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ブラック企業で過労死した私、召喚された先で魔族の少女に癒されています。  作者: 宝妖夜るあ


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30/36

30話:まずは、ゆっくりお風呂に入りましょう

30話です。


3人の黒エルフを連れて魔王城に戻ると、私はすぐにルミナちゃん達の所へ向かった。


「ルミナちゃん!ちょっとお願いがあります!」


「何じゃ、そんな慌てて」


ルミナちゃんが振り返る。


その後ろには、ロザリアさんもいた。


私は3人の黒エルフを紹介する。


「セレナちゃんとリリアちゃんとレオンくんです。この子達は、森の近くで見つけました。奴隷商人に売られて、そこから逃げてきたそうです」


「…奴隷商人」


ロザリアさんの表情が、すっと曇った。


3人は怯えるように身を寄せ合う。


私はすぐに続けた。


「今は行く場所がないみたいなので、暫く私達と一緒に暮らせないかなと思って…」


「もちろんいいわよ〜」


ロザリアさんは、迷うことなく答えた。


「この城で安全に過ごせるようにするわね〜」


「良かった…!」


ルミナちゃんも3人を見つめる。


「ここでは誰もお主達を傷つけぬのじゃ。安心するがよいのじゃ!」


3人はまだ緊張していたが、少しだけ表情が和らいた。


私は3人の服や髪を見て、ふと思った。


「…その前に!」


「その前に何じゃ?」


ルミナちゃんが首を傾げる。


「まずは、お風呂に入りましょう!」


3人は驚いたように私を見る。


「お、お風呂…?」


「はい。体も髪も綺麗にして、ゆっくり温まりましょう」


私は自分の不思議な袋を取り出した。


「こういうときこそ、袋の出番です!」


袋の中に手を入れるとーー。


「シャンプー!」


ポンッ。


「リンスー!」


ポンッ。


「ボディソープ!」


ポンッ。


更に、柔らかいタオルや新しい服まで取り出した。


リリアちゃんが質問をする。


「なにこれ、初めて見た」


「髪を洗うものと、体を洗うものです。とってもいい香りがするんだよ」


私はシャンプーの容器を見せた。


「これで髪を洗うと、サラサラになります」


セレナが話す。


「サラサラ…?」


「はい。ボディソープは体を綺麗にするものです」


ルミナちゃんが興味深そうに覗き込んだ。


「また袋から妙な物を出したのじゃ」


「妙な物ではありません。生活必需品です!」


ロザリアさんは微笑みながら、3人に声を掛けた。


「怖がらなくても大丈夫よ〜ゆっくりで構わないわよ」


3人はお互いに顔を見合わせる。


やがて、リリアちゃんが訪ねた。


「…本当に、入っていいの?」


「勿論、入っていいんだよ」


私は話をした。


「温かいお湯に入って、嫌な事を忘れましょう」


「……怒られないの?」


「怒らないよ」


「勝手にお風呂使ってもいいの?」


「はい、お風呂を使う時は、ロザリアさんか私に言ってくれればいいんだよ」


私は笑顔で答えた。


ルミナちゃんは前に出て言う。


「では、お風呂に行くのじゃ。妾が案内してやるのじゃ」


3人は恐る恐る頷いた。


私は浴室へ向かいながら、使い方を説明する。


「まず髪の毛を濡らして、シャンプーを少し手に取ります。泡立てて、優しく洗います」


「痛くないの?」


「優しく洗えば、痛くないから安心してね」


「その後がリンスーです。髪を整えてくれます」


「…体も洗うの?」


「体を洗うのはボディソープで、タオルにかけて泡立て優しく洗います」


3人は真剣に説明を聞いた。


やがて浴室の扉を開けると、温かい湯気がフワッと広がった。


「わぁ…」


3人の口から、思わず声が漏れる。


大きな浴槽には、透き通ったお湯が張られている。


「こんなに大きなお風呂…」 


「ゆっくりと浸かってね」


私は新しいタオルと服を用意した。


「終わったら、これに着替えてね」 


3人は新しい服を見つめ、戸惑ったように尋ねる。


「…私達がこの服を着てもいいの?」


「勿論、リリアちゃんとセレナちゃんとレオンくんの為に用意したんだよ」


「……ありがとう」


「美桜さん…ありがとう」


「…僕嬉しい…」


3人はそれぞれお礼を言う。


そして、少しずつ浴室の中へ入っていく。


3人は手を温かいお湯に入れた瞬間ーー。


「…温かい」


「気持ちいい…」


「………僕これ好きかも…」


小さな声が聞こえてきた。


私はその声を聞きながら、ほっと胸を撫で下ろした。


(まずは、体を綺麗にして、ちゃんと暖まってもらおう)


ルミナちゃんも浴室の外から様子を見ていた。


「どうじゃ?少しは落ち着いたか?」


「……うん」


3人の声は、先程よりもずっと穏やかになっていった。


私はシャンプーを手に取り、にっこりと笑う。


「さぁ、髪も綺麗にしましょうね」


こうして3人の黒エルフ達は、魔王城で初めての温かくて、安心できる時間を過ごす事になった。

作者コメント

見てくださりありがとうございます

もしかすると誤字や文章がおかしくなっていた際には、気兼ねなく書いてくださると嬉しいです。

批判コメントは、作者がガラスのハートの持ち主なのでNGお願いしします!

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