命の輪
今回は少し暗めの話になります。
嫌いな方はごめんなさい。
あれ? 体が動かない。
あ…そっか、また壊しちゃったんだ。
痛くないけど、苦しい。
どうしよう、全部なくなっちゃう。
『いいかい。君たちは新しい自分を手に入れたんだ。けどそれば、いつか壊れてしまう』
『えー、俺たちを作ったんなら完璧にしろよ』
『そうだそうだ』
『ははは。天才の俺様でも限界はある。故にお前達にもある。いいかい。この器が限界に来たときは…』
「究極魔法……○○○○○」
体がミシミシ鳴ってる。私の体から何かが出てくる。
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ルコから岩が消えていく。いや、腹部についているチャックが空いているその中へ、飲み込まれている。
「うそ、あの子なに考えているの」
ローラが慌てて、俺たちをその場から遠ざけた。
「いきなり、どうしたんだよ」
「ごめんなさい。でも、あそこは今危険な状態なの。さっき受けた攻撃が、私たちの大事な生命線である宝石を傷つけた」
「それが、危険とどう関係あるんだ」
「私たちにはそれぞれ死の淵に陥ったときに使える、とっておきがあるのよ」
周辺の土がパカッと割れた腹部から伸びる手によって、その中へ運んでいく。
「そのは特殊でね。私たちが受けた死の恐怖を体現して起こるの。あの子は…戦闘妖精になる前は、身体を家族に食べられていたの」
「その名もカニバリズム」
伸びた黒い手がモンスターを掴み飲み込む。それでもまだ足りず、その手はこちらにも牙をむく。
「あわわわ、逃げるわよ!って高橋くんなに立ち止まってんの」
「ルコは…ルコはもともと戦闘妖精という種族じゃなかったのか」
「そんなことは今はいいでしょ。早く逃げないと私たちが食べられちゃうのよ」
「ルコは」
ルコは本当は何者だったんだ?
手が俺の頭を掴み、裂け目の口へ持っていく。
あぁ、こんな俺でもルコの役に立てるなら、こんな力のない主人がお前を救う事ができるなら。
この体をあげてもいいよ。
俺はそのままルコの体内へ沈んでいった。
奥へ落ちていく間、ルコの記憶が伝わってくる。
俺と会う前の、戦場に駆り出される様子。仲間とのお喋り。研究所の中。
その先は、
『ママ…私の腕』
『生きる為なの仕方ないのよ』
『パパ…私の脚』
『お前だって家族を失うのは悲しいだろ。』
『お兄ちゃん、痛い痛い』
『うるさい。お前の目なら買うって言われたんだよ』
『私の身体を返してよ』
そっか君は、本当は普通の女の子だったんだね。
俺と変わらない人間だったんだね。なのに、大事なモノを家族に取られちゃって。
『もう怖がる事も、失う事もないよ。天才である俺様が君に新しい体をあげよう』
人間を辞めちゃったんだね。




