第七十三話 装備品
「信じられない!普通何処の世界でも、装備品の確認位はするでしょ!?」
本当にそうだと思った。色々大変なことがあったとはいえ、武器も防具も無い。普通の人が見ていれば頭のおかしい奴にしか見えなかっただろう。
「基本的に魔族は素手で戦うからな。俺もすっかり忘れてた。」
私はと言えば、料理と魔法の術式に集中していてすっかり忘れていて、眼中にすらありませんでした。
「兎に角!武器と防具探しに行くわよ!」
「でもお金なんてもってきてませんよ?」
「俺も手持ちは今んとこ少ないな。」
続けられた私たちの言葉に美月が、その場に崩れ落ちた。
「じゃあ何、これからお金が貯まるまでの間、私は素手でモンスターに挑まなくちゃいけないの?」
泣きそうな声で、ボソリと呟いた。まあ、この世界には素手で倒せるクッソ弱いモンスターがちゃんといますから、私でも蹴っ飛ばしただけで倒せるモンスターもいるんだし、元気出した方が良いですよ?とはあえて言わなかった。
流石に道端で泣き崩れていられると目立ってしょうがないので、私とアクアさんは美月を城にまで連れて帰った。
「まあ、そこまで武器にこだわるのなら、そこらで木材でも調達して手作りでもします?」
「やる。」
「やるの!?」
私が適当に考えた提案に美月が頷き、アクアさんがそんな美月に対して驚きの声をあげていましたとさ。
「じゃあ行くぜ!」
そう言ってアクアさんが手に氷の魔法で剣を作り、木を切り落とした。
「「おお!」」
見事な切れ味に、私と美月が揃って感嘆の声を漏らした。パチパチと拍手を送っていると、落ちた気をいくつか拾い、集めていた。
「ところで何の武器を作るんですか?」
「ん、と色々かな?」
何やら真剣に考えている様子だったので、私とアクアさんは目を見合わせ邪魔をしない方が良いと判断して、美月に鋸とか、使えそうな道具を渡してから部屋に戻った。
そわそわと心配そうな表情を見せるアクアさんに私は声をかけた。
「そんなに心配なら、何か差し入れでも持って行ってあげますか?」
「そうするか。」
私の提案にアクアさんは笑顔でうなずいた。
「何が良いですかね?」
「やっぱり手軽に食えるものとか?」
「サンドイッチにでもしますか?」
「そうだな。」
最初に出会た時にパンを渡されたし、おそらくパンが好きなのだろうと、思い。私は手軽に食べられる一口サイズのサンドイッチを作ることに決めました。
最初に食パンにマーガリンを薄く塗って、切った食材を挟む、完成です。サンドイッチの何が良いかって、作る方も食べる方も簡単でいいですよね。
完成したサンドイッチをアクアさんと満足そうに眺めて、私たちは美月のところに持って行った。そっと部屋を開けると、真剣な表情で色々木を削ったり、折ったり切ったりしていた。私とアクアさんは、そっと部屋の中の机にサンドイッチを置くと、そのまま部屋を出ていった。
「集中してましたね。」
「そうだな。」
のんびりとした会話をしながら、どんな武器ができるのかな。と少し楽しみにしている自分がいました。




