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孤独なダンジョン攻略  作者: 主食がお菓子
12/31

初ボス戦

北浅井ダンジョン、ダンジョンボス。

部屋に足を踏み入れると、背後の扉がゆっくり閉まる。閉ざされた空間をランプに似た光源草が照らす。


「おお、これまた大所帯だな」


ラビット、キラーバット、ブギーピックと1、3、4階層のモンスターが勢揃いだ。ビックラビットの姿はないがそれは……


「コケーーー」


奥の王座に座るコマンダーコッコがこのダンジョン内で唯一扱えないモンスターだからだ。


コマンダーコッコ。通称、コッコ隊長。自分より低レベルのモンスターを従え、戦場で指揮を行う。ユニークな特徴はトリ頭な為、自分は一切動かないというお茶目な所だ。


「コッコッコッ (怒) 」


モンスターを従う頭脳を持ち合わせているので、相手の表情を読み取れる厄介なモンスターだ。トリ頭とか思ったから、怒ってしまった。


正面からブギーピック2匹がツノアタックをかましてきた。左に避けた先で待ち構えていたラビットのタックルを横腹に受けた。が、それほど痛くないので、耳を掴み首を落とした。


ルコを見ると、上空のキラーバットを次々と潰していき、肉片の雨を降らせていた。


「コッ」


戦力を大幅に削ぎ落とされ、コマンダーコッコが硬直する。メンタルの弱いのか失神しているようにも見える。


ブギーピックの上に跨り、脳天にナイフを降ろす。頭蓋骨の感触が伝わり、一気に引き抜くと血飛沫を上げ絶命した。もう1匹はルコの両手で叩き潰され、残るは動けないコマンダーコッコのみとなった。


「あっけなかったな」


気絶したコマンダーコッコにトドメを刺し、ボス戦は呆気なく終わった。


剥ぎ取りを行い、持ち帰れそうなモノを選んでいく。コマンダーコッコは肉とたまにドロップされる卵が狙い目だ。羽は真っ白で綺麗だが、装飾としてはそこまで需要がないので捨てる。


最後にドロップを回収し、中央に目を向ける。


「主人、宝箱」


ボス戦はモンスターの素材以外に、もう一つアイテムを獲得出来る。それが、宝箱の出現だ。中身はボスシリーズの防具など、ランダムで1個手に入る。


震える手で、宝箱に手を置く。


どうかコッコシリーズじゃありませんように。コッコシリーズじゃありませんように。


ボスシリーズの中で一番のハズレがコマンダーコッコの素材を使ったコッコシリーズである。


無駄に白い、純白の羽毛装備だからだ。夏場は特に暑苦しく、近畿へ行けば宝塚と指をさされる。強度もクソで、ダンジョン産なのに剣道防具より弱い。


なので、それ以外のアイテムをお願いします。


何回も祈ってから、宝箱を開ける。眩しい光に手を入れ、中身を持ち上げる。


「コッコの頭」


知ってる。触った感触ですぐに気づいたよ。


散々祈ったのに、引き当てたのはコッコシリーズの頭装備、【コッコの頭】だった。


………買取行きだな。


中身を出すと宝箱は消え、代わりに魔法陣が浮かんだ。これは最下層から地上へ戻るテレポーターだ。上に乗り、帰還を念じると発動し、地上へ帰れるとダンジョン名鑑に載っていた。


ルコにジャージのポケットへ入ってもらい、帰還を念じて無事ダンジョンの前へ戻ってこれた。


「お帰りなさい。無事ダンジョンクリアできましたか? 」


買取センターへ行くと、西野さんが出迎えてくれた。ツアー終了後ここで俺の帰りを待っててくれていたんだって。


「お疲れー。モンスターってなかなか大人しくしてくれないのね」


橋場も椅子に腰掛け、ブスーとした顔で愚痴ってきた。よく見れば、左頬が腫れていてタオルを当てている。


「ラビットを見て、ウサギみたいとツーショットを撮ろうとしたんですよ。慌ててやめさせようとしたけど……間に合いませんでした」


インスタ用にツーショット写真を撮ろうと捕まえたが暴れられ、左頬に蹴りを喰らったと。馬鹿じやねぇ。


「あのさー。ラビットは小さいし最弱だけど、立派なモンスターだよ。腫れただけで済んだみたいだけど、一歩間違えれば、頬骨骨折してたかもしれないんだぞ」


「わかってるわよ。私も馬鹿な事したなーって反省してるとこ」


はぁー。こいつこんな調子で探索者務まるのかなー。呆れるが、反省しているみたいだしこれ以上は口出ししないでおこう。


「ところで、宝箱の中身なんでしたか? 」


「やっぱりそこ気になります? 」


「もちろんですよ。ボス部屋に挑む理由の一つですよ。ランダムでアイテムが手に入るから、夢があります」


その夢を壊すようで気が引けるが、ススーっと白いアイツを差し出した。


「コッコの頭」


流石に知っていたか。目が点になり、口角がつり上がっている。ボスシリーズは当たる確率がアイテムより低い。なので、シリーズを揃えるのに一日中周回するのは当たり前だと聞く。その低確率を見事引き当て、役に立たない防具をゲットしてしまった。


西野さんも流石にフォローの言葉がすぐに出なかったようだ。


素材を買取に出し、コッコの肉だけを買い戻した。


「よかったら、食べてください」


西野さんとついでに橋場に渡した。


「うれしい。今晩の夕飯が豪華になります」


「え、私ももらっていいの」


「西野さんは東堂さんの件でお礼したかったので、受け取ってください。橋場はツアーお疲れ様ということでやる」


2人とも喜んでくれてよかったよかった。ちなみにコッコの頭だが、橋場が可愛いと食いついたので押し付けた。ネタ装備なんて、買取額も微々たるモノだし、欲しい人がいるならあげる。


頭に被り自撮りしている。インスタにあげると、上機嫌で言った。マジか、俺なら恥ずかしくてやらないわ。


インスタ中毒者はそっち方面のメンタルが強いんだな。と少し尊敬してしまった。


家に持ち帰った肉は、その日の内に唐揚げになり食卓に上がった。マヨネーズを絡めめちゃくちゃ美味かった。溢れる脂が美味い!


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