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俺だけが使えないアカシックレコード ~規格外のクラスメイトたちに命乞いして無人島を生き抜きます~  作者: クレハ コウヨウ


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20話 「無意識の危険」

コーラは蛸の内臓取りを終え、海水で砂取り作業を始める。


「あともう少しで終わりそうだな。」


石へ蛸を押し付けながらポテチに話しかける。


ぐにゅ。

むきゅ。

ぬるっ。


「……これ、ゴリゴリじゃないよな。」


「何がだ?」


「ぬめり取りってもっとゴリゴリした感じかと思ってた。」


「俺も袋をはめて、初めて感触がないって意味が分かった。」


確かに音が感触となって、

“ムキュムキュ”と感じるだけだ。


「ゴリゴリした感触が欲しいなら、袋外そうか?」


「いや、それはやめてくれ。」


「なんだよそれ。」


……まあ、ゴリゴリってことでいいか。


「よし、こんなもんで大丈夫だぞ。」


とポテチから合図が出る。


「終わったか。」


「あっ、そうだ遭難者。包丁に使えそうな石も持って来たぞ。試してみるか?」


自分の手を見せてこう答える。


「手がこんな風に汚れまくってるのにか?石も汚れるだろ。」


「それは大丈夫。」


手袋に触れると瞬時に袋が消える。手は汚れておらず、汚れも新たについていなかった。


「すげぇ。」


「これで石に触れられるだろ。」


「あ……ああ、ありがとう。」


毎回のごとく便利さを感じていると、石を渡される。


「こっちの手で掴める部分を取手にするんだ。」


渡された石はそこそこの重さがあり、持ち手が1番太い状態の物だった。


だが・・・。


切れそうな部分が見当たらない。石の長さも、掴んだ手から2センチ程しか石は見えない。


「持たせてもらってなんだが、ナイフの形をしてないし、鷲掴みの取手以外何もなさそうだけど?」


「向きが違う。」


石を下向きにする様に促される。確かに先端の方が細くなっている様だ。


「なるほど、押して切る感じか?」


「そうそう、それでな。先端部分を振動の糸で整えたいんだけど、いいか?」


「わかった。お願いするよ。」


ポテチはよし来たと言わんばかりに、糸状の袋を出す。出したダンボールに片方を巻きつけ、もう片方は自分で持つ。


「よし、それじゃあ、やるぞ!」


石の先端部分の両面をなぞるように何度か往復させて削る。


先端部分は明らかに鋭利になっている。


「蛸を切る時に使わせてもらうよ。ありがとう。」


「いいんだよ。道具がないと不便だろ?」


「包丁の様な物が欲しかったから助かる。

でもその振動糸、普段使いは絶対するなよ。」


「なんで駄目なんだ?」


「危険だから。だけど受け取っている意味が違うのかもな。」


「なんだそれ?」


「いいか!普段使いするってことは危険と思うことが少なくなるってことだ。わかるな?」


「うん。」


「慣れると、“危ない”って感覚が薄れるんだ。そうなると周りへの注意も雑になる。」


「でもさ。」


「納得しにくいと思うよ。俺もポテチと同じ立場なら納得出来ない。」


「うん。」


「でもな、もし事故が起きた時に治療なんてできやしないんだ。だから、使うべきではないんだよ。」


「うん。」


「あと今は、“振動を出してる”って意識してるだろ?」


「うん。」


「それが無意識になった時が怖い。」


「無意識?」


「お前が無意識で出来る様になったら、出す物全部が危険物になる。制御出来てないことを意味するからだ。」


「うん。」


「代用出来るものは出来るだけ代用しよう。安全面がどうにかならない限りは使って欲しくないんだ。」


「わかった。」


「糸で最強はマジでやばい。だから封印。」


「うん。」


本当は危険であることを充分に理解しながら使えばいいのだが、ポテチやコーラも使っている間に忘れそうだから、駄目なんだよな・・・。


「これも、意識は無意識に沈むってやつか。」


「なんだ、それ?」


「いや、なんでもない。コーラの所に行こう。また手袋出してくれ。」


再び手袋を装着して、海に向かう。


「さっき、ポテチと何を話してたんだ?」


「ああ、包丁の代わりをくれてね。後でペットボトルでカバーを作ってくれよ。」


「いいぜ。どんなのだ?」


「これなんだが。」


「はいっ、これでどうだ?」


石包丁に触れると、持ち手と同じ幅の箱で包まれる。


持ち手の少し上にはフックまで付いていて、外れないのに簡単に抜き差し出来る形になっていた。


「一瞬で作れるのかよ。」


「ああ。なんか慣れてきた。」


「刃の部分が鋭利すぎてな。助かるよ。」


と、礼を言う。

……もう、驚いても仕方ないと思っておこう。


「今持って来た蛸で終わりだ。俺もやるから砂がなくなったら教えてくれ。」


3人で最後の砂取りをする。


「火の所に戻るか。」


「かなりの量があるな。」


見渡せば、蛸、数種類の魚、ポテチがとってきた貝?がある。


「処理の順番はどうなる?鉄板を温める以外でさ。」


「ああ、順番としては魚の処理だな。蛸と魚は燻製にするけど、適した煙になるまで少しかかる。」


「塩は?」


「ああ。」


そういうと、事前にペットボトルで準備していた海水を見る。


「今は半分位の出来だな。これもこの状態で移動させよう。まあ、完全に塩にするのは、食べる準備が出来てからでもいいだろう。」


話をしながら歩く内に火がある所に着く。


ポテチの袋を広げ、その上に海水を入れたペットボトルの仕掛けを置く。


「次は鉄板だな。コーラ、土台になるアルミをくれ。」


ポテチは、細かくしたダンボールを地面へ敷き、その周囲をアルミ缶の台で囲っていく。


その上へ石鉄板を乗せ、

最後に火種をダンボールへ近づけた。


「小枝とダンボールを出したから大丈夫だろ。」

ポテチが見事な手際を見せる。


「なら、俺も。」


コーラは中身が入ったアルミ缶を出し、火にかけ、蛸を手にとる。


「――っと、その前に作業台を出すか。ポテチと一緒に鱗を取ってくれ。」


ペットボトルを変形させ、高さのある平らな作業台を作る。


さらに別のペットボトルを櫛のような形へ変え、表面をギザギザにした。


「これで鱗を取れよ。」



……とても使いやすそうな櫛だな。


「ポテチは魚を締めてくれ。遭難者は鱗な。」


「わかった。」


2人の返事を聞きながら、コーラは火にかけたアルミ缶を見る。


「まだ沸騰しないな。」


火の周囲はアルミの膜で囲われていて、熱が逃げにくくなっていた。


「コーラでも飲むか。ほい。」


遭難者にペットボトルを渡す。


「なあ、これなんだけど。」


「どうした?」


「どんな種類が出せるんだ?」


「普通のとかゼロカロリーだな。」


「形や味、温度は?」


「商品として出てるなら大体いけそうだな。ペットボトル、缶……瓶もいける。味も出てるフレーバーなら多分。」


「つまり、極限まで冷えたコーラも?」


「ああ、商品としてあるな。」


そう言うと、コーラは即座に新しいボトルを出した。


「早いよ!」


「どんなクレームだよ。」


蓋を開ける。

白い冷気がふわりと溢れた。


「おお……。」


再び蓋を閉め、逆さにすると、中のコーラがゆっくり凍り始める。


「これ、一般販売されてるんだよな……。」


変なところで感心してしまう。


「よし、飲んでみるか。」


口に含んだ瞬間、強烈な爽快感が喉を駆け抜けた。


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