表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
53/76

第53話「無意識の侵略」

 同棲、数日目。



「……ラーナ」


「なに」


「寝相、悪くない?」



 朝。


 ベッドの上。


 ラーナは、普通に起き上がる。



「……普通」


「いや普通じゃない」



 レオが即答する。



「昨日、蹴られたんだけど」


「蹴ってない」


「蹴ってた」


「覚えてない」


「だろうな」



 一拍。



「あと普通に横断してくる」


「……は?」


「最初あっちだったのに」


「起きたらこっちいる」


「……そんなに動かない」


「動いてる」



 完全に平行線。



「……証拠あるの」



 ラーナが言う。


 レオが無言でスマホを出す。



「え」



 動画。


 暗い画面。


 ベッド。


 最初。


 ラーナはちゃんと端にいる。





 数分後。


 じわじわ。


 近づく。


 さらに。


 普通にレオの上に乗りかかる。



「……は?」



 ラーナの声が止まる。


 動画の中の自分。


 完全に無意識。


 そのまま。


 腕を回す。


 抱きつく。


 止まる。



「……」



 再生が止まる。



「……ね?」



 レオが言う。



「……知らない」



 即答。



「いや今見たでしょ」


「知らない」



 顔が、少しだけ赤い。



(……無意識でこれ?)



 レオが思う。



「……やばくない?」


「やばくない」


「普通に抱きついてたけど」


「……それは」



 一瞬、詰まる。



「……仕方ない」


「仕方なくない」



 一拍。



「……じゃあ離せばいい」



 ラーナが言う。



「無理」



 即答。



「なんで」



 レオが少しだけ笑う。



「起こすのめんどい」


「……起こして」


「やだ」


「なんで」



 一瞬。



「……かわいいから」



 ラーナの思考が止まる。



「……は?」


「無意識でこっちくるの」



 さらっと言う。



「反応できないし」


「避けないし」


「そのまま来るし」



 一歩近づく。



「正直、やばい」


「……何が」


「我慢的に」



 一瞬。


 空気が止まる。



「……じゃあ」



 ラーナが言う。



「別で寝る」


「それはやだ」



 即答。



「なんで」



 レオが、少しだけ距離を詰める。



「来るから」


「……」


「無意識でも」



 一拍。



「俺のとこ来るし」



 ラーナの視線が逸れる。



「……それは」



 言い訳が出ない。



「……知らない」



 小さく言う。



「知ってる」



 被せる。



「……昨日も」


「一昨日も」


「その前も」



 一歩。


 さらに近い。



「毎回来てる」



 ラーナの耳が赤くなる。



「……やめて」


「何が」


「言わないで」


「事実」



 逃がさない。





 その日の夜。


 ベッド。


 ラーナは、明らかに距離を取って寝る。



(……来ない)



 レオが思う。



(……意識してる)



 少しだけ、面白い。


 でも。



(……ちょっと寂しい)



 一瞬。


 手を伸ばす。


 止める。



(……いや)


(これは待つやつ)



 そのまま、目を閉じる。





 数時間後。


 静かな部屋。


 ふと。


 布団が、少し動く。


 気配。


 近づく。



(……来た)



 レオは目を開けない。


 そのまま。


 ラーナの腕が、触れる。


 少しだけ。


 探るみたいに。


 そして。


 服を、掴む。



(……やっぱり)



 そのまま。


 距離が詰まる。


 ぴったり。


 完全に。


 無意識。


 レオが、小さく息を吐く。



(……無理だろこれ)



 手を、少しだけ動かす。


 ラーナの背中に触れる。


 逃げない。


 むしろ。


 さらに近づく。



(……終わり)



 そのまま。


 軽く、抱き寄せる。


 反応、なし。


 完全に、寝てる。


 レオが、少しだけ笑う。



「……ほんと無理」



 小さく呟く。


 でも。


 そのまま、離さなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ