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俺だけが使えないアカシックレコード ~規格外のクラスメイトたちに命乞いして無人島を生き抜きます~  作者: クレハ コウヨウ


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33話 「空から始まる拠点整備」

「これから、どの位移動するんだ?」


拠点に目隠しをするための木を探しに、森に入った。


とはいえ、どこに何があるのか分からない。

どんな木を探しているのかも分からないので、とりあえず聞いてみることにした。


「ああ、二キロ先と十キロ先が候補だな」


「十キロ先のにしようぜ。移動は長い方がいい」


「???」


疑問が浮かんだ時には、すでに足元の景色が遠ざかっていた。


「?????」


気付けば、木々の遥か上。

周囲を見渡せば、森の木々がまるで緑色の絨毯のように広がっている。


さっきまで見上げていた木々が、今は自分の足元にある。


……本当に待って欲しい


思わず、足がすくんでしまう。

恐る恐る下を覗き込む。

拠点の方向も、森の向こう側も見渡せる。


きらきらとした海も当然見える。


「さて、どんな風に基地を囲むか」


「そうだな。基地からすぐ木があるから、少し平地が欲しいな。その間に背が高い木を数本」


「あそこに見えるでかい木は?」


「あれは目立ちすぎ!隠れる程度の木の方が良くないか?そこに住むなら話は変わるけど」


さも当たり前のように話し合っている。

どうやら二人にとっては、これくらいの高さは何でもないらしい。


「遭難者はどうだ?」


……いや、ちょっと待て。

こっちは今、空中にいるんだが。


「生態系を壊さないやつを頼む……」


空の景色にビビりながら口を開く。


「ふうん」と言いながら、コーラは両手を軽く上げる。

ポテチは、この景色を楽しまないなんてもったいない、と言わんばかりの顔を見せる。


「それならあのでかい木は無しだな。」


「竹なんてどうだ?両サイドに竹、正面は長い木で覆うってのは?」


とポテチが、アイデアを出す。


「竹か・・・。」


辺りを見回すと竹は見当たりそうにない。


ちらっとコーラに目を向けるとニヤリとされた気がした。


「あっちの方にあるぞ。ほれっ」


何かを手渡される。


「なんだこれ?」


手に取ってみると、両端に筒のようなものが付いた見覚えのある形状だった。


「お前、これ双眼鏡じゃないか! いつの間に……」


「いいから、まず見ろって」


話を遮るように、目の前へ差し出される。


「当たり前の様に出しやがって、感度もいいじゃないか……。」


「文句を言う割に興味シンシンじゃないか。」


ポテチの言葉は自分には届かず、竹を確認する。


「あれ?輝いている竹がある・・・。光の屈折か?」


「それは金明竹だな。まあ、突然変異みたいなもんだ。」


「これって増やせるのか?」


「数年かかるな。」


「光る竹か、いいじゃないか!」

ポテチが話し始める。


「近くにも何本かあるみたいだし、それを掘り出してさ。別の場所にも黒竹がある。」


そう言って、黒竹がある場所に双眼鏡をずらされる。


「黒いな。」


「そうだろ?これを一緒に植えてさ、遠くは目立たず、近くは映える。いい感じになると思うんだ。」


「混ぜたら、地下茎とか大丈夫なのか? お互い邪魔したりしない?」


「そこは大丈夫だな」

コーラが、あっさり答える。


「地下茎が干渉しても、それだけで駄目になるわけじゃない。多少競争はするだろうけど、同じ場所で育てられる」


「共倒れはない?」


「そういうことだ」



「よし、早速竹からやって行こう!」


ポテチが声を上げると、目線が更に高くなる。


「移動するならこれだな。」


コーラの声が聞こえた時には、風をいっぺんに受けていた。


……やっぱり滑るのか。

目を閉じ、無事に竹の所まで辿り着くのを待つ。


「風が気持ちいいなあ。」


「よし、もっとスピードを出そう!」


相変わらず楽しそうでなによりだが、巻き込まないで欲しい。


「……頼むから、安全運転で・・・うおっ!」


腹にくるスピード感が襲ってくる。

もう、声をだすのも悲しくなってきたよ。


「よし、ついたぞ。」


コーラの声を聞き、目を開けると竹林から少し上にいた。

コーラは乗っているペットボトルを器用に伸ばし、数本の金明竹を掘り出して、こちらに持ってくる。


「地下茎を悪くしないように、ちゃっちゃとやるぞ。」


聞こえる間もなく、また上空へ。

滑っては、黒竹に辿りつく。


「次はある程度持って行くが、ポテチ。どれくらいの規模で考えてる?」


「そうだな、拠点の両サイドに30mくらいにしたいな。横は最終的に4mから5m位にしたいから、2列分位かな?」


「わかった。地下茎は2、3年くらいのが良さそうだから、いくつかに分けて掘り出そう。」


まるでスライムの様にウネウネとペットボトルが動き出し、みるみる内に黒竹が掘り起こされ、移動して来る。


「ただただすごいな。」


感心した時にはすでに遥か上空にいる。


ザババババッと竹の葉が激しく音を立てる。


「竹も悲鳴をあげてるぞ!」

と抗議するも、2人は実に楽しそうだった。


……まあ、竹の葉が太陽を遮ってくれるから多少はマシか。


諦めている間には拠点についていた。

全くもってすごいことだ。


「ここから黒竹までどの位あった?」


「10キロ位だな。」


「そうか。」


もう驚く気にもなれず、思わず笑いが込み上げるのを我慢する。


「さて、植える前に、範囲を決めておかないとな。ポテチ、両サイドの開始場所、それからどこまで竹を置くかを決めてくれ。」


「はいよ。」

ポテチの袋を槍状にして、目立つ様に刺す。


「うん、だいぶ木を移動させなくてはな。」


コーラが言う様に、槍が刺さった場所はこちらでは見えにくい位に木で囲まれていた。


しかし、軽々と木々が持ち上げられ、一斉に移動されていく。


「あの辺りは枯れ木が多いから移動させるにはもってこいだな。」


コーラは満足そうだが、どういうことかわかるはずもない。


すぐさま、コーラはペットボトルを地面に刺すと、ポテチが指定した場所を囲む。

土を掘り起こし、木があった場所に埋める。


「ちょうどいい感じで埋まったな。」


確かに30m位の長さで、幅は5m位だった。


「なんで、周りを深く掘っているんだ?」


「竹はな、地下茎が深くなりすぎると横に伸びにくくなる。だから、これ以上群生しないための仕切りにしてるのさ。」


そういうと、今度はペットボトルを穴に入れ、10センチ位地面から見える様に囲む様に置いた。


続いて、黒竹と金明竹を置いて行く。

ポテチがこう置きたい、などとセンスを発揮しながら、コーラがそれに従い置いて行く。


「ここは金明竹を一本入れよう!」

「そこだけ?」

「その方が目立つだろ?」

「なるほどな。」


楽しそうな会話を聞きながら、竹がそよそよと揺れる姿を眺める。


……まあ、一旦落ち着こう。


第二陣も何か起こるだろうから、

今の内に、心の準備くらいはしておこう。


……たぶん無理だけど。

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