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俺だけが使えないアカシックレコード ~規格外のクラスメイトたちに命乞いして無人島を生き抜きます~  作者: クレハ コウヨウ


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18話「リアルにお前はもう切られている」

「なんで二人だけで盛り上がってるんだよ。」


ポテチが文句を言いながら戻ってくる。


「あれ?随分大きいじゃないか。」


「だろ?」

コーラが得意げに笑う。


「どうだ?ルアーの使い心地は。」


「釣れた感があった。」

ポテチもニヤリと笑った。


「さて、早速締めよう。」


そう言った瞬間、

二人の反応が止まる。


「あれ?」


「いや、いきなり締めようって言うからさ。」


「ちょっとびっくりした。」


「食べるんだろ?」


「食べるけど。」


ポテチが首を傾げる。


「なんで遭難者はそんなに冷静なんだよ。」


「締めるのは俺じゃないからな。」


「……。」


「やり方にもコツがあるだろ? 二人は分かるだろうけど、俺は分からん。」


「教えるから、お前がやれよ。」


「それがいいな。」


コーラはペットボトルを細く伸ばし、

ピックのような形に変える。


「目と目の間を刺して、ぐりぐりだ。」


ポテチも頷く。


……ぐりぐり・・・ね。


ここで嫌がってもは仕方がない。


「失敗したらごめん。」


そう言いながら、

言われた場所へそっと先端を当てた。


上手く刺せたと思っていると、


すかさずコーラが


「そこだ動かせ!」


と指示をするので、ぐりぐりと動かす。


すると、みるみる内に身体が白くなる。


「成功したな。」


「面白そう。」


一気に興味が湧いたポテチが、ピックを持ちたそうにするので、渡す。


「よし、やるぞ!」


そう言うと、あっという間にポテチが釣った蛸の身体が白くなる。


もう1匹も締めようとするポテチに、


「俺もやるから!貸せ。」


とピックを奪い、コーラも蛸を締める。


「いや、奪い合う位なら最初からやれよ。」


「見てたら楽しそうで……。」


「だな。」


結局やりたがるんじゃないか。


「まあ、いいや。これからこの蛸、3匹はどう処理すればいいんだ?」


「3杯な!」


「杯?」


「生きてる時は匹、食べる時は杯なんだぞ。もう締めてるから杯だ。」


「それって昔からの知識?」


「いや、今知った。」


心の中に潜む羨ましさを気にせず、続けて聞く。


「この後の下準備ってすることはある?」


「ぬめりは取った方がいいけど、すぐに作業しなくていいぞ。ただ、締めだけは必要。」


「だから、これで正解だな。」


「そうか。なら次は鉄板だな。」


「鉄板?」


ポテチはすでに岩場に何をしに来ているか忘れている様だった。


「石の鉄板でバーベキューだろ?」


ポテチは思い出したように、その辺りの石へ手を伸ばす。


「待て待て!それ、ちゃんと熱で割れない石なんだよな!?」


「気にしてない。」


「気にしろ!」


「悪い悪い。」


今度は辺りを見回しながら石を探し始めた。


「キョロキョロしなくても探せるだろうに……。」


ぼそりと呟く。


「なんか言ったかー?」


しっかり聞こえていた。


「なんでもない!」


そして今度はコーラを見る。


「お前は何してるんだ?」


「ちょっと蛸釣らせてくれ!」


「ポテチを野放しにしたら何十個も石を切るぞ!」


「すまん、見といてくれ!」


二人とも自由すぎる。


仕方なく靴を脱ぎ、岩場に腰をおとす。


海水に浸した足がひんやりと気持ちいい。


少しくらい休ませてほしい。


「おい、ポテチ!切るのは三つまでだからな!」


「やべっ!」


反射的に返事をした後、


「……まだ切ってないぞ!」


と抗議が飛んでくる。


信用がないぞ。「まだ」なだけだろ?


「そうか?石の大きさだけど」


「なんだ?」


「本音を言えば1m以上の物がいい。熱で割れないことが条件だ!」


「わかった。厚みは?」


「割れない、熱しやすいの2つを意識してくれ。」


「はいよ。」


「頼んだ!おい、コーラ!やりすぎるなよ!」


「悪い、悪い。」


さっきから悪いかすまんしか聞かんな。


コーラの声が聞こえた場所に目線を配る。


「そういえば、ぬめり取りってどれくらいかかるんだ?」


「俺たちなら五分。」


「お前なら十分。」


「へえ。」


みるからに、嫌な予感がした。


「ちなみにコーラ。」


「なんだ?」


「お前、今何匹釣った?」


「五杯。」


「最初の三杯と合わせて八杯か。」


「九杯だぞ。」


「増えてる!」


「今釣って、締めた。」


「手慣れすぎだ!」


嫌な予感が強くなる。


「一応聞くけど、その九杯全部でぬめり取りは十分で終わるんだよな?」


「いや。」

コーラは首を振った。


「一杯あたり。」


「今すぐやめろ!」


「え?」


「今のペースで釣り続けたら、日が暮れる!」


「ほらっ、ポテチが切る石を見つけたみたいだ!見に行くぞ。」


まだ釣ろうとするコーラを引き摺り出し、ポテチの所へ向かう。


「……随分大きいな。」


ポテチが選んだ石は、自分達も焼けることが出来そうな程の大きなものだった。


「これを4回切って、鉄板にするぞ!」


「その前に1人じゃ切れないだろ?」


と、冷静に突っ込む。


「あっ、そうか・・・。コーラ手伝ってくれ。」


「いいのか?1人で切りたいんじゃないか?」


「大きな鉄板で焼く方が大事。」


「わかった、ならやろう。」


紐状にした袋の端をポテチに渡し、目を合わせて、石に紐を当てる。


当たった時点で切れることが見てとれる。


やはりすごい威力だ。


「せーの!」


と声を合わせて一気に切る。


足と腕の動きに紐は遅れることなく付いてくる。


「よし、後は3往復だ!」


「1.5往復な?」


とコーラが突っ込み、折り返しの合図をする。


「せーの!」


二人の動きはぴたりと揃い、一往復。


さらに折り返してもう半往復。


それだけで作業は終わった。


とは言っても、見た目は切る前と変わらない。


恐ろしい程の切れ味と精度だ。


感心と怖さを合わせたなんとも言えない感覚を受けている間に2人は見事な連携を見せたのだった。


「よし。」


と言いながら、ポテチは上部の石を蹴る。


音もなく、上の石だけが横へ滑った。


「嘘だろ?」


下の石は微動だにしない。


切れている。完璧に。


上の石は自重でゆっくりと傾き、


ずしーん。

大きな音を立てて地面へ落ちた。


断面が顕になり、磨いたように滑らかだった。


「こんなもんでどうだ?」


「凄いってもんじゃない。これはあるべきレベルではない。」


「まあ、俺のコーラブレードを含めて封印が妥当だな。」


「やっぱり封印しなきゃ駄目か?」


「いいか?リアルにお前はすでに切られている!が出来るんだぞ!あってはならない!」


「これは流石に諦めろ、ポテチ。俺もコイツは使わない。」


「危険な物は表に出さないが鉄則なんだ。わかってくれ。」


なんとか説得して、ポテチが封印に応じた。


「石鉄板を回収して、魚も回収しよう。」


そう言うとコーラはペットボトルを変形させ、石鉄板を軽々と積み込んだ。


台車のような形に変え、帰り道にある魚の罠へ向かい始めた。



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