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不穏な依頼(3)

 47話と107話に出ていた魔法の名前を変更しました。


 《フレイムブレード》→《ウェアフレイム》

「アンジェリカさんは、推進派と融和派の目的をご存知ですよね」

「うん」

「双方の共通する目的と言いますか、現在我が国において重要な問題があります。それは、『鉱物資源の不足』です」


 そういえば、前に聞いたリロイの演説でも同じことを言っていたな。帝国にある鉱山はもうすぐ底を突くんだったか。


「我が国には鉱山がほとんど存在しません、あるのは広大な農地のみ。ですので、昔から鉱物資源に恵まれた王国に対して、様々な施策を講じてきました。あるときは戦争を起こして略奪し、またあるときは交易を行いました。これらの方針を決めたのが、推進派と融和派というわけです」


 昔から帝国では派閥争いが続いているってことか。それに加え、ころころとこの国の方針も変わっていたのだろう。


「この国は、砂(・)上(・)の(・)楼(・)閣(・)と言っても過言ではありません。見かけは国としてしっかりしているように見えますが、内情は脆弱と言うに他ならないのです。穀物には恵まれているのに、鉱物資源がつねに不足している……王国なしでは、この国は存続できないのです」

「……なるほど、長期的な安定を得るために王国とビジネス関係になりたい、と」

「そうです、そのためにも推進派の影響力をできるだけ削ぐ必要があるのです。そして、現在の推進派を先導しているのが第一皇子と第一皇女というわけなのです」


 つまり、カイルとアルドさえいなければ事が順調に進むということか。これはこの国で大混乱が起きるのは間違いないな。


「でも、二人を殺した場合次期皇帝はどうするの? また新しく決めるの?」

「はい、そうです。それに、次期皇帝はこちらがにぎらないと、また同じことをくり返すだけになりかねません」

「じゃあ、誰が皇帝になるの? ミーナ?」

「私じゃないわ、マイルズよ」


 俺は最初ミーナが次期皇帝になるとばかり考えていたのだが、どうやら違ったらしい。

 だが、マイルズに皇帝が務まるのか? 俺から見たら、荷が重いように思える。


「そう心配しなくても大丈夫よ、マイルズにはカリスマ性があるわ。私よりも皇帝に向いているしね」

「いえ、そんな! 私が皇帝になると決めたのは、ミーナ姉様では役不足だからです。ミーナ姉様の器では、皇帝は小さすぎます」

「ふふっ、そう言ってくれると嬉しいわね」


 ……なんだろう、マイルズもやばいやつなのかもしれない。

 マイルズはミーナを敬愛……いや、もはや崇拝しているとさえ見える。恋愛対象というよりは、単純に尊敬しているのだろう。ただ、その度合いが半端じゃなさそうだが。


「まぁ、大体把握したから後は自分で調べてみる」

「そう。じゃあベスト、アンジェリカちゃんを空いている部屋に案内してあげて。確か、まだ二部屋くらいあったわよね?」

「はい、メイド用の部屋が空いておりますので、そちらに案内させていただきます」


 えっ、メイド……?


「そうね。今日来たばっかりみたいだし、宿はまだ決めていないでしょう?」

「う、うん、確かにそうだけど……」

「それならこっちで用意するから、そこを使いなさい。今の宿屋は監視の目があるからその方がいいわ」


 あー……もしかして、泊まるのにきちんとした身分を証明しなければいけなくなっているのか? 厳重だなぁ……。


「わかった。なら、しばらくは世話になる」

「えぇ、なにかあればここに来てちょうだい。すぐに通すよう言っておくわ」


 俺はミーナたちと別れると、ベストの案内でとある部屋にやってきた。

 ベッドや机に椅子、それとクローゼットなどが置いてある普通の部屋だ。……ただしドレッサーが置いてあり、どことなく家具の装飾が女性的であることを除けば。

 しばらく使う部屋だし、慣れないとな……。

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