第七十二話 登録
「取り敢えず、今日はギルドに登録するだけですからね。」
「分かった。」
昨日作ったクレープをもしゃもしゃと食べながら、私達は今日の行動を計画していた。今日の朝に。
「ギルド登録って言っても、名前と種族とか職業を登録すればいいんだろ?」
「まあ、大体そんな感じだな。後この世界の文字表記はカタカナだから。最初は読みにくいけどなれればそうでもないぜ。」
「全部カタカナとかウケるんですけど。どんな設定だよ。」
「さあ、でも読めないよりりも遥かにましだとは思いますよ。」
これで言葉も通じない。文字も分からないという状況になったら、確実にいじめのような展開が待ち受けていたでしょうからね。
「でも本当に討伐とか行かないわけ?」
不満そうに少女が問いかける。そこで私はあることに気が付いた。
「ところであなたの名前はなんて言うんですか?」
「え?まだ言って無かったけ?」
「そう言えば俺も聞いた覚えねえな。」
今更だけど目の前の少女の前を聞く事すら忘れていた。
「美月っていうんだ。改めてよろしく。」
「よろしく美月。」
笑顔で自分な名前を名乗る美月はその名の通りとてもきれいだった。今更だけどよくよく観察してみると美月はとてもかわいい子なのでは?茶色の髪と目にスラリとした細い体。
「そう言えば美月は何歳ですか?」
「十五だけど?」
まあ、妥当な年齢かな?私やアクアさんは合計年齢がね?
「そう言うあんたたちは一体いくつなんだよ?」
「えーと、二十八です。」
「二百四十ちょい。」
「はあ!?」
私とアクアさんを交互に見て、声にならない驚きの声を発している。まあ、実年齢と見た目の年齢がこうもずれていれば誰もが疑問に思いますよね。
「さて、そろそろギルドに行きましょうか。」
「そうだな。」
「え、ちょっと!年齢の説明とかは無し!?」
年齢について話をすると、きりがないのは予測済みですからね。後ろで、納得がいかないとばかりに騒いでいる美月をスルーして、私とアクアさんはギルドに向かった。
「依頼に行く時にチームを組むじゃないですか?」
「ああ、大体のところは固定してチームを組みますけど、そのクエストの時だけとかにチームを組む人もいます。」
「それってどういうこと?」
「簡単に言うと、その場だけ組むのとずっと組むという二つの組方があるんだよ。前者の方は初心者が仲間を探すためにか、後は個人主義者の奴が条件を満たすために適当な奴と組むか、逆に後者は、此奴と組みたいって言う組み合わせが集まって、時間とか指定して一緒に出掛けるって感じだ。」
「へー、そんなのがあるんだ。」
美月は納得したかのように頷いた。そしてマスターのところで、登録を済ませると妙にキラキラと輝いた瞳である質問をしてきた。
「ところでさ、武器とか防具ってどこで買うの?」
「え?」
「あ?」
そう言えば今更ですけど、私もアクアさんも武器とか防具って装備したことないんじゃないですか?




