朝から奏でるギターの音
目が覚めると小鳥が囀りを奏で…一日の始まりを街に教えていた。どうやら私は昨日の夕方から朝まで寝ていたらしい。私はボーッとする頭を抱えベッドから這いずり出て…一階のリビングへ向かう事にする。そうして部屋を出て…階段を下りダイニングに着くと、母が忙しそうに朝の支度を済ませていた。
「ふわぁ〜…おはよう…お母さん。」
欠伸をしながらの私のその言葉を聞き母は朝の支度を済ませながらこんな事を言ってきた。
「琴おはよう〜…あっ!アンタ今日は学校休みなさいよ!昨日あんだけ熱高かったんだから!」
私は母のその言葉に苦笑いを浮かべながら…なぁなぁと言えるような適当な返事をする。
「あ〜…うん。分かったよ。」
そうして私が朝食を取ろうした時に…母は仕事へ行く為に家を出た。玄関から微かに聞こえた ガチャ… という音と遠ざかって行く母の独り言を耳にした後私は何処か抜けた様な声でこう言葉を絞り出していた。
「行ってらっしゃい…。」
母が仕事へ行った直後…私は洗い物を済ませ一人でこの急に出来た休日を過ごす事にしたのだが…。
「……暇だなぁ…」
とその言葉しか出てこなかった。何故なら本来ならこの時間は大学へ行き…講義を受け…友達と喋りながら帰る…という流れのはずだった。だが…昨日風邪で休んだ身で親が心配し念の為休みをとる事になったのだ。そりゃその言葉が出できても可笑しくない。
「…今日…バンドの練習何時からかなぁ…?」
この時私は「昨日廻に練習あるか聞けば良かった。」と思ってしまう程暇を持て余していた。仕方ないからまた寝ようとしたその時…廻の家からアンプに繋がれたエレキギターの音が聞き覚えのある音色を奏でる。それだけでは無い…少しだが遅いタイミングでドラムがギターの音に着いてきている事にも気が付いた。
「え?まさか今…絶賛練習中?」
そう言い私は自室に戻り…エレキベースをケースに入れ廻の家に向かう。そうして…廻の家に着いた私はインターホンを鳴らしていた。もし今練習をしているならば…私も参加したい。そう思いながら…廻が出るのを待った。ガチャという音と共に玄関のドアが開かれ…廻が顔を覗かせる。そうして私を見るなり溜め息の様な息をつきこんな言葉を口から吐き出していた。
「…おう……大学はどうした?」
そんな素っ気ない声に私は笑顔を浮かべ答えを返す。私のその答えを聞いた後の廻の笑みは…何処か悪戯を考えている子供のような顔だった。
「うーん…休んだ。だって昨日のこともあるし…でも!練習はやるよ!うん!そのためにエレキベース持ってきたんだから!」
廻は私を家の中に入れ…私を見るなり一つ言葉を吐き出していた。
「悪い子だな…お前ってやつはさ…。」
そうして廻の家に上がり…二階の練習部屋に入るとメンバー全員集合という朝にはあまり見ない光景が広がっていた。昨日私が風邪をひいたせいで無くなったのもあるから…少し申し訳ない。
「あ…えと…おはよう。」
苦笑いを浮かべながら挨拶をする私に皆が返したのはとびっきりの笑顔と挨拶だった。どうやら昨日の事は誰にも伝わってないようだ。
「今日で全体的に通し練習をして…もしかしたらあるライブでミスの無いのうに練習しよう。あー後…琴葉!ちょいとこの後話したい事が有るからバルコニーに来てくれ。」
今日の練習内容を告げると廻は、私だけバルコニーに集合をかけた。なにか個人的な話なのだろうか?そう考えながら顎に人差し指を添える。すると横から裕二さんがまるで私を焦らせるかのようにこんな言葉を言ってきた。
「琴葉ちゃんだけ呼ぶ…はっ!もしかして…愛の告白だったり!?」
それに動揺し…頬を赤くさせる私を見て廻は慌てながらも裕二さんが言ったその言葉を否定する。
「なっ!?ば…ちげぇよ!そんな恋愛じみたもんでもねぇよ!その…あの…琴葉だけに言っておく事があるだけなんだよっ!」
そう言い廻は私の腕を掴み…バルコニーへ向かう。そこで私はなんのことを廻と話すのだろう…それだけしか頭に浮かんでこなかった。
バルコニーに到着し…ドアを閉め廻は柵に肘をつき…その時裕二さんの一言が原因なのか…頭を抱えていたのは気にしないでおく。と…廻は落ち着いた後私に本題を持ちかけてきた。
「…バルコニーにお前だけ呼んで話したい事なんだが…その…琴葉?お前もボーカルを担当しないか?」
その言葉に私は驚きを隠せない。だって私の担当はベース…しかもボーカルなんて音痴だから夢のまた夢みたいなものだ。
「え?でも…私音痴だよ?それでも良いの?」
そう聞き返しその判断で良いのか廻に遠回しに問いただす。しかし廻の答えは変わっていないようで…私にボーカルをやるか…やらないか…それを再び聞いた後こんな事を言ってきた。私はその言葉に驚くしか出来なかった。
「…もう一度聞くぞ?ボーカルやるか…やらないか…どっちだ?お前がこっそりTHE YELLOW MONKEYの曲のためにボイトレしている事を知っているうえでこの提案をしてる事を頭に入れて欲しい。」




