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金持ちから貧乏転生~金を取るか人を取るか~  作者: 有明


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3/20

第3話:金を稼ぎたいのに、なぜかタダになる

金運最強、人運最悪だった男が――

異世界で“真逆の運命”を背負わされます。


ゆるく読める逆転系コメディです。

 ――結論から言う。


 このままだと、確実に詰む。


(人はいる。金がない)


 シンプルすぎる現実だった。


 前世の俺なら、この状況はありえない。人がいなくても、金だけは勝手に増えていった。


 だが今は違う。


 人がいるせいで、金が減る。


(意味わかんねぇだろ……)


 だが、嘆いても仕方ない。


 俺には前世の知識がある。


 なら――


(ガキでもできる商売、やるしかねぇよな)



「リオくん、何してるのー?」


 翌日。


 俺は家の前にしゃがみ込み、真剣な顔で地面を見つめていた。


 声をかけてきたのは、いつもの近所の子どもたちだ。


「……商売の準備」


「しょうばい?」


 首をかしげる子どもたち。


 無理もない。この年齢でそんなこと考えるやつ、普通いない。


 だが俺は違う。


(まずは原価ゼロでいけるやつ)


 そう考えた結果――


「この石、売る」


 地面に転がっていた、ちょっと形のいい石を持ち上げる。


「えー?石なんていらないよ?」


 当然の反応だ。


 だが、ここからが勝負。


「ただの石じゃない。“幸運の石”だ」


「こううん?」


「これを持ってると、いいことが起きる」


 ――もちろん嘘だ。


 だが、商売なんてそんなもんだ。


 価値は“作る”もの。


 前世で嫌というほど見てきた。


「ほんとに?」


「ああ。昨日これ拾ったあと、パンもらった」


 嘘じゃない。


 原因は完全に俺の人運だが、そんなことはどうでもいい。


「ほしい!」


 ――かかった。


(よし、いける)


 内心でガッツポーズを決めた、その瞬間。


「リオくんが持ってた石なんでしょ?じゃあ絶対すごいやつじゃん!」


「お金払うよ!」


 子どもたちが、ポケットから小銭を取り出そうとする。


(勝ったな)


 確信した。


 これで、ようやく“稼げる”。


 そう思った――


 その時だった。



「おーいリオ!何してるんだ?」


 ガタイのいい男が近づいてくる。


 近所の鍛冶屋のおっさんだ。


「……商売」


「商売ぉ?」


 怪訝そうな顔で、俺の手元を見る。


「その石を売るのか?」


「そうだ。“幸運の石”だ」


 堂々と言い切る。


 すると――


「はははっ!おもしれぇな!」


 おっさんは豪快に笑った。


 そして次の瞬間。


「いいぞ、その根性気に入った!」


 ――ドンッ!


 と、俺の手に何かを押し付けてきた。


 重い。


 これは――


(……パン?)


 いや、パンどころじゃない。


 肉、野菜、果物、その他もろもろ。


 どう見ても“仕入れ”レベルの量だ。


「これ、やるよ!」


「は?」


「商売するなら腹減ってちゃダメだろ!」


「いや、そういう話じゃ――」


「あとこれも持ってけ!」


 さらに銀貨を数枚、無理やり握らされる。


(ちょっと待て)


 状況が、理解できない。


 俺は今、“売る側”だったはずだ。


 なのに――


「リオくんすごーい!」


「応援してる!」


 子どもたちまで、なぜか拍手している。


 そして結局――


 石は売れなかった。


 代わりに、なぜか大量の食料と金だけが手元に残った。



(……いや、おかしいだろ)


 完全に逆だ。


 売って稼ぐはずが、もらって終わっている。


 しかも今回は運よくプラスだが――


(これ、続かねぇぞ)


 毎回こんなことになるとは限らない。


 むしろ、この“人運”のせいで、まともな商売が成立しない可能性すらある。


(……考えろ)


 前世の経験をフル回転させる。


 この世界、この環境、この能力。


 全部ひっくるめて――どう勝つか。


 そして、一つの結論にたどり着いた。



(“売る相手”を変えるしかねぇ)



 好かれる相手に売るからダメなんだ。


 だったら――


(俺を知らないやつに売ればいい)


 つまり。


 この村の外。


 人運が通用しない場所で、勝負する。



「……決めた」


 小さく呟く。


 その瞬間。


「どこ行くのー?」


 背後から声が飛ぶ。


「ちょっと遠出する」


「えー!?じゃあ私も行く!」


「俺も!」


「私も!」


(……やっぱりこうなるか)


 頭を抱えたくなる。


 だが同時に、少しだけ口元が緩んだ。


 ――一人じゃない。


 それだけは、前世よりマシかもしれない。



 こうして俺は――


 “人運が通用しない場所で金を稼ぐ”という、新たな無理ゲーに挑むことになった。


読んでいただきありがとうございます!

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