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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第二部 第六章:伝説巨竜と灼熱の巨人

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第三九八話:進撃の巨艦竜


□ □ □


「敵巨人より砲撃!」

「陰陽科の皆様は準備防護壁を展開!」


 巨大な(てつ)竜にはもちろん、自分を防護する頑丈な装甲がある。

 戦列艦『ミズミカド』自体が、そんじょそこらの戦艦の主砲ではその舷側に傷ひとつつけることのできない頑丈さを誇ったが、餮竜はそれ以上であった。

 だが、防御する以上、消費魔力は上がり、活動時間はさがる。

 なので、水帝(ミズミカド)餮竜に乗艦している手空き陰陽科生徒は、可能な限り餮竜の防御を手伝うことにある。

 そして水師科は、艦内の火砲で餮竜を援護する役目にあった。


「砲撃着弾! 式神による防御成功!」

「引き続き警戒を!」


 前方が斜め上に傾斜した艦橋で、ヒナゲシは叫ぶ。

 なぜなら餮竜が一度上体を起こして、両前足で巨人を押さえ込んでいるからだ。


「通信の呼びかけはいかが致しますか?」

「それはわたくしがおこないますわ!」


 懐から新たな札を取り出しながら、ヒナゲシ。


「電熱巨人ギデオン内部潜入中の皆様、きこえまして!?」




□ □ □




「マリウスさん!」

「ああ……!」


 踊っていた巨人の動きが、突如止まった。

 続いて上から押しつけられたかのような衝撃が伝わる。

 どうやら、外部では巨人を拘束することに成功したらしい。


「浮遊の魔法を解く。とはいえ再び動き出す可能性があるから、アリスとクリスは俺のそばを離れるなよ……!」


 一方でア・シモフと理緒も浮遊の魔法を解いて床に降りていた。


「いったいどうやったんじゃろな。氷結弾の飽和射撃でもきめたか?」


 ア・シモフが首をかしげる。


「その割には私達のいる内部の気温が下がっていません。おそらくですが――ヒナゲシが、自分の考えで餮竜を呼び、物理的に抑えつけたのでしょう」


 嬉しそうに、理緒がそう答える。

 どうも餮竜の召喚には理緒の承認がいるらしいのだが、ヒナゲシはそれを飛ばして召喚したらしい。

 その判断が、理緒にはとても嬉しかったようだ。


「とすると、いまこちらとあちらは接触状態だということか」

「そうなりますね」

「だとすれば――」


 俺は手近な壁に歩み寄り、片手をしっかりとつけた。

 そして巨人を刺激しないギリギリの強さで、魔力通信を試みる。


「こちら巨人内部突入班。聞こえるか――」

『やっぱりつながりましたわ! その声はマリウスさまですのね!』


 ヒナゲシの声が、周囲に響いた。

 正確には、俺がアリスやクリス、そして理緒に聞こえるよう響かせたのだ。


「えっと、つまりどういうことです?」

「妨害されておる状態でも、密着しておったらそこに向かって通信を取れば、つながることもある。いわゆる接触回線というものじゃよ」


 さすがは技術に詳しいアイアンワークス生徒会長、ア・シモフの解説は完璧だった。


「簡潔に訊きたい。状況は」

『こちらは餮竜を召喚致しました! ただこれは他の竜以上に消耗が激しいので、時間があまりもちませんの!』

「いや、十分だ。これより攻略を再開する。次はこちらから連絡するから、ヒナゲシは餮竜に集中してくれ」

『承知致しましたわ!』


 そういうわけで、攻略再開となった。

 現在肩付近にいるものと思われる俺達は下の胴体中央へといたる経路を捜す。


「むう……やはり一度腕の中を通るしかなさそうじゃの……」

「また面倒くさいことを……! ヒナゲシ、これから巨人の腕を通る。その姿勢をできるだけ維持してくれ」

『腕の中を通る!? どうしてそんな煩雑な――いえ、承知致しましたわ!』


 現在、餮竜と巨人は組み合っている状態らしい。

 そのため腕は水平を保っていた。

 俺達は全速で、その腕の中を駆け抜ける。


「これは……拳付近で折り返しという訳か?」

「おそらくそうじゃろ。ったく、嫌がらせにもほどがあるわい!」


 俺とアシモフの想定通りだった。

 腕の中の通路は途中でごく短い下に降りる縦道があり、そこからさらに元の胴体への長い道が繋がっていたのである。


「ほんじゃま、走りますかの」

「いや、それよりいい手がある。ヒナゲシ、俺達はいま巨人の右腕の先端部分にいる。巨人の右腕を上げることは可能か?」

『できなくはありませんが、いまからでいいんですの?』

「かまわない。やってくれ!」


 両脇にアリスとクリスを抱えて、俺。

 ほぼ同時に、理緒がア・シモフを抱きかかえる。

 途端、通路が下り坂になり、さらには垂直となった。

 もちろんその頃には俺達は落下をはじめるが――。


「みえた、あそこだ!」


 新たな道をみつけて、浮遊魔法でそこに軟着陸する。

 隣では、理緒に抱きかかえられたア・シモフが同じように着陸していた。


「よし、これでだいぶ時間を短縮できたな。続けるぞ」

「――その前に。いいですか」


 小脇に抱きかかえられたクリスが、声を上げる。


「やるならやると、あらかじめ声をかけてください!」


 もっともな話だった。

「マリウスくんが女の子両脇に抱えて走ったり飛んだり……生きているうちに見たかったわ」

「前の陛下は絶対に抱えませんぞ——あいたっ! 八つ当たりはおやめくだされ!?」

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― 新着の感想 ―
巨人の中ダンジョン… 体勢を変えるごとに内部構造が変わるのは面倒ですねぇ 今回はうまくいったほうですが
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