15話 「とりあえずアルミはすごいということで」
歯磨きに適した木を探す前に作戦を練る。
「この島で歯磨きが出来る方法って何がある?」
「基本は木の枝を使うな。」
「かなり効果が高いのもある。ミスワクとかニーム。ヤナギの木も悪くない。」
「結構あるんだな。どの位の距離にあるんだ?」
「効果が高い木は10キロ以上先だな。」
「10キロぉっ!」
ポテチが露骨に顔をしかめる。
「絶対いかないぞ!」
「大丈夫今日は行かない。それで、ミスワクとかニームはこの島にあるのか?」
「両方全く別の距離になるが、あるにはある。」
「近い所だと?どんなのがある?」
「ヤナギなんていいぞ。割と近くにあるし、皮を少し剥いて馴染ませれば使える。後は木炭を歯磨き粉にしたりな。海水を濃くしたやつもいい。」
「結局火はいるな。」
「ほらっ、やっぱり火だろ!」
「どうせ放っておいても、気付いたら火を起こしてるだろ。だから、歯磨き用の枝だけは手に入れるぞ。」
「そう言われればそうだな。ポテチ、諦めろ。」
「歯磨き用の枝だけだからな!」
「大丈夫、歩いてる間に枯れた木があれば回収するだけだから。」
「何に使うんだ?」
「枯れた木の有効利用で調べてみたらどうだ?」
「薪や、炭にできるな。」
とコーラが言う。
「燃やしやすいってことだな!いくつ探せばいいんだ?」
「一本あれば充分だけど、持っていけるなら三本あるといいな。」
「ヤナギに向かう途中に、ちょうどいい枯れ木があるぞ!さっさと回収しようぜ。」
再度ポテチがやる気を出し、歩き始める。
目的の枯れ木は太く、なかなかの量が取れそうだった。
「かなり立派だな。」
「ああ、早速掘り出すか。」
そう言うと、コーラは慣れた手つきでペットボトルを使い、枯れ木を掘り起こす。
続いてペットボトルとダンボールで作った台車をだす。
「俺が押すぞ!」
とポテチが台車の持ち手を掴む。
森の中でも台車は問題なく使えていた。
便利すぎると思っていると、ヤナギの木に着いた。
「さて、何本か折って海岸に行こう。すまないが、2人とも良さそうなのを見繕ってくれないか?」
二人はヤナギの木の周囲を確認すると、手際よく枝を折っていく。
「十本位でいいか?」
「すぐに使い物になるわけではないなら、それで大丈夫。」
「わかった。」
あっという間に歯ブラシにする枝は手に入った。
本来天然の素材を見つけるのは困難なのに、「水」「枯れ木」「歯磨き」がこんなに簡単に確保できるとはな。
「本当は身体を洗う石鹸も欲しいけど。」
そう呟いた瞬間、
ポテチは台車を押して全力疾走を始めた。
「はやっ。」
残った2人で顔を見合わせ笑ってしまった。
「おい、待てよ!」
と声をかけ、コーラも走る。
とりあえず懸念材料の一つが解決した。これからのことを考えれば、調理道具も欲しいな。
そう思いながら、2人を追って走った。
海岸に着くと、2人はすでにダンボールを出し、
ちぎった部分をほぐしていた。
「当然の様にダンボールが黒いな」
「おう、火がつきやすくなるからな。すぐに煙を出してみせるぞ!さあ、ポテチ出してくれ。」
「分かった。」
ポテチが未開封の袋を取り出し、袋を広げる。
中身を外に出し、ダンボールを袋の上に置き、ポテチを砕いてまぶす。
「よし、いい感じだ。」
そう言うとコーラは丸いペットボトルを太陽にかざし、ほぐしたダンボールにあてる。
「本当にすぐに煙が出るな。」
しばらくすると火が出てきた。
枯れ木の一部を上に乗せ、ポテチを更に乗せる。
「よし、火がついたぞ。これは何に使う?」
「うーん、そうだな。枯れ木があるし、炭にするのは時間がかかるだろ?」
「一日はかかるな。」
「バーベキューは?」
「魚が今、回収出来そうなら先でもいいぞ。」
「うーん。」
とポテチが唸り、がっかりとした様子を見せた。
「先に炭だな。炭ってどうやって作れる?」
「穴を50センチ位掘って、ポテチと火種、小枝、その上に材料の木材を敷き詰めて、ダンボールと砂で被せて少し穴を残す感じだな。」
「なら、この枯れ木って。」
「一度に全部は無理だな。」
「そうか・・・。だったら木の太い部分は折るのも時間がかかるだろうし、枝を折って炭にしよう。」
枝に乗り、体重をかけて折る。それからおのおの膝を使って長さを調整する。
「よし、早速やって行くぞ。」
とポテチがやる気を出す。遭難者が掘った穴に、砕いたポテチとほぐしたダンボール、火種を入れる。
後は先程コーラが説明した手順で作業する。
作業が終わってしばらくすると隙間からのみ、煙が出ていることを確認できた。どうやら順調の様だ。
「煙が青くなったらいいみたいだな。タイミングは任せろ。」
「待ってる間はどうする?」
「次は包丁とか切れる道具が欲しいな。後は塩。」
「塩か・・・。
燃えない道具がないから作れそうにないな。」
コーラと2人で悩んでいるとポテチが不思議そうにいう。
「アルミ缶じゃ駄目なのか?」
ーーアルミ缶のコーラの存在忘れてた。
「アルミ缶か。中身が入ってるなら、すぐには燃えたり、駄目にはならないか。」
そういうと、コーラはアルミ缶を出してみる。大きさも難なく変えれる様だ。
「あれ・・・?」
大きさを変えた時にあることに気づく。
「アルミでナイフ作れるんじゃないか?」
ペットボトルやダンボールで難しいと思っていたが、まさかそんな材料があるとは盲点だった。
早速コーラはアルミ缶をナイフの形へと変形させる。
「試しにあの太い幹に打ち込んでみようぜ!」
そう言って、ポテチがコーラからナイフを受け取り刺してみる。
「流石にずぶりとはいかないな。ただ、負けてないから使えるな。」
とコーラも納得の表情だった。
「これはかなり危険だから、毎回ナイフは消去した方が良さそうだな。ところで・・・。」
興味本意で聞いてみる。
「それって高速振動って出来る?威力が上がるって聞いたことがある。」
「やってみるか、ポテチナイフ返してくれ?」
コーラは念ずる様にナイフに集中する。
「出来たかな?」
コーラがそう言うと、
ポテチは「どれどれ」と手を伸ばした。
「触れるな!」
と、2人で強い口調で止める。
「あぶないから。なあ、コーラ、この枯れ木の太い部分を切ってくれよ。」
「わかった。」
コーラが振動するナイフを枯れ木へ当てる。
抵抗らしい抵抗もなく、豆腐を切るように刃が沈んでいった。
「すげぇ……。」
「ただ、刃が短いな。」
「いや、長さ変えろよ!」
とポテチが言うと、再度変形して試す。
見事な断面を見せて切れた。
次は1mほどの太い部分を縦にし、試してもらう。
すると、十センチほど切り進めたところで――
バリバリッ!
豪快な音と共に、太い幹が真っ二つに裂けた。
「これはやばすぎる!」
3人で顔を見合わせ、封印することを決めた。




