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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第二部 第六章:伝説巨竜と灼熱の巨人

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第三九九話:超高速ダンジョン攻略


「よし、次は上体を少し後方に傾けてくれ」

『や、やってみますわ!』

「次は脚部だ。できるか?」

『水平が精一杯ですわー!』

「それでいい。これより全速力で移動する!」


 まだ子供だった頃、全ての道が下り坂だったら楽なのにと思ったことがある。

 もちろん降りた分昇るのは必定なので、実現することはなかったのだが、それをいま、仮想的に実行していることに気づき俺は内心苦笑していた。


「つうわけでようやく胴体への道に到着――じゃよ!」


 きりっと引き締まった声と表情で、ア・シモフはそういった。

 ちなみにまだ浮遊の魔法を解除していないので、理緒に抱きつかれたままである。


「まったく……腕やら脚やら回り道の多い整備道でしたね!」


 ずっと俺によって小脇に抱えられたのが不満だったのだろう。クリスがそうぼやく。


「そういうな。本来の通路ではなかったのだからな」


 暴走の原因となったモーリーによって、中身は書き換えられているようである。

 本来であれば、首の後ろから入ってそのまま縦穴を降っていけば、目的地である動力炉のある胴体に着くようになっていたからだ。


「でも本当に、遠回りでしたね」

「そうだな……」


 アリスの言うとおり、首の後ろから右肩、右腕を手首までいって脇腹まで戻りそこから腰まで降りたあとは右足のつま先まで行って現在股間部分である。

 ヒナゲシの餮竜で巨人を抑えつけ、なおかつ体勢を変えてもらわなかったら、この迷宮の攻略はもっと難しいものであったろう。


「でもそれもここまで。ここからはこのらせん階段を上りきれば動力炉――麒竜が格納されておる胴体中央部分じゃよ」


 たしかに、他の部位に繋がっている道は見えず、らせん階段が上に向かって伸びるのみである。


「モーリーもここには手を着けられなかったのか……少し妙だな」

「いや、ここは変形部位を兼ねておる。さすがに変形合体機構に手は着けられなかったんじゃろ」


 ア・シモフ曰く、この通路は脊髄のようなものであり、巨人が二隻の飛行戦艦『ギデオ・アルス』と『ギデオ・ノヴァ』と中心となる麒竜を収容するときの芯となる部分なのだという。


「くくく、その重要な部分が通路となっとるとは思うまいて」

「上半身からは一切干渉できなかったがな」

「それは言わない約束じゃよ!?」


 文句は言ったが、こうしてたどり着いた今は進むことだけを考えた方がいいだろう。

 後はいかに麒竜と竜公主(ドラゴンマスター)であるベ・スターを助けるべきか――。

「! なにか――」

「きます!」


 真っ先に反応したのは、理緒とクリスだった。

 魔力で探知できなかったのは、おそらく欺瞞の魔法がかけられているからだろう。

 だから、俺とア・シモフは気づくのが少しおくれてしまった。


「マリウスさん、らせん階段の中央部分です!」

「だろうな!」


 この中央部分、どういう仕組みなのかしらないが柱がない。いってみれば、巨大な吹き抜けである。

 そこを、天井から一機の自動人形が落ちてきた。

 見た目は電熱巨人そっくりである。

 しかし背丈は俺より一回り大きいくらいに収まっていた。

 そいつは落下しながら両手から光帯剣を展開させると、真っ先に俺へと向かって斬りかかる。

 どうやら、この中での最高戦力を自動的に割り出したのだろう。

 あるいはモーリーの私怨かもしれなかったが。


「くっ!」


 両手同時に交差させて振り下ろした光帯剣を、俺は自分の光帯剣を抜きながら防いだ。

 そのままいっきにおしかえし――


「せいっ!」


 理緒の跳び蹴りが、自動人形の腹に直撃した。

 おそるべき膂力に突進力を加えたそれは明らかに自分の体重の何倍もあるそれを吹き飛ばす。

 らせん階段の反対側に着地した自動人形は、腕から今度は荷電粒子砲を撃とうとし――。 そこをアリスとクリスに撃たれた。

 だが、火力がやや足りない。

 ここは俺が魔法で援護をしようとした次の瞬間である。。


「ここは氷結弾じゃな」


 そういってア・シモフは腰のポーチから細長い何かを取り出し、腰から抜いた銃の銃把(じゅうは) ()(※グリップのこと)に押し込み、銃身を一度だけ引いて戻した。


「それは一体――」


 なんだという前に、ア・シモフは発砲した。

 驚くべきことは、その連射速度である。

 銃を撃つ毎に銃の上部が後退し、撃鉄を自動的に起こすことにより、引き金を引くだけで次弾を撃つことができている。

 さらには、さきほど銃把に入れた細長いものが弾倉であったらしい。

 その装弾数はクリスのレバー式の三発、アリスの輪弾倉式の六発を優に超えて――。


「十二発だと!?」

「お、数えとったんかい?」


 その頃には、自動人形は全身が凍り付いていた。

 一発一発が俺の作る氷結弾よりも威力――いや、魔法範囲というべきか――が広かったためである。


「これは我がアイアンワークスの最高機密。生徒個人が持てる、最高の火力を誇る武器――」


 銃から弾倉を引き抜いてポーチにしまいつつ、ア・シモフは教えてくれた。


「――自動拳銃(オートマチック)、じゃよ」


「十二発かぁ。全部避けるのめんどくさそう!」

「それができるのは前の陛下だけでございます」

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