神父と悪魔編 35
闔の儀式が終わると、家の外まで見送っていただく。
「此度はどうもありがとうございました。またお礼を申し上げたいと思うので、伺わせていただくかもしれません」
「いえ、お礼なんて。それよりも、質問に対する解は得られたでしょうか」
貞信さんが私に声をかけてくれる。
「どうでしょうか。答えを求めてここまで来ましたが、むしろ答えよりも沼に沈んでいっているような、そんな感覚にもなります」
「分からないってはっきりと言えよ。質問が出てこなくても、答えはあるってさっきのやつも言っていただろ。答えが2になるものはどんな式で書けるかっていうことだからな」
「1足す1に決まっているだろ」
悪魔が言ってくるので、思わず私は言い返した。
ただ、ようや先ほどの6も、そういうことを言いたいのだろう。
「何はともあれ、迎えをご用意しました。京都市内にありますホテルに本日はご宿泊ください。費用は手野グループ側が持つことになっておりますので」
8人乗りくらいの黒塗りのリムジンが、確かに家の前で待機していた。
運転手もついているうえに、前のボタンを全部外しているスーツ姿の男女も1組いる。
「お迎えに上がりました。手野武装警備所属、金内愛美です。今回は、手野武装警備の個人警護サービスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。ただいまよりホテルに到着するまでの間、警護と今後の説明をするために伺いました」
どうやら女性の方が上司らしい、今回は彼女だけが自己紹介をし、私達に握手を求めた。
「誠にありがとうございます」
私は握手を交わし、悪魔はただお辞儀をぎこちなくするだけだ。
車に乗り込む前に、郁方家の方を再び見る。
「あなた方に、神の祝福のあらんことを……」
胸の前で軽く十字を切る。
「ピスキス猊下も、今後ともすこやかなることを、切にお祈り申し上げます」
深々と、身体を90度に曲げての最敬礼をしながら、私達のことを見送ってくださった。




