりと遮られている。

奥行きも4、5メートルほどあり、アーチというよりトンネルといった方がよさそうだ。

・・・まあいつものことだ。


ゆっくりとトンネルを抜ける。

その先には外壁に囲まれた広い空間が広がっていた。

その中央には、これまでの拠点が変わらずポツンと立っている。


「おう、お前も上までこいよ。」


ポテチから手招きされ、近くを見ると階段が設置されてある。結構な高さだ。


「一瞬でこんなのつくるなよ。」


そう言いながら登る。外壁の上部は完全に道で、要塞の一部ともとれる。


「どうだ2人とも。」


「秘密基地なのか、城でも作るのか……。」


「まあ、隠れ家ではないな。」


「と、言うよりさ。」


「なんだよ、遭難者。」


「竹がみえない。」


「完全防壁を目指しました。」


「いや、ちょっと待て。竹とか木とか、目隠しのために植えたんだよな?」


「そうだぞ。」


「じゃあ、なんでその内側に壁まで作ってるんだ?」


「安全性が上がるだろ?」


「……木も竹も意味ねえじゃん。」


「はっはっは。何を言ってるんだ。門の前は葉っぱで覆われてるから壁に気付かれないぞ。」


「実際見てみるか、それ。」


コーラのペットボトルに乗り、一旦入り口まで降りる。少し海側まで歩くと、確かに門がある様には感じない。


「な?意味あるだろ。」


「竹は観賞用だったのでは?」


「内側にも置けばいい話さ。」


あっさりしたものだと思いつつも、外から見ればカモフラージュは完璧。

防壁としても、これ以上ないほど立派なものになっていた。



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