ダンジョンに備えて
電車とバスを乗り継ぎ、目的地まで作戦を練る。
「東堂さんはレベルいくつですか? 俺は39になりました」
「探索者になって1ヶ月経ってないのに驚異的なスピードでね。私は21よ」
「俺よりも低いとは…仲田さんぐらいの7、80あると思っていました」
「ああ、脳筋と鑑定士を同じ括りにしないで。現場は向こう、私はお役所仕事ってね」
ダンジョンに行くとしてもプライベートか、未発見ダンジョンの付き添いだと言う。鑑定士としては優秀だけど、ダンジョン攻略には興味ないのだそうだ。
「でも、ルコちゃんを初めて見た瞬間は人生で1番興奮したわ」
そうですか。東堂さんのレベルがそれほど低いのは予想外だった。やっぱり無理して妙立寺カラクリダンジョンをリベンジするべきじゃなかったと後悔してきた。
「私のレベルを気にしているなら大丈夫よ。私にはカメレッグのテントがあるもの。そこから敵を鑑定してみせるわ」
隠蔽効果のある優れたテント。それなら、レベルの心配はない。
「ルコちゃんの打撃が効かない原因を突き止めてみせるわ」
「頼りにしています」
持つべきものは優れたアイテムだ。それに、俺は新しい防具を身につけている。前回ぼろぼろになってしまった装備を見て、東堂さんが上に掛け合い新装備を提供してくれた。
【火吹き竜の胸当て】
名前だけで凄い防具なのがわかる。こんな貴重な装備を頂いてもいいのですかと言うと、
「いいのいいの。ランク5に対応できる装備か被験t……調査も兼ねているからね」
いや、言い直しても。あからさまにお前ちょうど実験台になるじゃんって聞こえるから。
「それなら遠慮なく使わせていただきます」
聞くと、今様々な企業が装備開発を行っているそうだ。大手だと車メーカーや携帯会社。中小企業は町工場まで幅広い。
「素材は頑張れば現地で仕入れる事が出来るから、人件費と製造コストを見ても充分利益が見込まれるの」
まさにダンジョンによる特殊需要。今まで売上にあまり変化がなかった企業は飛びつくだろう。なにせ、素材は人件費がかかるもののモノはタダだ。装備類は需要が尽きない。儲かる市場だ。
「では、この装備もどこかの企業の試作品ですか? 」
「これは国営の研究チームが制作したものだ。よければ、国営の探索者専門店におろすことになるね」
それはまた凄いものだな。
「攻略に繋がる成果をあげましょう」
だが、この時は想像もしていなかった、恐怖が俺たちを待ち構えていた。
「不思議なドキドキ」
ルコはその何かに気づいていたのかもしれない。




