第49話「その先の、その先」
共用試験。
合格発表の日。
画面。
学籍番号。
一瞬で、見つかる。
ラーナ。
レオ。
どっちも、ある。
静かに、息を吐く。
周りはざわついてる。
喜ぶ声。
安堵。
でも。
2人は、特に騒がない。
⸻
少し離れた場所。
「……どうだった」
レオ。
「……余裕」
ラーナ。
「だよな」
「俺も」
それだけ。
それで、十分。
少し歩く。
並んで。
いつも通り。
でも。
どこか、一区切りついた空気。
⸻
「……で」
レオが言う。
「……どうする」
ラーナが、少しだけ目を細める。
「……何が」
「……前に言った話」
一拍。
「2人とも無事パスしたらってやつ」
ラーナが、少しだけ視線を逸らす。
ほんの一瞬だけ、考える。
でも。
答えは、決まってる。
「……いいよ」
短い。
でも、はっきり。
レオの動きが、少しだけ止まる。
「……ほんとに?」
「うん」
「ちゃんと考えた?」
「……うん」
ラーナは、視線を逸らさない。
いつも通り。
でも。
ほんの少しだけ、真面目。
レオが、少しだけ息を吐く。
それから。
一歩、距離を詰める。
「……そういう意味で考えてるよ?俺」
低く。
確認するみたいに。
一瞬。
ラーナの呼吸が、わずかに止まる。
意味は、分かる。
分かってる。
“同棲”の先。
でも。
逃げない。
「……うん」
それだけ。
でも。
十分すぎる答え。
数秒。
沈黙。
レオが、ふっと笑う。
「……軽く言うなよ」
「……レオが聞いた」
「まあそうだけど」
でも。
口元が、完全に緩んでる。
ラーナは、それを見る。
「……なに」
「いや」
「……嬉しい」
素直すぎる。
ラーナが、少しだけ黙る。
それから。
ほんの少しだけ、視線を逸らして。
「……私も」
小さく。
そのまま。
歩き出す。
距離は、変わらない。
でも。
意味が、少し変わる。
これまでと同じ。
でも。
これからは、少し違う。
ただ一緒にいる、じゃなくて。
“これからも一緒にいる”を選んだ。
その違いは。
小さいようで。
決定的だった。
⸻
ラーナの手が、少しだけ揺れる。
一瞬。
レオが、その手を取る。
自然に。
当たり前みたいに。
ラーナは、何も言わない。
でも。
そのまま、離さなかった。




