第六十八話 迷子
「ここ、どこなのかな?」
「森の中だとは、分かるんですけどね。」
突然ですが。私とベルタと言うこの妖精さんは一緒に迷子になっていました。何故こんなことになったかというと、あれは昨日の事でした。
イフリートの討伐に成功して、城に帰って休憩した後今の私なら一人でも討伐に行けるんじゃないだろうかと考えて、アクアさん達に討伐に行ってきます。と置手紙を残した後、私は一人でギルドに行って依頼を受けてそして、森で迷子になっていました。
そんな時、ベルタちゃんと出会いました。手のひらサイズのちっちゃな妖精さん。黄緑色の短い髪と目に半透明の二枚の羽。ある意味一目惚れに近いです。だって妖精ですよ!?女の子が誰もが一度は憧れるファンタジーの生き物。私だって小さいときには妖精さんに会いたい、なーんてかわいい事思ってましたよ。
皮肉なことに、そんなことを考えてた時と今は同じ姿ですけどね。小さい自分の手のひらを眺めてため息をつく。
「取り敢えず歩きますか?」
「うん。」
ベルタもこの森に来たのは、初めてだと言っていました。いつも取れる木の実が見つからなくてちょっと遠出をしたらこの有り様でした。との事らしいです。
しばらくトコトコ歩いていくと、何やら悲鳴やら、固い金属音が響いてきた。私はベルタと目を合わせると、その金属音のする方向に近づいていった。
草むらの中から覗く様に観察すると、ピンク色の髪に金色の目のセリアと同じく金色の髪と金色の目をしたクラウスと鉄製の鎧と盾と槍を装備した赤茶髪の髪に茶色の目のベランジェ、金色王族がゴブリンと戦っていた。
ゴブリンが巣穴からウジャウジャと出てきていた。ゴブリンが次ぎ次ぎに出てきても、戦闘から離脱するどころか、わざと挑発するかのような戦い方をしているところを見ると、おそらくこの辺りに住むゴブリンの一掃が目的なんだろう。
私とベルタがじっと見ていると、その視線に気が付いたのか、セリアが私を見てニッコリと余裕そうな優雅な笑みを浮かべた。視線が重なり私は思わず、視線をゴブリンにずらした。
「あの距離で、気付かれるなんて吃驚です。」
目があったことにより、バクバクと心臓が早く脈打っていた。何だかホラー体験でもした気分だった。軽く数十メートルは離れているだろうこの距離で気付かれるなんて、セリアがどれだけ気配に鋭いか何となく、窺えた。
「さあ、クラウス!ベランジェ!止めと参りましょう!」
セリアがそう声をかけると、クラウスとベランジェが洞窟内に押し込むように、それぞれの武器で周りのゴブリンを攻撃した。無理やりに押し込めると、後ろからセリアが火の魔法を洞窟内に放った。
「ぐぎゃああああああ!」
複数のゴブリンの叫び声が響き、洞窟内からは真っ黒な煙と、肉の焼けた匂いが漂っていた。
私とベルタがその光景に眉を顰めていると、セリアが大声で私の名前を呼んだ。
「ツツジ!お久しぶりですわね!元気でしたか?」
いつの間にか私の近くにまで迫っていた、セリアの姿に私は驚いた。さっきの光景を見ていたベルタが怯えて私にくっ付いていた。セリアはベルタの姿を見ると、感激の声を上げた。
「あら!珍しいわね。妖精ですわ。」
セリアはそう言うとベルタを覗きこんだ。
「ひうっ!?」
「セリアさんベルタが怯えてるので、」
あまり近づかないでください。と言おうとすると、後ろからクラウスさんが距離をとる様に、セリアさんを引き離した。
「クラウス!?いきなり何するんですの!?」
セリアが抗議の声を上げるものの、クラウスは微笑んだまま無言でベランジェにセリアを渡した。ベランジェさんは手慣れた様子でセリアさんを持ち上げていた。
「すまない。セリアは可愛い物を見つけると、いつもああなるから。」
やれやれだとでも言いたげに、クラウスは苦笑いした。そして私たちに手を振ると、抗議の声を上げ続けるセリアさんを連れて、帰って行った。
「ハッ!」
「如何したの?」
いきなりあげた私の声にベルタが驚いていた。
「クラウスさんに帰り道聞いておけばよかった。」
そして後悔の声を私は漏らした。
「あ!」
続く様にベルタも気が付いたとばかりに声を上げた。




