29話:逃げてきた3人の黒エルフ
キャラ紹介
長女
セレナ・ノクティス
髪型長めの髪
髪色漆黒の黒
肌の色:灰色
性格:しっかり者のお姉ちゃん
次女
リリア・ノクティス
髪型:ボブヘア
髪色:漆黒の黒
性格:おっとりしていて、寂しがり屋
長男
レオン・ノクティス
髪色:漆黒の黒
肌の色:灰色
性格:優しい、美桜の後ろにいることもある、甘えん坊
「…私達黒エルフの三つ子セレナ・リリア・レオンです。奴隷商人に売られて…」
一番左の長女セレナが震える声で話し始めた。
私は思わず息を呑んだ。
「…奴隷商人に?」
3人は、お互いの手を握ったまま、小さく頷く。
「…貴方達の両親も…いないの?」
「気づいた時には、私達3人だけで…」
「怖くて逃げてきたの…」
一番右の黒エルフの次女リリアが話した。
その言葉を聞いて、胸がギュッと締め付けられた。
こんな幼い子達が、そんな目に遭っていたなんて。
しかも、逃げてきた先でも安心できず、暗い場所で身を寄せ合っていたのだ。
(…放っておけない)
私は黒エルフの三つ子の前にしゃがんだまま、ゆっくりと口を開いた。
「…それなら」
黒エルフの三つ子が、こちらを見る。
私は出来るだけ優しい声で言った。
「私と暮らさない?」
「…えっ」
黒エルフの三つ子の目が、驚きで、大きくなる。
「私は住んでいる所は、魔王城です。食べる物もあるし、眠る場所もあります」
「魔王城…?」
「はい。私1人で決められる事ではないけれど、ルミナちゃんやロザリアさんに相談すれば、きっと力になってくれるなれます」
黒エルフの三つ子は顔を見合わせた。
「…本当?」
「本当です。少なくとも、ここで震えながら過ごすよりはずっといいです」
私は少し笑った。
「無理に信じてとは言わないから。怖かったら、お姉さんに言って欲しいなって」
真ん中の黒エルフのレオンが、恐る恐る尋ねる。
「…僕達を、売ったりしない?」
「しません」
私は迷わず答えた。
「…怒鳴ったり?」
「しません」
「…働けって無理やり言ったりしない?」
「それもしません」
黒エルフの三つ子の顔に、少しだけ戸惑いが浮かんだ。
私は苦笑いする。
「私は、昔、ブラック企業という所で働いていたんですけれど…無理やり働かされるのは、もうこりごりなので」
「ぶらっく?」
「えっと、とにかく怖い場所です」
私は黒エルフの三つ子を見つめた。
「だから、皆さんを怖がらせるような事はしたくありません」
真ん中黒エルフのレオンの瞳に、涙が浮かんだ。
「…僕達帰る場所がない」
「うん…」
「私達には、…もう、誰も…」
言葉を途切れ、リリアは俯いた。
私はそっと手を差し出した。
「だったら、帰る道場所を作りましょう」
黒エルフの三つ子は差し出された私の手を見つめる。
「…私達でも、いいの?」
「勿論です」
「…迷惑じゃない?」
「迷惑なんかじゃありません」
私は笑顔で答えた。
「3人共、これから安心して眠れる場所が必要でしょう?」
暫く沈黙が続いた。
やがて、真ん中の黒エルフのレオンが、そっと私の手に触れた。
その手は、冷たく震えていた。
「…僕行きたい」
続いて、もうリリアも小さく頷く。
「私も…」
最後のもセレナ、涙を拭きながら言った。
「…一緒に、行きたい」
私は黒エルフの三つ子の手を、優しく握り返した。
「うん。じゃあ、一緒に行きましょう」
3人はまだ不安そうだった。
私は立ち上がり、黒エルフの三つ子に声を掛ける。
「まずは魔王城に戻って、ルミナちゃん達に相談しましょう」
「…怖くない?」
「大丈夫です。私が一緒にいますから」
黒エルフの三つ子はお互いの手を握りながら、ゆっくりと立ち上がった。
そして私の後ろを、少し離れながらもついていくる。
私は振り返って、黒エルフの三つ子に微笑む。
「ようこそ。これから、少しずつでいいから…安心できる場所にしていこう」
黒エルフの三つ子は、何も言わなかった。
ただ、握り合っていた手を離さずに私の後ろを歩き始めた。
作者コメント
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