計画を立てる時の時間の使い方
さて…そうと決まれば話は速い。僕は早速裕二にこんな質問をした。だって…家族以外の異性と旅行なんてした事が無いのだから。
「んでさ…まず何処へ行くべきだろうか?こういう事…初めてだからさ。」
そう言うと…裕二は僕のつま先から頭まで眺めてから一言こんな事を言った。その言葉に僕は「え?まずはそこからなのか?」と耳を疑ったが…。
「うーん…まず廻?お前さん…とっておきの一張羅って…まさか…その服だけか?」
僕は小首を傾げる事しか出来なくて…半分脳内に疑問符を浮かべ本当の事を言う。
「ん?これだけだが?どうかしたか?」
その言葉の後僕らを襲うのは無言だけ…そうして一分経つか経たないか辺りで裕二は僕の肩をトントンと叩き…こんな事を言ってきた。
「ふーん…なるほどねぇ…廻…お前は馬鹿かぁ?あのな…普通…女の子と出かける時ってのは幼馴染でもお洒落するもんだぜ?なんでいつもその緑のジャケットなんだよ…いや…そのジャケットでも問題無い…ただお洒落はしろってんだっ!」
僕はその言葉に無言を貫く事しか出来なかった。そもそも僕はファッションなんて物を考えたことも無かったし…異性と出かけるなんて夢のまた夢だと思っていたから…余計何も言えない。
「さては…廻…おめぇ…「ファッション」ってのに無頓着だったりするのかぁ?」
と…図星をつかれる始末だ。いつもだったら「お前もそれだけしか持ってないだろ?」と言い返しているところだが…事実だし…服なんてそんな気にして無かったのを自覚してしまっているので…ぐうの音も出なかった。
「……ファッションに無頓着で悪かったな…」
と…不機嫌になりながらも…そう言葉を零した。そんな僕に裕二はこんな一言を発し…ウィンクして僕の方へ振り向いた。
「まぁまぁ…だったら取っておきの場所に連れてってやるよ。」
その時の顔は何か企んでいるような顔付きで…僕は何を企んで居るのか分からなかった。
そんな会話を終えて…僕は裕二の運転する車に揺られ…着いた場所は大きなショッピングモールだった。最近買い物という買い物をこうした、大きな商業施設でしていなかったので…物珍しような顔をしていたのだろう。横にいる裕二からこんな言葉が聞こえた。
「そんなに……珍しいのか?」
と…こんな言葉が聞こえた後僕は裕二にこう答えを返していた。
「おいおい…まさかじゃねぇが…あんまり………いや…社会人になってからこういう所全く行ってない…とかじゃねぇだろあなっ!?」
僕はその言葉に苦笑いを浮かべながらその質問の答えを返す。あれ?なんだろう…何故かこの時…裕二には申し訳ないと思ってしまった。
「……ああ。すまない。社会人になってからどころか…琴葉や祐介としか行った無くてね……ははっ…。」
そんな僕の言葉の後裕二は数秒黙った後にっこりと、笑みを見せた後こんな言葉を口にする。
「ほほぉ…そいつぁ楽しみだぜ……。」
そう言いにやけながら僕の前に行く裕二を見てると…最後に裕二と琴葉の二人とショッピングモールへ行った時のことを思い出す。その時の事は今でも…頭の片隅にずっと…ずっーと…残っているのだ。
あれは高校二年生の時だった。一人自室で過ごしていると…祐介からこんな誘いが僕の元へ来ていた。
「廻〜一緒にショッピングモール行こうぜ?」
こう外出に誘ってくる時僕は、常にある事が予想に入っていた。
「ショッピングモール行こうぜ…って…あのな祐介?お前琴葉も一緒だろ?だったらデートなんだし…俺が居るのおかしいし…あと俺はお前らカップルの用心棒じゃないんだぞ?」
と…いつものように「二人の邪魔をしちゃ悪い」と遠回しに祐介に伝えた瞬間祐介からこんな言葉が飛んでくる。
「昼飯奢るからぁぁーっ!だからさ?頼むよ…。」
その言葉を聞いたら僕の答えはもう決まっていた。僕は立ち上がった後祐介にこんな言葉をかけ身支度を始めていた。
「乗った。ほら何をしている?行くぞ。」
いきなり手の平を返す僕に多少困惑しながらも祐介は、僕のそんな言葉に返事を返していた。
「えっ!?お…おお!来てくれるか!?ありがてぇ!」
そうして僕もショッピングモールへ行くことになったのだった。
そんな思い出を思い出し…僕は裕二に見えないようにして微笑んでこんな事を呟いていた。
「…ほんと…楽しい時も悲しい時も…唐突に来るんだな。少しは計画立てる時間をくれよ…全く。」
そう言い僕はモールの中へ裕二と入って行く…あの時と…高校二年生の時とは違う何とも言えない感情と感覚を心に抱いて…。
「さーてと!…んじゃ早速服屋行こうぜ?善は急げって言うだろ?」
裕二のその言葉と共に真っ直ぐ服屋に向かう。懐かしい感覚が蘇ると共に…僕は今変わろうとしてるんだと実感する。だって…いつも思っている君の為に今まさに…僕は時間を使っているのだから。




