38話 「巨大ロボは動かない(中年脳)」
「なあ、足ってこのまま使うのか?」
「せっかくだから、そのまま使おう。」
ダンボールロボの足が置いてある場所まで移動すると、ポテチとコーラで話し合いが始まる。
「どんな形にしようか? 遭難者、リクエストはあるか?」
「でかいのがいいな。足の部分で2、3メートルあるから、18から20メートル位かな。」
「形は?」
「模型を作ってみてくれよ。2人のセンスがみたい。」
「それなら」と、2人はダンボールでおのおの20センチほどのロボを作り出す。
「なんだ。」
というのが正直な感想だった。
「なんだとはなんだよ!」
とすぐさまポテチが反応する。
「いや、ボケて生身の人を作るかもなんて思ってしまってな。」
「まあ、ありえない話ではないが・・・。」
コーラもポテチを見ながら反応する。
「せっかく案を出したんだから、ちゃんとみろよ。」
「ああ、すまんすまん。」
「正直な感想を言うと、どちらもバランスが良い。関節にこだわりがありそうなのがコーラ。装甲に力を入れてるのがポテチって印象だ。」
2人とも、そうだろそうだろと頷く。
「ってことで混ぜたらどうだ?」
「まあ、ありだな。」
「それはいいけど、肝心の頭はどうするんだ。」
「もちろん俺の方だな。関節部分を担当してるって事はベースが俺ってことだからな。」
「はあっ?頭は譲らねーよ。装甲のバランスみたら俺の方だろ。」
「センスで言うなら俺だろ。」
「強さで言うなら俺の方だ!」
「バカだな、ポテチ。遭難者はセンスを見るって言ったろ?つまり俺なんだわ。」
「ぐぬぬ・・・。」
はい来たよ、いつものパターン。だから混ぜようと言ったのに。
「真剣にどちらの案を頭にするか争ってる?」
「当然だ。」
「当然だろ。」
「顔ってそう言うことだぞ。」
「コーラの言う通りだ。メインを司るのは頭だろ。」
「そうか、ならコーラの頭がいいんじゃないか?」
「なんでだよ!」
「ポテチの頭は強さの象徴だろ?」
「まあ、そうだな。だから俺の方がいいはずだ。」
「まあ、待て。モード切り替えなんてのはどうだ?本気モードの時に肩の装甲が開いて、そこから頭がせり上がってくる。どうだ?」
「いいかも。」
「おい、待て。それだと俺の頭が前座みたいじゃないか!」
「ほうほう、それはいい。前座はよろしく!コーラ君。」
「にやにやしやがって。」
「あくまでベースはコーラだしさ。浪漫的な要素を入れるってことで、いいだろ?」
「まあ、落とし所ではあるな。」
そう言いながらコーラは再度2人の案を合わせた模型を作り、お互いに確認しあう。
完成したロボの中央にあたる場所に腰を下ろし、2人の作業を見守ることにする。
「いやあ、悠然とそびえ立つロボか。楽しみだなぁ。」
ポテチは右側の足、コーラは左側の足から作り出していく。その間、一切模型には目を向けない。
「なあ、模型で確認しないのか?」
「頭に入ってるから必要ない。」
「そんなの今更だろ。」
確かに、足の関節など均等と言って良いほど精巧だ。
ほぼ相談などする気配などもなく、腰周りまで出来上がっている。
「なあ、遭難者。完成したら何をしたい?」
「そうだな。頭まで登って上から海を眺めるとかいいな。」
「じゃんけんとかしなくていいのか?」
「はははっ。なんじゃそりゃ。」
「な、なあコーラ。あいつロボット動かないと思ってねぇ?」
「みたいだな。」
「ロボットって動くもんじゃないのか?」
「普通はそうだろ。あいつだって頭の変形のことは言ってたんだけどな。」
「巨大な物は動かないって発想はおっさんだよな?」
「確かにロマンの感じ方も古くさい気もするな。」
「何を話してるんだ?」
「装甲を後付けするか相談してるんだ。まあ、完成までしばらく待ってろ。」
「ああ、わかった。」
「後で驚かすって方向でいいよな?ポテチ。」
「おお、そうしよう。だけどどう動かす?」
「関節部はバネ……いや、空気圧で動かすシリンダーがいいな。」
「足で移動までするのか?」
「いや。2、3歩歩くなら出来ない事はないが動力不足だ。だけど、片膝をつかせてローラー移動なら充分行ける。」
「あいつ、目をそむける位驚くぞ。」
「そうなるな。と言うことでお前が作った足の部分を変更させる。素材は同じの方が都合がいい。手伝ってくれ。」
「わかった。」
時々2人の声が聞こえてくる。真剣に話し合っている様だが、見た目はもうすでに出来上がっている。
「少し離れた所からでもでかいな。」
しかしながら、見本があるとはいえ重量があるのによく立たせる事が出来るな。
「こんな感じでどうだ?」
ロボの方角からコーラが声をかける。
「ああ、あっという間にできたな。」
「まだこれから色付け作業があるけどな。」
「どんな感じにするんだ?派手系かスタンダードなやつか。」
「実際に色を変えて考えようぜ!」
バサァッ・・・。
と割と雑に巨大なポテチ袋がロボ全体を覆う。
「雑だな。」
「いいんだよ、最初は大きめで。シークレット感がでるだろ。」
袋はシュルシュルと縮んで、ピッタリと貼り付けられ、見た目は何もないように見える。
「さて、まずはどうするか……虎柄だな。」
一瞬で本当に全身虎柄になる。
「見事だけど、格好悪い。」
「そうか?」
とポテチは不自然さにピンときていない様だ。
「色合いがいいから逆にバランスが悪く見えるな。」
とコーラも評価する。
「派手にするなら金色にしてみたら?」
「よし、見てろよ。」
即座に全身が金色に変わる。
ただ、ビカァーーッと光るかと思ったらそうでもなかった。
「……なんか、思ってたのと違うな。」
「拍子抜けする気はわかるよ。」
「なんだよ2人とも、だったらこれならどうだ!」
「うおっ、眩しい。」
ロボの額から激しくも眩い光が射す。
ビカビカと光ってはいるが、ピンポイントでこちらに反射をさせていた。
「おい、やめろよ。」
とコーラと2人で抗議する。
「はっはっはぁー。神々しかろう。」
「額がご立派過ぎる!」
「そこをツルツルさせんじゃねえ。」
位置が悪すぎと改めて抗議し、光はおさまった。
他にも色々と試してみたが、大体はポテチの悪ノリが入るので気にいる色合いにはならなかった。
結局はダンボール色でも、佇むだけなら問題ないという事になり、普段はこの色のままになった。
「なんだかんだと時間がたったな。そろそろサトウキビの汁も湯せんに切り替えないとな。」
ダンボールロボの額が気になりつつ、かまどへと戻ることになった。




