第42話「覚えてないの禁止」
ラーナの家。
飲み会帰り。
そのまま送ってきた帰り際。
ラーナが、レオの服を掴む。
「……レオ」
「なに」
「私、ちゃんと守ってたでしょ」
「……うん」
「……ご褒美は?」
(……ダメだろ)
レオの中で、ブレーキがかかる。
「……ラーナ」
「なに」
距離、近いまま。
目。
少しだけ、とろい。
(……これ)
(覚えてないやつだ)
前のことを思い出す。
朝。
曖昧な反応。
(……無理)
ゆっくり。
距離を離す。
「……今日はダメ」
「……なんで」
不満そう。
「それ以上やると」
「絶対後悔するから」
「しない」
即答。
「する」
即返す。
「しない」
「する」
少しだけ、間。
「……覚えてないだろ、明日」
一瞬。
ラーナが止まる。
「……覚えてる」
小さい。
でも、弱い。
(……嘘)
「……無理」
レオがため息をつく。
そのまま。
軽く額に触れる。
「今日はここまで」
「……やだ」
即。
服、掴まれる。
「……帰らないで」
(……終わり)
レオが天井を見る。
「……それは反則」
「……なんで」
「帰れなくなるから」
「……じゃあいい」
即答。
(……ほんと無理)
数秒。
悩んで。
でも。
結論は一つ。
「……泊まるだけ」
「……ん」
満足そうに、少しだけ力が抜ける。
(……かわいいのやめろ)
⸻
夜。
部屋。
ラーナはベッド。
レオは、その横。
距離。
近い。
普通に、近い。
(……無理だろ)
ラーナの服。
部屋着。
キャミソールに、ショートパンツ。
(……見れない)
でも。
視界に入る。
細い腕。
近い距離。
(……寝れるわけない)
「……レオ」
隣。
小さい声。
「なに」
「……こっち来て」
(……やめろ)
「……行かない」
「なんで」
「無理だから」
「……なにが」
一拍。
「理性」
「……なにそれ」
少しだけ笑う気配。
そのまま。
ラーナが近づく。
腕に、触れる。
(……終わり)
「……ラーナ」
「なに」
距離、ゼロ。
完全に寄ってきてる。
(……ほんとやめろ)
「……明日」
「覚えとけよ」
「……ん」
適当な返事。
(絶対覚えてない)
ラーナの手が、レオの服を掴む。
そのまま、離さない。
「……レオ」
「なに」
「……すき」
一瞬。
レオの呼吸が止まる。
(……反則)
でも。
それでも。
手は出さない。
そのまま。
軽く、頭に触れる。
「……知ってる」
小さく返す。
ラーナは、そのまま眠る。
掴んだまま。
離さない。
レオは。
一睡もできなかった。




