34話:三つ子の黒エルフ達のお手伝い
34話です
朝食を終えた後。
私はリリアちゃんとセレナちゃんとレオンくん達に、魔王城での生活について少しずつ教えることにした。
「今日は、洗濯の仕方を教えますね」
「せんたく…?」
リリアちゃんが首をかしげる。
「そうだよ。服を綺麗に洗って、干すんだよ」
私は洗濯場へ3人を案内した。
そこに大きな水場と、洗濯物を干すための広い場所がある。
「まずは服を水につけて、洗剤を少し入れます」
私は袋から洗濯用の洗剤を取り出した。
「これを使うと、汚れが落ちやすくなるんだよ」
「……いい匂いがする」
「そうでしょう?」
私は洗剤を少しだけ水が入っている洗濯桶に入れて、服を優しく揉み洗いする方法を見せた。
「強くこすりすぎると服が傷むので、優しく洗ってね」
3人は真剣な顔で見ていた。
「こう?」
レオンくんが、そっと服を揉み洗いする。
「そうそう。上手だよ〜」
次に、綺麗な水で濯ぐ。
「泡がなくなるまで、しっかりすすいでね」
「はい」
3人はそれぞれ服を洗い始めた。
最初は少しぎこちなかったけれど、すぐに慣れていった。
そしてーー。
「よいしょ、よいしょ…」
「よいしょ、よいしょ…」
3人は洗い終わった服を、まとめて運び始めた。
小さな腕で洗濯物を抱え、少しふらふらしながら歩いてくる。
「よいしょ…」
「もうちょっと…」
「落とさないように…」
(………)
私はその姿を見た瞬間、動けなくなった。
(なにこれ…)
3人共、まだ体が小さい。
大きな洗濯物を抱えて、一生懸命に運んでいる。
しかも、3人で声を合わせている。
(可愛すぎる…!)
私は胸を押さえた。
(えっ、待って。可愛すぎて死ぬ…!)
「美桜さん?」
セレナちゃんが、私を振り返る。
「美桜さん…なにか困っているの?」
「えっ…なんでもないよ」
私は慌てて首を横に振った。
「リリアちゃんとセレナちゃんとレオンくんが一生懸命で、とても可愛いなと思って」
「かわいい…?」
3人は顔を見合わせる。
レオンくんが少し照れながら尋ねた。
「……僕達ちゃんと出来てる?」
「勿論!凄く上手だよ〜」
私は心の中で悶えていた。
(よいしょ、よいしょって言いながら洗濯物を運んでいる…!何この癒し空間!)
ルミナちゃんが、少し離れた所からこちらを見ていた。
「美桜、何をそんなに悶えておるのじゃ」
「だって!見てくださいよ!よいしょ、よいしょと運んでいるんですよ!」
「洗濯物を運んでおるだけではないのか?」
「それが可愛いんです!」
「…よく分からぬのじゃ」
ルミナちゃんは首をかしげた。
3人は洗濯物を干す場所まで運ぶと、今度は背伸びをしながら服を干そうとした。
「よいしょ…」
「もう少し…」
私はすぐに踏み台を用意した。
「無理に背伸びしなくて大丈夫だよ。これを使ってね」
3人は踏み台に乗り、1枚ずつ丁寧に服を干していく。
「シワを伸ばして…」
「端を揃えて…」
「こう…かな?」
「うん、完璧!」
風が吹くと、洗濯物がひらひらと揺れた。
3人は並んでそれを見上げる。
「……綺麗になったね」
「そうだね」
「僕達で洗ったんだ…」
その表情は、少し誇らしそうだった。
私は3人の頭を順番に撫でた。
「3人共、良くできたね」
「……ありかとう」
「嬉しい」
「僕達頑張ったよ〜」
「これからも、少しずつ覚えていきましょうね」
3人は嬉しそうに頷いた。
私はその場で、もう一度心の中で叫んだ。
(可愛い…!働いている姿まで可愛い…!)
ルミナちゃんはそんな私を見て、呆れたようにため息をつく。
「美桜は本当に可愛ものが好きなのじゃ」
「はい。大好きです!」
「即答するななのじゃ」」
洗濯物が風に揺れる中。
リリアちゃんとセレナちゃんとレオンくんは、並んで干した服を見上げた。
そして私はその頑張る姿に、完全に癒された。
作者コメント
見てくださりありかとうございます




