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孤独なダンジョン攻略  作者: 主食がお菓子
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眠るルコ

ダンジョンに入る前に最終確認を行った。俺の装備は防具なしのTシャツにジーパン。武器はナイフ1本。どう見てもダンジョンに挑む格好ではない。


対する東堂さんはワンピース姿に金属製の胸当て。モンスターの素材らしきマント。武器はステッキだ。


「へぇー、魔法使えるんですか。後衛は任せますね」


「ううん、これ殴打ステッキ」


「え? 」

「え? 」


「知らないのー? ランク4黒部ダンジョンに出るユグラン素材で出来た、ユグランの杖。強度、硬度共にミスリルに匹敵する生きた鉱石と言われているのよ。まぁ、火には弱く魔力反発も酷くて魔法には使えないけど」


ルコの事を散々グロだスプラッタ狂などと騒いでいたけど、自分も充分素質がある気がしますけど。


「ま、それは置いといて。ダンジョンに入ったら、まずはルコちゃんの安全を確保しましょう」


「それはそうですけど、何か案があるんですか? 」


「ふふふ、お姉さんこんなモノ持ってるのだよ」


腰にあるポーチ、多分マジックパックだと思う。その中から布と鉄の棒を取り出す。


「これはカメレッグっていう、隠蔽が得意なモンスターの素材で出来ている布なの。これで隠せば、ルコちゃんの気配はダンジョンに紛れるわ」


また凄いモノを持ち出したな。


「日本トップの鑑定士を舐めないでくれる」


ステッキでズッコケだが、これは頼りになるアイテムだ。安心してラビットを狩ることができる。


「では、ラビット狩りといきましょう」


ズンズンと東堂さんが先頭をきる。



「はーい、ラビットさん。ご飯になってね」

「よし、倒した」


それぞれ左右にわかれ、ラビットを狩りルコの元へ持っていく。ドロップ化する前に、探索者専門店で購入したミキサーにかけミンチ肉にしていく。丸々1匹を入れたため、皮から骨までグチャグチャだ。


悪臭が酷いので、何重にもマスクをつける。東堂さんに至ってはガスマスクで、完全に匂いを遮断している。この強烈な匂いで、目を覚ましてくれないだろかと願ったが、無理だった。


ミンチになったラビットを使い捨ての皿に盛り、ルコを抱き起こし胸の宝石に近づける。


「こうすれば、吸収されるはずだ」


「微かだけど、何かがミンチ肉から溢れているわ」


ゆっくりと何かが、胸のターコイズに引き寄せられたいく。その量が増していく。消えたと思ったら、ミンチ肉が皿ごとなくなり代わりに載せていたラビット3匹分の魔核があった。


「エネルギー吸収はうまくいったのよね? 」


「大丈夫だと思います。ただ、量が足りていない」


いつもルコが吸収する量にはまだ達していない。目を覚ますにはもっとエネルギーが必要なんだろう。すぐさまラビット狩りを再開し、どんどんミンチ肉にして、吸収させていく。何度も繰り返すが、ルコの身体は吸収はすれど変化はない。


「いったいどれだけの量がいるの」


「最近はビックラビットを大量に吸収してましたから……」


それにはドン引きされたが、致し方ない。なにせルコは獲物を自分で狩る。手がかからない為、自由にしていた。そのツケが今回ってきた気がする。


その後は、東堂さんがラビットを狩り、俺がそれをどんどんミンチ肉にしてルコに吸収させる流れ作業になった。


10匹、20匹……数を数えるのが面倒になった頃、ルコの身体が少し動いた。


「東堂さん! 」


慌てて大声で叫ぶと、その声に反応したのか遂にルコの目が開かれた。


「腹6分目」


やっと聞けたルコの言葉に呆れたが、よかった。目を覚ましてくれた。思わず抱きしめると、硬いターコイズが当たった。


「主人、ここは……あああ」


俺の顔に腕を回し、何かから庇う体制をとる。


「主人、守る」


あの時を思い出したのだろう。ここは違うダンジョンだ。あの時の敵はいない。それなのに、ルコは離れようとしない。


「ルコちゃん、もう安心していいのよ」


戻ってきた東堂さんもなだめるが、ルコは頑として譲らない。それだけ、俺を守れなかった事は深くルコの中に残っているのだろう。


「粉砕失敗だけでなく主人を守れなかった。戦闘妖精失格」


「気にするな。俺は傷も治って元気だ。それに、ルコに守られるだけじゃなく、俺がルコを守りたいんだ。俺の我儘だから、ルコは気にしなくていい」


「あるじ」


宝石の様な雫がポタポタ落ちてくる。ジュエリードールはモンスターかもしれない。でも、こうして俺の為に涙を流してくれる。もう、家族なんだ。またルコが傷つくことがないよう、俺はもっと強くならなくちゃいけない。


「東堂さん」


「なに? 」


「俺と一緒に妙立寺ダンジョンに来てくれないか」


「何を考えているの?! 」


「あのモンスターの正体をはっきりさせたいんだ」


ルコの剛拳が効かなかったそのカラクリを暴くため、トップクラスの鑑定士である東堂さんに同行してもらえるよう説得した。



「日向、強くなるために無茶をするのは本末転倒よ。ルコちゃんだって、まだ万全じゃないのよ」


意識を取り戻したルコの手足は、東堂さんのポーションですぐに回復させた。損傷も目立たなくなり、モンスターと人間とでは効能に違いがあるのかと不思議に思った。


「ママ、問題ない」


「ほら、ルコも行く気満々だろ。大丈夫、今度はすぐに逃げられる様に無茶な事はしないし、させないよ」


「私もお供しますので、心配でしょうが待ってあげてください」


東堂さんも俺の意見に賛成してくれた。また、政府に掛け合い探索チームの仲田さんと牧野さんを派遣してくれた。


「そこまで言われるなら仕方ないわね」


母さんも折れ、二度目の妙立寺カラクリダンジョンへ向かった。



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