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金持ちから貧乏転生~金を取るか人を取るか~  作者: 有明


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2/20

第2話:好かれすぎて、なぜか貧乏です

金運最強、人運最悪だった男が――

異世界で“真逆の運命”を背負わされます。


ゆるく読める逆転系コメディです。


 ――気づけば、俺は五歳になっていた。


「リオくん!今日も一緒に遊ぼうよ!」


「ダメよ、今日はうちでご飯食べていく約束でしょ?」


「ちょっと待ちなさいよ!昨日はそっちだったでしょ!」


 ……うるさい。


 朝から家の前で、近所の子どもと母親たちが揉めている。


 原因は――全部、俺だ。


(なんなんだよ、この状況……)


 前世では考えられなかった。


 人に誘われるどころか、用事がある時しか連絡すら来なかった俺が、今は放っておいても人が寄ってくる。


 しかも、異常なレベルで。


「リオ、今日はどこに行きたい?」


 母さんが優しく微笑む。


 この人もそうだ。やたらと俺に甘い。もちろん嫌ではないが、違和感が消えない。


「……別に、どこでもいい」


 そう答えた瞬間――


「じゃあうちに来て!お菓子いっぱいあるよ!」


「ダメ!今日はうち!お父さんが新しいおもちゃ買ってくれたの!」


 即座に争奪戦再開。


(なんでだよ……)


 何もしていない。ただ普通にしているだけだ。それなのに、なぜか好かれる。


 理由がわからないのが、一番気持ち悪い。



 だが――問題はそこじゃなかった。



「すみません、本当に助かります……」


 母さんが、深々と頭を下げている。


 相手は近所のパン屋の店主だ。


「いいのいいの!リオくんが来てくれるなら、パンくらいいくらでもあげるよ!」


 そう言って、紙袋いっぱいのパンを押し付けてくる。


(……またか)


 これで何度目だ。


 肉屋も、八百屋も、なぜかやたらと“おまけ”をくれる。


 普通ならありがたい話だ。


 ――普通ならな。



「……母さん」


「どうしたの?」


「うち、金ないの?」


 思い切って聞いた。


 すると、母さんは一瞬だけ困ったような顔をして――


「……そうね、あまり余裕はないかもしれないわね」


 やっぱりか。


 この家、明らかに生活がギリギリだ。


 服はいつも同じ。家具も古い。家自体もボロい。


 なのに、周りから物が集まるせいで、なんとなく回っている。


(いや、おかしいだろ……)


 前世の俺は、金だけは無限にあった。


 だが今は――


(財布の中身、ほぼゼロじゃねぇか)


 試しに小遣いを貯めようとしたことがある。


 結果は、最悪だった。



「リオくん、ごめん!これ壊しちゃった……!」


 友達が泣きながら、おもちゃを差し出してくる。


 ――俺が買ったやつだ。


「……いいよ、気にすんな」


 そう言った瞬間、


「リオくん優しい……!」


 と、なぜか周りの好感度がさらに上がる。


 そして翌日。


「お礼にこれあげる!」


 と渡されたのは――石ころだった。


(いや、いらねぇよ!!)


 だが断れない。


 断ったら悲しそうな顔をするからだ。


 その結果――


(気づいたら、金が全部消えてるんだが!?)


 そう。


 俺は人に好かれる代わりに、“搾取される側”に回っていた。


 しかも、全員悪気ゼロ。


 純粋な善意で、俺の金を消していく。


(前世と真逆すぎるだろ……)


 あの時は、人が離れて金が残った。


 今は、人が集まって金が消える。


 極端すぎるにもほどがある。



「リオ」


 母さんが、優しく頭を撫でてくる。


「あなたがみんなに優しくしてるから、みんなもあなたが大好きなのよ」


「……それで貧乏になっても?」


 思わず本音が出た。


 すると母さんは、少しだけ驚いた顔をして――


 それから、ふっと笑った。


「それでも、私は今の方が好きよ」


「……え?」


「前よりずっと、幸せそうな顔してるもの」


 その言葉に、何も返せなかった。



 ――幸せ、か。



 正直、わからない。


 だが一つだけ、確かなことがある。


 この世界では、前世と同じやり方じゃダメだ。


 金は、勝手には増えない。


 むしろ、放っておけば全部なくなる。


 だったら――


(稼ぐしかねぇよな)


 五歳児の脳みそで、そんな結論に至る。


 前世の経験がある以上、やりようはいくらでもあるはずだ。


 問題は――


「リオくん!一緒に遊ぼう!」


「今日は絶対うちに来てね!」


 この、人の多さだ。


(……まず、どうやって一人の時間作るかだな)


 金を稼ぐ以前の問題だった。



 こうして俺は――


 人に愛されすぎて自由がない上に、金もないという最悪の状況から、人生の再スタートを切ることになった。


読んでいただきありがとうございます!

よければブックマーク・評価してもらえると嬉しいです。

次回から少しずつ“金稼ぎ編”に入っていきます。


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